リベートとは?意味や活用シーン・会計処理方法を具体的に解説

この記事を読むのに要する時間:約 2

主に小売業などで用いられることの多いリベート取引。
曖昧な知識のまま行うと、違法と判断されるケースがあるので注意が必要です。
また、リベート後の会計処理が複雑になることから、「リベートを活用したいけど会計処理が難しい」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、リベート取引についてわかりやすく解説します。
効果的に活用できるシーンや会計処理の方法も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

リベートとは

リベートとは手数料・謝礼・賄賂を意味する英語で、rebateと表記します。
主に小売業などで販売促進を目的に行われる取引で、取引高などの条件をもとに仕入代金の一部を払い戻すことを指します。

ここからは、リベートについてさらに掘り下げて解説。
まずはリベートの概要について、正しく理解を深めていきましょう。

リベートの種類

リベートの種類は大きく分けて2つあります。
適切に使い分けるためにも、それぞれの違いや特徴をチェックしてみてください。

支払いリベート

支払いリベートとは、売上割戻のことを指します。
商材の売上高をもとに支払われる手数料なので、支払いリベートと呼びます。

特徴は、一度売り上げた商材に対して、売上の一部を購入者に戻すことです。
一度売上があがっているため、会計処理が複雑になる点に注意しましょう。
会計処理方法については、後述にて詳しく紹介していきます。

受取リベート

受取リベートは仕入返戻を意味し、自社が仕入れをする際に発生する手数料を指します。
主に以下の5種類に分かれているのが特徴です。

種類意味
仕入リベート仕入条件に応じて、仕入代金の一部が返礼されるリベート。
導入リベート特定の商材の取引時に用いられるリベート。
個人商談リベート周年記念やキャンペーンなどのイベント時に、個人商談で条件が決められるリベート。
達成リベート決められた条件を達成した際に発生するリベート。
累進リベート仕入れ額×リベート率で算出されるリベート。仕入れ額が多い時に有利な取引。

取引内容によってリベートを使い分けることで、販売促進だけでなく、取引先のモチベーションアップなどにも有効な手段です。
シーンに応じて適切なリベートを活用し、より高い効果を発揮できるよう工夫しましょう。

キックバックとの違い

リベートとキックバックの違いは、特にありません。
営業の場合はキックバックやバックマージンと表すこともありますが、基本的に意味は同じです。

どちらにしても注意すべきなのは、取引前から割引が決められているわけではないこと。
あくまで、取引した後に割り戻す形が取られるのが大きな特徴です。

営業におけるリベートの主な活用シーン

リベートの意味や種類を紹介してきましたが、「具体的にどのように活用できるのかイメージが湧かない」「自社で活用するならどういう活用方法があるか知りたい」という方も多いのではないでしょうか。

ここからは、営業シーンで活用されることの多いリベート例をご紹介します。
自社の取引で活用できそうなものがないかを検討しながら、チェックしてみてください。

1.大ロット購入の代わりに支払う

まず、大量仕入れをする・してもらう場合に活用できます。
あらかじめ設定した数量や金額を上回る仕入れが行われた時に、条件を超えた分のリベートが支払われるイメージです。
仕入先にも購入者にもメリットがあることから、よく活用される方法のひとつです。

扱い可能なリベートの種類としては、仕入リベート・達成リベート・累進リベートがあげられます。
取引先のモチベーションアップのために活用するなら、達成リベートとしての扱いがおすすめです。

2.長期契約の代わりに支払う

次に、契約期間に応じてリベートが支払われるケースもあります。
契約期間をリベートの条件として設定し、設定条件を上回る期間の契約をした場合にリベートが支払われるイメージです。
長期契約の獲得を強化している場合、活用によって高い効果が期待できます。

この場合は仕入れ先の要求に応じたリベートとなり、仕入リベートが該当します。
また、導入リベートが該当することもあり、メーカーが力を入れている商材に対するリベートであることから、リベート率が高く設定されていることが多いのが特徴です。

3.要求に応じてもらったお礼に支払う

小売業の場合に多いのが、要求に応じてもらったお礼にリベートを支払うケースです。
例えば、商品を店頭の目立つ位置に陳列する、おすすめ商品としてPOPをつけて販売するなどの販売促進活動での活用が挙げられます。

この場合、実際に商品が販売されなくても、販促活動や営業活動に協力してもらったお礼として支払われるのが特徴です。
売上に対してのリベートではない点に注意しましょう。

リベートを活用する際の3つの注意点

販促活動や営業活動に効果的なリベートですが、注意しないと取引先とのトラブルや生産性低下につながる可能性があるので注意が必要です。
リベートにおける失敗例やデメリット・注意点を事前に把握し、いざ活用する際の参考にしましょう。

ここからは、リベートを活用する際の注意点を3つ紹介します。
活用前にチェックして、対策を講じたうえで進めるようにしましょう。

違法リベートと判断されることがある

リベートを活用する際に特に気をつけたいのが、結果的に違法リベートとなってしまうことです。
基本的にはリベートは販促活動や営業活動の戦略のひとつとして認められている取引ですが、内容によっては違法と判断されてしまうケースがあります。
そのつもりがなくても結果的に違法となってしまうこともあるので、そうならないよう事前に違法リベート例を確認しておきましょう。

違法リベート例違法内容
競合他社が入る余地がないほどの好条件を設定する独占禁止法に触れる可能性がある
契約書などにリベート内容が明記されていない、契約書がない双方が同意のもとで行われたリベートであることが証明できない
会計処理が誤っている会計上隠ぺいしていると判断される可能性がある
公務員などの公的な職種でリベート用いる職権乱用したと判断され、賄賂罪や収賄罪に問われる可能性がある
企業ではなく個人でリベートを受け取る・支払う横領罪などに問われる可能性がある

上記の例から、リベートは正しく取り扱わないと、さまざまなリスクのある取引であることがわかります。
曖昧な知識のまま活用すると、取り返しのつかない状況になる恐れがあることを覚えておきましょう。
リベートの意味を正しく理解し、適切に設定したリベート内容で双方の合意を得たうえで取引することが大切です。

繰り返すことで商品価値が下がる

リベートは直接的な値下げや割引ではありませんが、繰り返すことで商品価値が下がる可能性があるので注意が必要です。
慣習的にリベートを行うと特別感がなくなり、元値がないようなものになってしまいます。

また、リベートが当たり前になることで、取引先からさらなるリベートを要求されるケースもあります。
毎回リベートを行うことで利益率が下がってしまう点にも要注意。
リベートの繰り返しで商品価値を下げてしまわないよう、活用シーンやタイミングを見極めて、メリハリのある取引を行うようにしましょう。

会計処理が複雑になる

会計処理が複雑になってしまうのが、リベートの大きなデメリットのひとつ。
前述した通り、リベートは会計処理を誤ると違法と判断されるケースがあるので要注意です。

また、慎重な会計処理が必要になる分、経理にかかるコストが増えてしまう点にも注意しましょう。
知識のある人材がいない場合には学習や教育が必要になり、さらにコストがかかってしまいます。

このような会計処理やコスト面の負担も検討したうえで、リベートの活用を決めるようにしてください。

リベートの正しい会計処理方法

リベートには明確な会計基準がないため、企業によって処理方法が異なることがあります。
取引内容や条件によってどうすべきか判断が求められるケースもあるので、さまざまな事例を確認しながら処理を行いましょう。

リベートを受け取った場合には、雑収入として計上もしくは仕入金額から控除するケースが一般的です。
雑収入としての処理は簡単ですが、営業外収益として税金がかかるのがデメリットです。
原価を正確に管理したい場合には、仕入金額から控除する方法を選びましょう。

リベートを支払った場合は契約書の有無によって処理方法が大きく異なるので、ここでは契約書の有無別に正しい会計処理方法を紹介していきます。

【契約書にリベートの明記がある場合】
勘定項目「売上割戻し」を使用して処理をします。
仕分処理は、「売上割戻し」(売上の減少)を借方に、「売掛金」を貸方に仕分けて取り崩します。

借方貸方
売上割戻し100,000売掛金100,000

処理のタイミングは、“見積もりが可能になった時”が一般的です。
そのため、契約書がある場合には、売上を計上するタイミングで処理を行いましょう。

【契約書にリベートの明記がない、契約書がない場合】
契約書などに記載がない場合には、取引先にリベートを通知した日もしくはリベートを支払った日に計上するようにしましょう。
売上を計上するタイミングとはずれてしまうため、仕分けは以下のように行います。

借方貸方
売掛金900,000売上高1,000,000
売上割戻し100,000

まとめ:リベートを活用して営業効果を高めよう

正しく活用することで高い営業効果が期待できるリベート。
主に小売業で、販売促進や取引先のモチベーションアップを目的に活用されることが多い取引です。
しかし、活用方法を間違えると違法と判断されるケースもあるので注意しましょう。

より効果的に営業活動を進めたいなら、営業代行会社の利用もおすすめです。
株式会社soraプロジェクトでは、インサイドセールスやテレアポ代行、企業リスト販売など、さまざまな営業支援を行っています。
企業が抱えている営業課題の明確化から戦略立案もサポートしているので、営業活動を見直したい方はぜひお問い合わせください。

投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。