レベニューチャーンレートとは|2種の計算式と高まる原因・対策3選

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レベニューチャーンレートとは|2種の計算式と高まる原因・対策3選

サブスクリプション(以下サブスク)などの月額制のビジネスモデルにおいて、解約率を示すチャーンレートは収益に直結する重要な指標です。

しかし、チャーンレートの種類が多いため、複雑で覚えにくいと思っている方もおおいのではないでしょうか。

本記事では、レベニューチャンレートの解説と数値が高まってしまう原因や対策法を3つ紹介します。
自社の数値を把握して、対策と数値の正常化、利益率向上を目指しましょう。

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レベニューチャーンレートとは?

レベニューチャーンレートとは?

レベニューチャーンレート(Revenue Churn Rate)とは、収益を基準として算出するチャーンレート(解約率)のことです。 MRRチャーンレートとも呼ばれています。

プラン別に複数の価格帯を提案しているサービスでは、収益ベースで算出することによりプラン別の解約率や、収益増減などの把握が可能です。

レベニューチャーンレートは主に2つ。

  • グロスレベニューチャーンレート
  • ネットレベニューチャーンレート

それぞれ解説します。

チャーンレートについて詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。

グロスレベニューチャーンレート

グロスレベニューチャーンレート(Gross Revenue Churn Rate)は、解約やダウングレードによる損失金額をベースに算出するチャーンレートです。グロスMRRチャーンレートと呼ばれることもあります。

グロスレベニューチャーンレートのポイントは下記の通りです。

  • 既存顧客から得られる収益のみが対象
  • 期間内に増加した新規ユーザーからの利益は対象外

ネットレベニューチャーンレート

ネットレベルニューチャーンレート(Net Revenue Churn Rate)は、解約・ダウングレードの他にアップグレードで生まれた利益と、別の商品を提案して購入に至ったクロスセルの利益も含めて計算します。

ネットレベニューチャーンレートは、売上全体の把握と予測に役立つ指標であるといえるでしょう。

レベニューチャーンレートの重要性

レベニューチャーンレートの重要性

SaaS(Dropboxやkintoneなど)やサブスクの料金形態事業では、チャーンレートが重要です。
理由は、解約率となるチャーンレートは利益に直結する重要な数値のため。

1ヶ月間や、決められた契約期間で繰り返し課金が必要なビジネスモデルのため、契約期間を少しでも継続してもらうことが利益につながります。

数値を分析せずに放置すれば、ユーザーの本当に求めているニーズを掴むことはできません。
そのため、しっかりと計算して導き出し、施策に反映させていきましょう。

また、既存顧客と新規顧客へのアプローチのコスト面でもチャーンレートは重要です。
新規顧客獲得のコスト(CAC)は、新規顧客の獲得コストの方が高くなります。

新規顧客獲得のコスト(CAC)
既存顧客 < 新規顧客

基本的には、既存顧客へのアプローチ方法がないSaaSやサブスク事業において、新規顧客獲得のコストは必然的に高まります。
新規顧客獲得するために使用したコストを回収するためにも、どれだけの売上が必要か、どれほどチャーンレートを下げられるかなどの施策が必要です。

レベニューチャーンレートの算出方法

レベニューチャーンレートの算出方法

本章では、レベニューチャーンレートの算出方法を紹介します。
算出後は達成度合いの進捗を測るKPIに活用し、顧客分析に使うところまでがセットです。

では、自社に当てはめて計算してみましょう。

グロスレベニューチャーンレートの計算式

サービスやプランから得た収益額と、期間内の損失額を割って算出します。
式にすると「今月の損失 ÷ 先月の収益 × 100」です。

例えば、先月の収益を100万円、今月の損失を5万円(1,000/月マイナス50人)としましょう。

  • 5÷100×100=5%

「解約・ダウングレードによって利益の約5%を損失した」ということが判明しました。

ネットレベニューチャーンレートの計算式

損失額から増収額を差し引いた数値と、定期収益を割って計算します。
損失よりも利益が上回っている場合は「ネガティブチャーン」となり、マイナスで表示されます。

ネガティブチャーンは良好な数値のため、マイナスを目指しましょう。
式にすると「(先月の売上-今月の売上)÷ 先月の売上 × 100」で計算できます。

では、先月の売上を500万円、今月が520万円と仮定して実践しましょう。

  • (500-520)÷ 520 × 100=‐38%

ネットレベニューチャーンレートはマイナスとなりました。
結果「損失もあったが約38%はアップグレードや別商品の提案でカバーできた」良好な状態となりました。

チャーンレートの適正値は3%以下を目標に

チャーンレートの適正値は3%以下を目標に

解約率の目安は3%以下であれば、健全な運営が成り立っているといえます。
どの期間でも3%を上回っている場合には、解約につながる原因を探りましょう。

ただし、スポーツなどのシーズン特化のサブスクなら、シーズンオフの一定期間には解約率が高まる可能性があります。
このようなケースでは「一時休止」などの措置を設けておくと、解約率の抑制ができるでしょう。

BtoBかBtoCによっても価格帯やサービス内容が違うため、一概に3%と断定し判断するのは禁物です。
しかし、自社サービスの最大化を図るためにも1つの指標として活用しましょう。

レベニューチャーンレートが高まる原因3つ

レベニューチャーンレートが高まる原因3つ

レベニューチャーンレートが高まる主な原因は次の通りです。

  • 商品やサービスの品質の低下
  • SaaSやサブスクサービス自体の必要性がない
  • 顧客の分析不足

本章では、チャーンレートが高まる原因を3つに分けてそれぞれ紹介します。
自社でつまずいているポイントを探してみましょう。

商品やサービスの品質の低下

製品、商品、サービス内容が悪ければ、解約につながる可能性は高いでしょう。

例えば、料金と商品・サービスのバランスが悪い、サポート体制の不備、競合他社の魅力的なサービスなどです。
顧客は一度でも不満を感じると、簡単に解約につながります。

そのため「良い製品・サービスだから価値があるのは当たり前だ」という考えを改め、顧客満足度やサービスの向上を継続的に行う必要があります。

使い続けてもらうことが最大の利益につながるため、必要に応じてブラッシュアップしていきましょう。

SaaSやサブスクサービス自体の必要性がない

SaaSやサブスクなど、毎月課金が発生するサービスは少しでも不満やストレスを感じると解約されやすい側面があります。
SaaSとは主にBtoB向けのサブスクサービスで、Google WorkspaceやTrello、弥生会計オンラインなどが有名です。

一度導入すれば、解約につながりにくいものの、新しいサービスや商品は次々と生まれています。
継続的な利用を促すマーケティング施策や、PR活動を積極的に行うのがポイントです。

一方の一般ユーザー向けのBtoCサービスでは、家族構成や生活環境の変化で解約することが圧倒的です。
ユーザーのさまざまな事情を考慮して、継続してもらえるような魅力的なサービス展開が求められます。

顧客の分析不足

既存顧客のフォロー不足も、解約率を高めてしまう1つの要因です。
顧客満足度が下がると、解約率の上昇につながります。

チャーンレートを上げないためにも、アンケートやDMで顧客の意見を吸い上げ、フォロー体制の強化やサービス品質の向上を継続して続ける必要があります。

レベニューチャーンレートを改善する3つの方法

レベニューチャーンレートを改善する3つの方法

レベニューチャーンレートを改善する主な方法は次の通りです。

  • サービスの向上
  • 価格・料金の見直し
  • 顧客の利益を最大化

本章では、レベニューチャーンレートの改善方法を3つ紹介します。
それぞれの方法を組み合わせることで自社のビジネスプロセスの見直しにもつながり、より効果的なビジネス戦略を実現することができるでしょう。

サービスの向上

まずはサービス品質の向上を目指しましょう。
顧客の不満を取り除くことで、レベニューチャンレートの改善が期待できます。

定期的なヒアリング、アンケートを通してキャッチアップしていく姿勢が大切です。
改善点を分析してPDCAサイクルを回しましょう。

また、製品自体の問題以外にも、セールスやピーアール方法の見直しなども改善することが大切です。

価格・料金の見直し

競合他社と比較して、価格や料金の見直しをしてみましょう。
価格とサービスが見合っていれば、レベニューチャーンレートが高まることはありません。

ただし、初期費用が安くてもランニングコストが高いと解約率が高まる可能性があります。
ユーザーにとって継続しやすいプランの拡充や、コスト自体の見直しも重要です。

顧客の利益を最大化

最後は、顧客の利益や利便性の最大化を図ることです。

例えば、カスタマーサクセスやロイヤルカスタマーを設置し、不具合をいち早く改善したりサポート体制を充実させたりなど。
サポート体制が充実すると、信頼感が生まれ顧客との関係構築にも役立ちます

カスタマーサクセスについて詳しく知りたい方は下記の記事を参照してください。

業績改善にはレベニューチャーンレートの把握が重要

業績改善にはレベニューチャーンレートの把握が重要

レベニューチャーンレートは収益基準の解約率で、事業を進める上で重要な指標です。
自社のサービスを加速させるためにも、レベニューチャーンレートを算出する方法を知っておきましょう。

日々チャーンレートを見直すタスクを設けて、自社サービスの動向を伺うのがおすすめです。
また、サービスのブラッシュアップを怠らず、ユーザーの利益を最大限にサポートしましょう。

顧客満足度を向上するにはカスタマー部門の設置、増員が最適です。

当メディアを運営する株式会社soraプロジェクトでは、インサイドセールスやカスタマーサービスの営業支援を行っております。自社サービスの拡充を考えている方や、これから立ち上げを考えている方に向けてサポートいたします。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。