顧客の購買行動が把握できるカスタマージャーニーマップとその作成手順

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スマホの普及に伴い消費者の購買行動も大きく変わってきました。欲しいと思う商品があったら、その商品に関する情報を集め、比較検討して購入するという一連の行動をスマホで一瞬にして行うなど従来とは違った流れになってきています。そのため顧客が購入に至るまでの道のりであるカスタマージャーニーをどう設定するかが売上に大きく影響するのです。今回はカスタマージャーニーマップとその作成手順について詳しく解説します。

カスタマージャーニーとは?

顧客は商品を購入する際に、例えば資料請求をして情報を収集したり、商品や購入する店舗を比較したりするなどの行動を起こします。この顧客の一連の行動を旅に例えて「カスタマージャーニー」といいます。

ネットやスマホが普及する以前は、消費者が商品情報に触れる場面はある程度限られていました。しかし現在ではメーカーや販売店のWEBサイトはもちろんのこと、比較サイトやまとめサイト、ブログ、SNSなど、さまざまなメディアを通して情報を得ることが可能です。そのため顧客が商品を認知してから購入に至るまでの道のりは複雑化しており、顧客が時系列に沿ってどんな行動を取ったのかを明確に把握することがマーケティングには欠かせません。顧客はいつどのようにして自社の商品を知ったのか、どんな方法で競合他社の商品と比較したか、自社商品にはどんな印象を持ったのか、購入を決定した決め手はどこにあったのかなど顧客の行動を理解することが重要になります。

これがカスタマージャーニーのマーケティング手法で、カスタマージャーニーをどうマネジメントできるかがマーケティングの精度を高めるためのカギになるのです。顧客がどこで情報を収集したのか、どんな思考をしたのかなど顧客の「行動」「思考」「感情」を把握してカスタマージャーニーをマネジメントし、顧客を購入へとスムーズに誘導することが大切になります。そのために効果的なのが「カスタマージャーニーマップ」の作成です。

カスタマージャーニーマップはなぜ重要なのか?

カスタマージャーニーマップとはカスタマージャーニーを視覚化したもので、顧客がたどる道のりを示す地図といえます。顧客が購入に至るまでの一連の行動を落とし込んでカスタマージャーニーマップを作成することで、顧客が購入に至るまでどんな行動を取るのか、その全体像を把握することが可能になります。

カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客の行動のどの段階に課題があるのか、どの段階のマーケティング施策を強化すればより売上を高めることができるのかなども見えやすくなるでしょう。マップとして視覚化されるため顧客がどんな行動を取るか社内で共有しやすくなりますので、課題に対して共通認識を持ちやすくなるというメリットもあります。発信する情報や提供するコンテンツについて担当者による内容のズレを防ぐことにもつながるので、統一性のある情報発信が可能になります。

また顧客目線でものを見ることができるようになるので、ターゲット像も明確になってより顧客の立場に立ったマーケティングが可能になるでしょう。顧客の行動を理解し、効果的なマーケティング施策を行うためにカスタマージャーニーマップの作成は欠かせません。

カスタマージャーニーマップの作成手順

カスタマージャーニーマップの作成は次の手順で進めます。

1. ペルソナの設定

ペルソナとはターゲットをより詳細に設定した顧客像のことです。30代、女性というような漠然とした設定ではなく、「都内に住む35歳の女性で金融機関に勤務、未婚で食べ歩きにはまっている、イタリア料理が好きで自炊はほとんどしない、年収は○○万円で貯蓄は○○万円」のように、あたかも実在する人間のように設定するのがポイントになります。

2. 行動のフレームワーク設定

設定したペルソナが自社の商品を認知してから購入に至るまでどんな行動をとるのか、その仮説を設定します。業種や業態、販売している商品によっても違ってきますが、一般的には、「認知」「興味」「情報収集」「比較検討」「購入」のステップを踏むことになるでしょう。

3. フレームワークへの落とし込み

ペルソナが取るであろう行動を各フレームワークへ落とし込みます。例えば「認知」であれば通勤中のスマホでSNSから、「情報収集」であれば自宅のPCで比較サイトから、のように具体的に落とし込んでいきます。
これでカスタマージャーニーマップの出来上がりですが、図形なども使って一目でわかる地図のように視覚化することがポイントです。カスタマージャーニーマップが出来上がると、現在行っている施策とのギャップ、今後どこに重点的に力を入れれば良いのかなども見えてくるでしょう。

カスタマージャーニーにおけるコールセンターの役割と注意点

マーケティングにコールセンターを活用している場合には、カスタマージャーニーマップもそれに合わせて作成することが必要です。コールセンターのメイン業務がアウトバウンドであってもインバウンドであっても売上につなげるためには他部門との連携が欠かせません。

例えば商品に対する問い合わせがコールセンターにあった場合、その成約可能性を判断して顧客と面談する営業部門にスムーズに引き継がなければなりません。またWEBサイトを通じてシステム部門に問い合わせがあった場合、コールセンターがいつどのようにフォローするのかなどのルール決めが必要になるでしょう。

このようにコールセンターには多くの部門と連携することが求められます。そのため営業部門やマーケティング部門、システム部門などとスムーズに連携するためには情報を共有化するシステムの構築が必要になるでしょう。さらにそれを踏まえたカスタマージャーニーマップを作成することで、コールセンターの効果を最大限に発揮できるようになります。

顧客の購買行動を理解してマーケティングの精度を高めよう

スマホの普及や各種SNS、アプリの活用によって顧客の購買行動は複雑になっています。そのため自社のターゲットがどんなカスタマージャーニーを経て購買に至るのかをしっかりと把握することが大切です。多様化した顧客の購買行動を理解し、最適なマーケティング施策を行うためにカスタマージャーニーマップの作成は欠かせません。

自社にとって最適なペルソナを設定することで、各フレームワークで顧客がどんな行動を取るのかもイメージしやすくなるでしょう。しかしカスタマージャーニーマップを作ってそれで終わりにしては意味がありません。社内でしっかりと活用し、必要があればどんどん修正を加えることも重要です。自社ならではのカスタマージャーニーマップを作成し、マーケティングの精度を高めて業績アップにつなげていきましょう。

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投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。