仮説提案営業とは?ベストセラーでも話題になった営業の手法を解説

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ベストセラーになったことでも話題の「仮説提案営業」は、営業の技法として知っておく、身につけておくのに越したことはないでしょう。
しかし、実際には単語のイメージだけを漠然と持っているという人は多いかもしれません。

  • 仮説提案営業とは何か?
  • 仮説を提案することで、何が変わるのか?
  • どうやったら身につけられるのか

具体的な手法については上記のようにさまざまな疑問が出てきますよね。

仮説提案営業は、その名のとおり、事前に立てた仮説に基づいて実施する営業手法を示します。
利用することによって、成約しやすくなり、今後の営業部門の永続的な発展にも寄与することが期待される営業手法です。

本記事では仮説提案営業の基礎知識や具体的な練習方法などを解説します。
ぜひ参考にしてください。

なお、株式会社soraプロジェクトでは営業代行の基礎をまとめた資料「マーケ・営業・IS担当者必見!はじめての営業代行」を無料で配布しています。

仮説提案(型)営業の基礎知識

まずは仮説提案営業がどういうものかを理解しておきましょう。
ここでは概要とメリット、そして必要とされている理由に関して解説します。

仮説提案営業の概要

仮設提案営業は、営業コンサルタントの城野えん氏による著書「仮設提案営業実践講座」で語られた一連の営業手法を指します。

商談前に得られるあらゆる情報を総合して、顧客の状況やニーズを仮説立てます。
そのうえで営業に臨むことで、成約率を高められるというわけです。

著書の商品紹介には、(仮説に基づく)提案力は、あらゆる業界で共通して通用する武器だと紹介されています。

ただし「仮説を立てたうえで商談に臨む」のは珍しいことではありません。
著者によれば、「事実をただ受け止めるだけでなく、『それがどういうものなのか』を繰り返し考えて、より精度の高い仮説を立てる、もしくはその能力を得る」のが重要、とのことです。

仮説提案営業のメリット

城野えん氏の著書内容などを総合する限り、仮説提案営業には以下のメリットがあるでしょう。

  • 顧客が本当に求めるものを提供できる
  • 仮説が的中した場合の顧客からの印象がよい
  • 自分で考える力が身につく

仮説が正しかった場合、顧客が本当に求めるものを提供できます。
こうなれば、成約率が高まるのは必然です。

もちろん顧客からも、「まさにその通りだ、よくわかってくれている」などと好印象に思われるでしょう。

また「自分で考える力が身につく」というメリットも挙げられます。

仮説提案営業では、後述するようにかなり泥臭いトレーニングが必要です。
その過程で、「どうやったら成約するか」「何をすればよいか」を、営業担当者自身が考えるようになります。

結果として、ただ言われたとおりにやるだけでなく、自分で考えられる人材に育っていくでしょう。

なぜ仮説提案営業が必要とされるのか

仮説提案営業が必要とされるようになった理由として、「顧客ニーズが複雑化した点」が挙げられます。

近年はインターネットの発達により、顧客はあらゆる選択肢を選べるようになりました。
その背景において、仮に「インターネットで何かを宣伝したい」という希望が顧客からあった場合を想定しましょう。

この場合には

  • 売り上げ数を増やしたい
  • 認知度を上げたい
  • ブランディングしたい

上記のようなニーズが想定されます。

顧客が「宣伝したい」と相談してきた場合に、そのままニーズを丸呑みするのでなく、こちらから潜在的なニーズの仮説を立て、「認知度を上げたいなら、こうすればよい」と的確な提案ができるようになります。

このように複雑化したニーズに適切に回答できる点が、仮説提案営業が必要とされる理由といえるでしょう。

仮説提案営業の思考の基本的な流れ

仮説提案営業は、基本的には以下の流れ進められます。

  1. 最低限の情報を集める
  2. 顧客のミッションを考える
  3. 問題と解決それぞれの仮説を考える
  4. 仮説立てながら商談を進める

ただしここで解説している流れは、城野えん氏の「仮説提案営業実践講座」で書かれていることを要約したものです。
きちんとマスターしたいのであれば、本書を読むことを推奨します。

1.最低限の情報を集める

まず、商談前に得られる一般的な情報はきちんと集めましょう

仮説を立てるには、当然ながら情報が必要です。
それが多ければ多いほど、仮説は信憑性の高いものとなるでしょう。

商談相手が新規顧客だった場合、情報が十分にそろわないかもしれません。
そう考えた場合は、顧客に対してより多くの情報を提示してもらえるよう、相談するとよいでしょう。

2.顧客のミッションを考える

続いて、顧客のミッションが何であるかを考えましょう
なぜなら、本当に顧客にとって必要なものを提案するためのヒントになりうるからです。

例えば、顧客の最終的なミッションが「ソフトウェアの提供により、経理作業をシンプルにする」のなら、どうやってソフトウェアを売り込むべきか、どのように表現すべきかが重要だとわかるでしょう。

そしてミッションを常に意識することにより、的外れな仮説を立てたり、提案をしたりするリスクも減らせます。

3.問題と解決の仮説をそれぞれSo Whatで考える

続いて、問題と解決それぞれに対する仮説を立てていきましょう。
つまり「今現在、何が問題で」「そのためには何が必要か」を想像するステップです。

ここで重要になるのが、「So What(だから、何が必要?)」という自問自答です。
これを繰り返すことで、本当に必要な提案を見つけられます。

一例として、以下が挙げられます。

  1. 「我が社(顧客)の目的は、会計ソフトウェアの普及です」
  2. 「だから、会計ソフトウェアを売る必要があります」
  3. 「だから、会計ソフトウェアを営業で売らなければいけません」
  4. 「だから、まずは会計ソフトウェアの知名度を上げなければいけません」
  5. 「だから、知名度アップのためにWeb広告を打つ必要があります」
  6. 「だから、Web広告に対するナレッジと運用担当者が必要です」

このように「So What」を繰り返すことで、本当に必要なのは「Web広告に対するナレッジと運用担当者」であるという仮説が立てられました。

仮設提案営業の基本はこの形です。
ただし、数回自問自答しただけで、すべての答えが出るわけではありません。

何度も本来のニーズが明確になるまで「So What」を繰り返し、もっとも有力な仮説を見出す努力が必要です。

4.仮説立てながら商談を進める

最後に、商談に臨むステップです。

顧客と対面すると、現状にはない情報を得られることも多々あります。
「実は……」といった形で、何らかの事情が明かされることもあります。

その情報と、用意した仮説を組み合わせると、どのように営業すべきなのかが見えてくるでしょう。

つまり対面するなかで、仮説が正しいことを裏付けるようなイメージです。

仮説提案営業を身につける方法

仮説提案営業を身につける方法は、大きく分けて3つあります。

  • 書籍としての仮説提案営業を読んで仮説の立て方を理解する
  • So whatで自問自答する
  • 架空の顧客に対して仮説を立てる

それぞれについて詳しく解説するので、参考にしてください。

書籍としての仮説提案営業を読んで仮説の立て方を理解する

まず書籍としての「仮説提案営業実践講座」を読むことは、最低限必要となるでしょう。

本記事でも仮説の立て方などを解説しましたが、大枠でフレームワークを紹介したに過ぎません。
本書では仮説提案営業をさらに細かく、図解しながら解説されています。

仮説提案営業を正確にマスターするなら、書籍は読んでおきましょう。

So whatで自問自答する

仮説を立てるにはSo whatで考えていくことが大切です。

これを身につけるため、普段から、「So What(なぜこうなのか)」を考える癖をつけておくとよいでしょう。

例えば、以下のような具合です。

  • 「なぜ東北地方の信号機はタテ向けに設置されているのか」▶︎積雪量を減らすため
  • 「なぜ積雪量を減らすのか」▶︎雪が道路に落ちるのを防ぐため
  • 「なぜ雪が道路に落ちるのを防ぐのか」▶︎事故を防ぐため
  • 「なぜ事故を防ぐ必要があるか」▶︎死者を減らすため……

架空の顧客に対して仮説を立てる

さらなる練習法として、架空の顧客に対して仮説を立てる方法もあります。

書籍でも「日本政府を相手に仮説提案するケース」に関して解説がありますが、これと同じ要領です。
相対しうる架空の顧客を考えて、そこに対して仮説を立ててみましょう。

これを繰り返すことで仮説を立てることに慣れ、精度も高められます。

仮説提案営業に関するよくある質問

本記事では仮説提案営業に関して解説しました。
ここではよくある質問に回答します。

  • 仮説が外れていた場合はどうすればよいか?
  • ニーズ仮説とは?
  • 仮説提案営業のKindle版はある?

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。

仮説が外れていた場合はどうすればよいか?

結論からいえば、仮説が外れていても慌てる必要はありません。

商談までにきちんと準備していたなら、他に有力な仮説も持っているはずです。

「ではこういうことでしょうか?」と提案してみましょう。
それで仮説が外れていたとしてもかまいません。

相手からすれば「一所懸命、考えてくれる人」と映っているはずです。

焦らず、その場で持ち合わせている情報から、正解と思しき仮説を探りましょう。

ニーズ仮説とは?

ニーズ仮説とは、おそらく「顧客が何を望んでいるか仮説立てる行為」を示すと思われます。
つまり、仮説提案営業に含まれている一連のプロセスのひとつと考えるのがよいでしょう。

仮説提案営業のKindle版はある?

城野えん氏の「仮説提案営業実践講座」Kindle版は存在しません。

ただしAmazonで単行本として購入することは可能です。

まとめ:仮説提案営業で大きな変化があるかもしれない

本記事では仮説提案営業に関して解説しました。
最後に重要なポイントをおさらいしましょう。

  • 仮設提案営業とは、事実に根差した高度な仮説をもってして営業を進める一連の営業手法
  • 仮説提案営業をマスターすれば、顧客が本当に求めるものを提供できる
  • 仮設提案営業は最低限の情報を正確に集めるところからスタート
  • そこから仮説を「So What」で深めていく
  • 適切にマスターしたいなら、「仮説提案営業実践講座」を読むのは必須

営業に関して、仮説を持っておくのは重要です。
それが正しいものであれば、顧客に対して本当に必要なものを提案でき、外れている場合でも「真剣に考えている」という姿勢がきちんと伝わるでしょう。

また仮説提案営業を習得しようとトレーニングすることで、「自分自身で考える習慣」が身につけられる点も見逃せません。

ぜひ「仮説提案営業実践講座」を実際に手に取り、営業活動に活かしてみましょう。

投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。