セールスプロセスとは?営業課題を解決可能な理由と運用方法を解説

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顧客の購買活動の変化にともない、営業活動には柔軟性や変革が求められています。
営業工程を可視化したものを意味するセールスプロセスは、変革する必要性が特に高まっているのが現状です。

しかし、環境に適合したセールスプロセスは、どのように構築すると良いのでしょうか?
本記事では、セールスプロセスの組み立て方や運用時の注意点などを解説します。

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【基礎知識】セールスプロセスとは?

セールスプロセスとは、顧客に対するアプローチ工程を可視化したものです。
アプローチからクロージングまでを工程別に分類し、具体化して営業活動に落とし込みます。

アプローチ工程を細分化し、工程ごとの目的・実績が可視化されて検証が可能となるため、営業活動の改善につながります。
セールスプロセスにより、売上までの工程にある課題が明確になり、営業活動の低コスト化を実現可能です。

1.セールスプロセスは営業を要する全企業で必要

セールスプロセスは、業種・規模・BtoB・BtoCなどを問わず、営業活動を行う全ての企業にとって必要です。
なぜなら、営業が発生する企業は、セールスに人的・経済的コストが生じるからです。

セールスプロセスの適正化は、人的・経済的コストの両面において効果が高く、営業活動の低コスト化を期待できます。

セールスプロセスで得たデータは、顧客の購買活動やニーズの動向なども含み、会社にとって重要な情報リソースという観点からも有益です。
こうした情報は、経営判断にも活用できます。

2.購買活動の変化にセールスプロセスの変革が必要

近年では、顧客自身が製品・サービスに関する情報を収集するのが一般的です。
そのため営業は、基本的な情報提供力ではなく、柔軟な提案力や対応力が重要視されるようになりました。

従来のセールスプロセスにおいては、アプローチのスタート地点が顧客への情報提供だったのに対して、近年では顧客が求めるタイミングで必要な商談を設けることへと変化を遂げたのです。
しかし、顧客が求めるタイミングを正確に割り出すには、営業パーソン個人が所持している情報だけでは不足することも。

製品・サービスの制約につなげるには、ビッグデータのような大規模なデータが必要です。
さらに、適正なタイミングで的確なデータを活用するには、セールスプロセスによるアプローチ工程の可視化が欠かせません。

3.セールスプロセス運用が属人化抑止に有効

フィールドセールス中心の営業スタイルでは、営業の属人化が進行しやすく、売上のほとんどをトップ営業に依存している企業も少なくありませんでした。
しかし、セールスプロセスでアプローチ手法が可視化された場合は、属人化のリスクは大幅に減少します。

例えば、成功した複数のセールスプロセスをもとにテンプレートを作成した場合です。
テンプレートによってセールスプロセスが標準化され、属人化を防止するとともに、より効果的な営業活動が実施できます。

上記のように、セールスプロセスの活用によって、生産性向上・属人化リスク軽減などの効果に期待できるのです。

セールスプロセスを組み立てる5ステップとは?

セールスプロセスに該当する工程は、企業の体系や業種によって異なるものの、基本的な組み立て方は同じです。
本章では、セールスプロセスを組み立てる5つのステップを解説します。

自社の工程と照らしあわせながら参考にしてみましょう。

ステップ1.ホットリードを選出する

セールスプロセスでは、数値をはじめとした明確な基準でホットリードを選別します。
ホットリードとは、自社製品やサービスに強い興味を持つ、「見込み客」を指します。

ホットリードの選定はWebサイトへのアクセス回数・メルマガの開封率などをもとにスコアリングし、基準を超えたリードに限定して次のステップにつなげます。

ステップ2.ホットリードへのアプローチを行う

ホットリードには、下記の3ステップを参考にしながらアプローチしてみましょう。

  1. 顧客との接点作り:定期的なメルマガ・広告などで興味を抱いてもらう
  2. 顧客の現状把握・ニーズ調査:顧客のアクションをもとに課題・ニーズを探る
  3. 信頼の獲得:Webサイトのコンテンツ充実化・メルマガ・営業などで信頼を獲得

3つのステップを進めるときのポイントは、適切なタイミングでアプローチすることです。
タイミングが適切であれば、顧客は製品・サービスに興味を抱き、自発的に購買活動を起こします。

なお、信頼関係の構築を目指すのと同時に、顧客の潜在的なニーズを探るのも大切です。
潜在ニーズを把握できていた場合は、商談時の大きな武器になります。

ステップ3.顧客の課題解決策を商談で提示する

顧客の課題解決策を提示するために、ソリューション営業を実施します。

ソリューション営業では、商品を売り込むことではなく、あくまで課題の解決策を提案することが重要です。

ステップ3までに把握した顧客のニーズに基づいて、適切なソリューションを提案し、購買の決め手を作るよう努めましょう。
セールスプロセスでは、顧客のニーズ把握とソリューション営業が重要です。

また、ソリューション営業では顧客のニーズを数値化し、明確な判断基準を設けることも大切です。
数字で可視化できていれば属人化を防止できる上、集約したデータの有効活用にもつながります。

ステップ4.クロージング

セールスプロセスのクロージングは、製品・サービスの購入を顧客に納得してもらえるようフォローする工程です。
セールスプロセスでは、購入後にリピーターを獲得するのがゴールとなるため、納得してもらうことは非常に重要。

顧客に納得してもらうためには、解決策が有効な理由を理論立てて説明するのがポイントです。

ステップ5.顧客へのフォローアップ

セールスプロセスの最終ステップは、顧客へのフォローアップです。
顧客へのフォローアップは、LTV(顧客生涯価値)を重要視してリピーターを獲得するのがポイント。

顧客へのフォローアップは、前述したステップ1と同様に定期的なアプローチを実施します。
製品に対する顧客の興味を持続させ、リピーター獲得につなげるのです。

なお、セールスプロセスに顧客へのフォローアップを組み込むかは、提供する製品・サービスによって異なります。
自社の製品・サービスの強みや弱みを整理し、どこまでをセールスプロセスに組み込むかを検討してください。

セールスプロセス運用時の6つの注意点

セールスプロセスは、営業活動の改善と効率化に有効な方法である反面、運用を間違えると逆効果になる場合もあります。
本章では、セールスプロセスを運用する際の6つの注意点を解説します。

注意点1.セールスプロセスの枠組みは大きく設定

セールスプロセスを細分化しすぎた場合に発生する可能性のあるリスクは、おもに下記の3つです。

  • 不要なプロセスが発生
  • カテゴライズの認識統一が困難
  • カテゴライズにバラつきが生じてアナリティクスの精度が低下

セールスプロセスは大きな枠組みを基準に組み立てて運用しましょう。

注意点2.PDCAとセールスプロセスを同時に回す

セールスプロセスは、市場の動向や事業規模によって変動します。
したがって、必要時はセールスプロセスをリスト化し、不要なプロセスを整理することが大切です。

現状を分析しながら、構築したセールスプロセスのPDCAを回し、周囲の状況に合わせて組み直しましょう。

注意点3.自社の強みをセールスプロセスに反映

セールスプロセスでは、自社の強みと弱みを把握していることが大切です。
なぜなら、効果的なソリューション営業には、自社の強みを活かした戦略が欠かせないからです。

弱みは改善策を検討し、強みへと変換しながら対応を重ねてください。

注意点4.セールスプロセスの評価・判断基準を統一

セールスプロセスの構築は、経験やスキルに左右されずに、安定した営業力を手に入れるのも目的です。

安定した営業力の確保には、プロセス構築のほか、顧客のタイミングを計る判断基準が必須。
セールスプロセスは、判断基準となる数値・顧客行動などを明確にするのが大切です。

注意点5.顧客のCVをデータ化

顧客が製品・サービスを購入するまでに、購入を決定づける転換期(CV:conversion)があります。
顧客の心境が、購入へと転換するタイミングをデータとして蓄積・活用できれば、より効率的なアプローチが実現します。

セールスプロセスとCVはセットで構築し、理想的な営業活動へとつなげましょう。

注意点6.情報共有でセールスプロセスを適正運用

セールスプロセスは、全社的な情報共有のもとで運用する必要があります。
その理由は、営業部門は他部門との連携が必須であり、スムーズな連携には情報共有が欠かせないためです。

理想としては、セールスプロセスが可視化された状態になっており、必要なときに必要な人がすぐに確認できる状態です。
会社のクラウドサーバーや共有フォルダなど、運用しやすい方法を検討し、適正な運用を心がけてください。

セールスプロセスに活用可能な3つのフレームワーク

セールスプロセスの構築には、フレームワークを活用するのもひとつの手段です。
フレームワークは論理的かつ合理的な判断の助けになる上に、短時間で可視化できるため、セールスプロセス構築の効率化に期待できます。

本章では、セールスプロセスに活用できる3つのフレームワークを解説します。

フレームワーク1.ヒアリングに活用「BANT条件」

BANT条件とは、予算(Budget)・決裁権(Authority)・需要(Needs)・導入時期(Time frame)の頭文字を取った言葉です。
ヒアリング時にBANT条件を確認することで、顧客の主要な要件を確認できるため、失注リスクを軽減できます。

ヒアリングに課題を感じる場合は、BANT条件の聞き取りを目標とするとスムーズに進みます。

フレームワーク2.意思決定フローを可視化「DMUマップ」

DMU(Decision Making Unit:意思決定関与者)マップとは、顧客の意思決定フローを可視化することで、商談相手を明確にできるワークフローです。
誰に対して商談すべきかが明確になり、より効果的なアプローチが可能になります。

ただし、DMUは役職と無関係の場合がある点に要注意。
ヒアリングをはじめとした接触機会に、誰がDMUとなるのかを聞き取るように努めて、商談の確度を高めると良いでしょう。

フレームワーク3.ソリューション営業で活用「FABE分析」

FABE分析とは、顧客に提案するときの順番を明確にして、コンセプトを分かりやすく伝えるためのワークフローです。
FABEは、特徴(Faeture)・利点(Advatage)・便益(Benefit)・証拠(Evidence)の頭文字。

プレゼンテーションが苦手な人は、FABEの順番に沿って作成し、顧客に提案すると効果的です。

セールスプロセスを総合支援できるソリューションをお探しの方へ

本記事では、セールスプロセスの基礎知識や構築の手順、注意点などを解説しました。
セールスプロセスを変革する際に、課題になりがちなのは、営業パーソンの動向をいかにして可視化するかという点です。

当メディアを運営する株式会社soraプロジェクトでは、営業パーソンの行動管理のほか、顧客情報管理・案件進捗管理が可能なSFAを活用した営業代行サービスを提供しております。
現状のセールスプロセスの可視化や人材不足などでお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様に
ターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。