ニーズとは?ウォンツやシーズとの違い、引き出し方を徹底解説

この記事を読むのに要する時間:約 2

マーケティングや営業活動で重要なカギとなるニーズ。
顧客満足や売上拡大を目指すうえでは、このニーズを正しく理解することが非常に重要です。

しかし、ニーズの意味を理解できていない方や、類似用語であるウォンツやシーズとの違いがわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ニーズの意味や重要性、ウォンツやシーズとの違いを解説します。
ニーズを把握するためのポイントも紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

ニーズとは

ニーズとは、日本語で直訳すると「必要性」という意味です。
ビジネスシーンでは顧客ニーズといった使い方をされることが多く、顧客の必要としているもの(理由・目的)を指します

このニーズを満たすことが、顧客満足度向上や売上拡大の大きなポイント。
誤った解釈で進めてしまうと、クレームや失注につながる危険性もあるので注意が必要です。

ここからは、ニーズをさらに掘り下げて解説します。
種類や類似用語との違いを紹介するので、ぜひ理解を深めてみてください。

ニーズの種類

ニーズには以下のような種類が存在します。

  1. 顧客ニーズ
  2. 基本的ニーズ
  3. 副次的ニーズ
  4. 機能的ニーズ
  5. 情緒的ニーズ

このなかでも、あらゆるビジネスシーンでカギとなるのが顧客ニーズです。
顧客ニーズは、顧客(個人または法人)が抱える課題を指します。
単なる「○○したい、○○が欲しい」という欲求ではなく、その先にある「なぜそう思うのか」の部分が顧客ニーズです。

例えば、顧客が「スマートフォンを替えたい」と考えている場合、「なぜスマートフォンを替えたいのか」という理由や目的が顧客ニーズです。
ここの認識を誤ってしまうと、顧客の求める商品やサービスを的確に提案できないので注意しましょう。

また、顧客ニーズは「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」の2つに分けられます。
顕在ニーズは顧客が自覚しているニーズを指し、潜在ニーズは自覚していないニーズを指します。

顕在ニーズだけをヒアリングしてニーズを把握したつもりになっていると、意外なところに顧客自身も自覚していない傾向やニーズが隠れていることもあるので注意が必要。
顧客満足度の向上につなげるためには、潜在ニーズの把握も非常に大切です。

ウォンツとの違い

ウォンツとは、ニーズの手前にある顧客の欲求を指します。
前述の例で説明すると、「スマートフォンを替えたい」というのがウォンツです。

(例)
【ウォンツ】スマートフォンを替えたい
【ニーズ】料金を抑えたい、使いやすさを改善したい、より格好いいデザインに変えたい

もし「スマートフォンを替えたい」こと自体がニーズだと判断し、料金を抑えることを求める顧客に高額の商品を紹介してしまうと、顧客満足度の低下につながりかねません。
一方で、ニーズをしっかりと把握できていれば、今の料金よりも安く使える機種やプランを提案できるので、顧客満足度は向上します。

このように、ウォンツとニーズの意味はビジネスにおいて明確に分かれています。

シーズとの違い

シーズとは、企業の商品やサービスの持つ価値や強み・魅力を指します。
ニーズと言葉は似ていますが、ニーズは顧客サイド、シーズは企業サイドを指す対照的な言葉です。

【ニーズ】顧客が商品やサービスに対して求めるもの(理想と現実のギャップを埋めるもの)
【シーズ】企業の商品やサービスが持つ価値や強み・魅力(顧客ニーズを満たすもの)

マーケティングにおいては、ニーズ志向・シーズ志向として使われることも多いので、それぞれの違いを理解することも大切です。

【ニーズ志向】顧客ニーズに合わせて商品やサービスを開発する考え方
【シーズ志向】自社の強みをベースに商品やサービスを開発する考え方

ニーズは顧客視点、シーズは企業視点という点が大きな違いと言えます。

ニーズを把握すべき3つの理由

ビジネスシーンにおいて顧客ニーズの把握は、営業活動の第一歩です。

ここからは、ニーズを把握すべき理由をご紹介します。
これから営業活動をする方や、営業活動がなかなか上手くいかない方はぜひチェックしてください。

1.提案の成功率が高まる

まず、顧客ニーズを把握して提案の成功率を高めましょう。
特に顕在ニーズのある顧客の場合、「○○を満たしたい」という明確な欲求を抱えています。

もしそのニーズにマッチしない提案をされた場合、「こちらのことを何もわかっていない」「表面しか見ていない」といった不満や不信感につながるだけでなく、最悪の場合は他社に流れてしまう懸念があります。

すぐに結果を出したいあまり焦って提案してしまうと、このようなミスマッチが生じやすいので注意が必要です。
より具体的かつ事細かにニーズを把握できると、一方的な押し売りにならず、ニーズに合致した提案ができます。

営業活動の目的は、商材を売ることではなく、顧客の課題を解決することです。
顧客は必要としていたものを満たす提案を受ければ、好意的な感情を抱き、前向きに検討をしてくれます。
そうすると、結果的に売上拡大にもつながっていく、という流れが生まれます。

相手の求めるスピード感にもよりますが、多少時間がかかってもニーズを正しく把握したうえで提案するようにしましょう。

2.新商品やサービスの企画に役立つ

ニーズ志向でマーケティングを行う場合には、顧客ニーズの把握は売れる商品やサービスの企画・開発に役立ちます。
せっかく時間をかけて商品やサービスを開発しても、必要としている顧客が少なければ大きな売上にはつながりません。
そのため、事前に顧客ニーズを把握しておけば、市場価値にマッチした商品やサービスの開発につながります。

ゼロから商品やサービスの企画・開発をするとき、あるいは改善を行う際には、ターゲット層のニーズを改めてヒアリングするのもおすすめです。
今市場ではどのようなものが求められているのか、トレンドは何かなど、ニーズを把握したうえで新商品やサービスの企画をしてみてください。

3.顧客の満足度向上につながる

最後に、顧客の満足度向上につながる点もニーズを把握すべき理由のひとつです。
ニーズにマッチした商品やサービスを提供できれば、「抱えている課題を解決できた」という顧客の満足感につながります。
その課題の緊急性や重要性が高ければ高いほど、得られる満足感や信頼も高まります。

近年はSNSが普及したことで、口コミが世間に与える影響は年々大きくなっています。
顧客の満足度が向上すれば、良い口コミや評判が広がり、波及効果で新たな問い合わせや申し込みにつながりやすくなる点もメリットの一つです。

営業活動で効果的なニーズの引き出し方

顧客ニーズを把握する方法はいくつかありますが、なかでも効果的な方法を4つ紹介します。
それぞれメリット・デメリットがあるので、あわせてチェックしてみてください。

顧客にヒアリングする

もっとも確実なのは、対象である顧客に直接ヒアリングすることです。
なぜなら、実際の顧客のニーズを把握できれば、そのニーズに合わせた提案ができ、成約への近道となるからです。

また、その顧客の周りの話を聞くことは、さらに幅広いニーズの把握に役立ちます。
うまく話が進めば、同じような悩み・課題を抱いている顧客を紹介してもらえる可能性も出てきます。

新規・休眠・既存に関わらず、顧客と話をするときは、まずは相手のニーズをヒアリングするところから始めましょう。
ニーズを把握せずに一方的に提案してしまうと、「こちらの要求を知らないのになぜ提案できるのだろう」といった疑問や不安につながります。
そういった意味でも、顧客に直接ニーズをヒアリングすることは非常に効果的です。

SNSの口コミを調査する

次に、より多くのニーズを収集したい場合には、SNSの口コミも有効です。
対象者に掘り下げて質問できない点がデメリットですが、数多くの口コミを確認できればさまざまな傾向を把握できます。
個人なら年代、法人なら業種などの属性別に集計すれば、ニーズとして役立つデータとして使えます。

ポイントは、調査対象者をきちんと絞ることと、なるべく具体的に調査することです。
曖昧な調査ではウォンツしか把握できず、ウォンツ=ニーズと誤った解釈をしてしまう危険性もあります。

また、信ぴょう性の高い口コミを集めることも重要です。
ただし、調査する際には、すべての情報を鵜呑みにしないよう注意しましょう。

アンケートを実施する

顧客にヒアリングするよりも幅広く、SNSで口コミ調査を行うよりも具体的にニーズを把握したい場合は、アンケートの実施もおすすめです。
アンケート実施方法はさまざまですが、過去に接触のある全顧客への一斉メールや、Web上にアンケートを用意する方法があります。

アンケートは事前に項目を決めておけるので、知りたい情報を確実にヒアリングできるのがメリット。
記名にすれば回答者の属性を確認でき、無記名にすればより多くの回答を集められるのが特徴です。

しかし、「回答に時間がかかりそう」「自分にメリットがないのに回答するのは嫌」などと敬遠されてしまう可能性もあります。
アンケート調査会社に依頼する方法もありますが、費用がかかるので事前に費用感を調べてから実施可否を決めましょう。

インタビューを行う

時間と労力はかかってしまいますが、対象者へインタビューを実施するのもひとつの方法です。

一般的な方法は、街中でストリートキャッチを行って回答を集める街頭調査。
対面でヒアリングできるので信ぴょう性の高い回答を集められるのが大きなメリットです。
しかし、対象者の条件を絞ったうえでの声掛けは難しいので、声を掛けてみたらターゲットと異なっていたというリスクもあります。

また、有効な回答を集められるかどうかがインタビュアーのスキルによって左右される点にも注意が必要です。
インタビューを行う際には、事前にヒアリング内容をまとめたインタビューシートを用意するなど、入念な準備を行いましょう。

ニーズをヒアリングする際のポイント

「ニーズをヒアリングする」と言っても、的確にニーズを引き出すのは意外と難しいものです。
一度で確実にニーズを把握するために、ポイントを押さえたうえでヒアリングを行いましょう。

ここからは、ニーズをヒアリングする際のポイントを3つ紹介します。
ヒアリング方法に関わらず、これから紹介する3点を意識してニーズのヒアリングをしてみてください。

ニーズ仮説を立ててからヒアリング(検証)する

ニーズのヒアリングのゴールは、顧客の課題を明確にすることです。
課題を自覚している相手からのヒアリングは比較的容易ですが、潜在ニーズを抱えている相手の場合、うまく質問できないと課題を明確にできずに終わってしまう可能性もあります。

そのため、事前にニーズの仮説を立ててからヒアリングし、検証することで「課題は何か」の認識をすり合わせていきましょう。
仮説と検証を繰り返すことで、次第に仮説の精度も上がっていきます。

闇雲にヒアリングをしても、具体的な質問ができないので、的確なニーズを引き出すことは難しいです。
具体的な質問で少しずつ相手のニーズを引き出すためにも、間違えていても良いので事前に必ず仮説を立ててみてください。

「なぜ」を活用してウォンツをしっかりと掘り下げる

ヒアリングの際によくあるのが、ウォンツは明確だがニーズは曖昧なケースです。

例えば、「スマートフォンを替えたい」という相手にヒアリングした場合、「なぜですか?」と聞いたら「なんとなく」という答えが返ってきたとします。
その「なんとなく」をしっかりと掘り下げることが、ニーズの把握では非常に重要です。

ここで役立つのが、前述したニーズ仮説です。
仮説を立てておけば、「今のスマートフォンは操作性に不便な点がありますか?」「必要な機能が装備されていないですか?」「重量が重い、サイズが大きすぎるなどの使いにくさがありますか?」など、しっかりと掘り下げるための質問ができます。

ウォンツが見えたら、そこを軸にしっかりと掘り下げることがポイントです。

営業と顧客で課題認識を一致させる

ニーズをヒアリングする際に忘れがちなのが、営業(自身)と顧客(相手)で認識を一致させることです。

ヒアリングをするなかで「これがニーズだ」と思っても、相手はそうは認識していない場合もあります。
相手がニーズを認識していないまま提案をしても、結局必要性を理解していないので成約につなげることは困難です。

そのため、ニーズが見えてきたら「○○○○という理由で、○○○したいと思っているのですね」と確認し、相手にも「それが自分の課題である」と認識してもらいましょう。
営業と顧客で課題認識を一致させることが、ニーズのヒアリングのゴールです。

まとめ:顧客ニーズを把握して営業の成功率を高めよう

マーケティングや営業活動の目的となる「顧客の課題解決」に欠かせない、顧客ニーズの把握。
ある欲求に対して「なぜそう思うのか」という理由や目的まで確認することで、提案の精度を高めることができます。

さらにマーケティングや営業活動の質を高めたい場合は、営業代行会社に依頼するのもひとつの方法です。
株式会社soraプロジェクトは、テレアポやインサイドセールスをはじめとする営業代行から、Webマーケティング支援まで、幅広い分野で企業をサポートしています。
マーケティングと営業活動をうまく使い分けて、売上を向上させるためのサポートを行っているので、気になる方はぜひお問い合わせください。

投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。