営業の引き継ぎ方法とは|効率的なステップや成功のコツを紹介

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営業引き継ぎとは、担当者の異動や退職に伴い、顧客や関連情報を引き継ぐことを指します。
営業業務は個人単位で動いていることも多く、属人化しがちなのが大きな課題。

しかし、引き継ぎを疎かにしてしまうと、クレームやトラブル、売上低下などの危機につながる可能性があるので要注意です。

そこで今回は、営業の引き継ぎ方法について詳しく解説します。
属人化しがちな営業業務をスムーズに引き継ぐためのステップや、成功につながる重要なポイントもご紹介。

営業引き継ぎ方法を見直したい方や、これから営業引き継ぎを行う方はぜひ参考にしてみてください。

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営業引き継ぎの目的・重要性とは

営業は顧客とのやりとりが主な仕事のため、きちんと引継ぎをすることが重要です。
うまく引き継げていないと、取引中止や売上減少など、会社の存続に関わるトラブルにもつながりかねません。

「なぜ営業引き継ぎが必要であり、重要なのか」をきちんと把握し、目的達成に向けた適切な引継ぎを行うことが大切です。
ここからは、営業引き継ぎの目的・重要性について詳しく解説していきます。

顧客との良好な関係性の維持

前任者がこれまで築いてきた関係性を引き継ぐことは、引き継ぎ後のスムーズな営業活動につながります。
そのためには、顧客に関する情報をすべて引き継ぎ、後任者が問題なく営業活動を継続できる状況をつくることが重要です。

万が一うまく情報が引き継げていないと、顧客に不信感や不安を与えてしまい、今後の取引にも響く可能性があるので注意しましょう。

しかし、営業業務では「担当者の頭の中にしか情報がない」というケースも多くあります。
顧客とのやりとりは、すぐにほかの社員へ共有できるよう、テキストベースで記録しておきましょう。

異動や退職による引き継ぎだけでなく、療養や休暇などで担当者が職場を長期間離れる場合にも役立ちます。

売り上げの維持

営業は売り上げと密接に関係する部署なので、引き継ぎが売り上げに与える影響は非常に大きいものです。

引き継ぎ後に、前任者に伝えたはずの情報が伝わっていないなどの問題が多々発生した場合、「取引を安心して任せられない」と顧客から判断されることもあります。
最悪の場合、取引中止もしくは顧客自体が離れてしまう可能性もあるので注意が必要です。

このように、小さな不信感の積み重ねが大きな損失につながるので、営業引き継ぎは適切に行わなければいけません。
過去の交渉や契約内容はもちろん、顧客ごとの特別な条件なども細かく引き継いでいれば、スムーズに営業活動が継続できます。

うまく引き継げれば、さらに顧客との関係性が良好になり、売り上げアップなども期待できるでしょう。

生産性の維持

担当者変更後も生産性を維持させるためにも、営業引き継ぎは非常に重要です。

特に個人的な力量に依存している場合、業務内容を担当者しか把握していない「属人化」状態が発生しているケースが多くなります。
その場合、後任者に業務の進め方や考え方を正確に引き継げていないと、確認や調査に時間が掛かるなどの生産性低下のリスクが高まります。

さらに、周りの社員も一緒に確認したり調べたりすることで、部署全体の生産性を落としかねないので注意が必要です。

引き継ぐ際には、必要な業務を漏れなく洗い出した後、基本的な進め方はもちろん、効率化のポイントなども引き継ぐとよいでしょう。

営業引き継ぎ後の理想の姿

業務引き継ぎは、前任者だけが「きちんと引き継いだ」と自己満足しただけでは成立しません。
関係者全員が納得し、後任者がスムーズに営業活動を継続できる状態になって、初めて「引き継ぎが完了した」と言えます。

ここからは、引き継ぎ完了の基準となる「営業引き継ぎ後の理想の姿」を3つ解説するので、参考にしてみてください。

1.後任者の負担や不満を最小限に抑える

通常業務に加えて新たな業務が追加される後任者にとって、引き継ぎは非常に負担の大きい業務です。
さらに、長年担当していた顧客を引き継ぐとなると、後任者は大きなプレッシャーや不安を感じることもあるでしょう。

営業引き継ぎは「業務の説明をすること」「顧客へ引き継ぎ挨拶に行くこと」が目的ではありません
業務説明や挨拶は引き継ぎをするうえでの手段であり、最終的には、引き継ぎ後もスムーズに営業活動を継続できることが重要です。

そのためには、後任者の負担や不満を最小限に抑える工夫が必要です。
たとえば、前任者の一方的な説明で終わってしまうと、後任者は不満や不安を抱えたまま担当することになります。

引き継ぐ過程で、理解度の確認や不安の解消などをこまめに行い、後任者に寄り添った引き継ぎを心がけましょう。

2.顧客の不安を減らして期待を増やす

後任者だけでなく、顧客の不安を軽減することも重要なポイントです。

担当を引き継ぐとなると、「これまでの内容を理解しているか」「新しい担当者は大丈夫か」「スムーズな提案や取引をしてくれるか」など、顧客はさまざまな不安を抱えます。
これまで時間や労力をかけて築き上げた関係性を無駄にしないためにも、顧客の不安を期待に変えられるよう、漏れなく正確に引き継ぎましょう。

顧客の不安をヒアリングして安心させたり、後任者へ伝えたりすることも有効です。

3.自分がいなくても業務が回る

引き継ぎ期間に余裕がある場合は、引き継ぎ後の状況もしっかりと確認しましょう。

後任者や顧客から頻繁に質問や連絡が来るようでは、引き継ぎが十分とは言えません。
自分がいなくても問題なく業務が回る状況になるまで、丁寧に引き継ぎを行うことが重要です。

後任者が実際に業務を進めると、思っていなかった問題や疑問が発生することもあります。
期間に余裕を持って引き継ぐことで、後任者の不安を解消でき、漏れなく正確な引き継ぎができるでしょう。

営業業務をスムーズに引き継ぐための8ステップ

前述した営業引き継ぎの重要性や理想の姿を踏まえたうえで、実際に引き継ぎを行います。
引き継ぎというと、業務説明や顧客への挨拶というイメージがありますが、スムーズに引き継ぐためには8つのステップを踏むことがポイントです。

ここからは、8つの引き継ぎステップについて、それぞれ重要なポイントを解説していきます。

1.引き継ぎ業務や項目の洗い出し

まずは引き継ぎ業務や項目をすべて洗い出しましょう。
これは、引き継ぎ漏れを未然に防ぐための重要なステップです。

引き継ぎ業務は、なるべく細かく洗い出すことがポイント。
今までどのようにやりとりしていたかを思い出しながら、一つずつ洗い出していくとスムーズです。

業務を洗い出したら、以下のような引き継ぐべき項目も洗い出しましょう。

  • 会社の基本情報
  • 担当者情報
  • キーパーソン情報
  • 現在の営業進捗状況
  • 過去の履歴
  • 営業活動時の注意点やポイント

これらの情報は口頭ベースではなく、引き継ぎ資料などに落とし込んで引き継ぎます。

2.業務のボリュームや作業頻度の整理

業務や項目を洗い出したら、業務ボリュームおよび作業頻度を整理しましょう。

ボリュームは、作業ボリューム・引き継ぎボリュームの2つの観点から考えるのがおすすめです。

作業ボリュームは、後任者が実際に作業する際にかかる時間の見込みや、後任者への負担を可視化する目安になります。
引き継ぎボリュームは、引き継ぎ計画を立てる際に役立つので、ここでしっかりと整理しておきましょう。

また、業務ごとの作業頻度も整理します。
たとえば、見積書作成なら週1回程度、アポ入れなら月1回程度など、業務によって作業頻度は異なります。

引き継ぎ先のバランス考慮のためにも、見える化しておくとよいでしょう。

3.後任者の選定

引き継ぎ内容の詳細が決まったら、後任者を選定します。

後任者の選定方法は会社によって異なりますが、まずは前任者が後任候補者とその理由を挙げたうえで、上司が判断する流れがよいでしょう。
営業は顧客とのコミュニケーションが主な業務であり、顧客との相性が非常に重要だからです。

顧客を一番理解している前任者が「この人なら相性が良さそう」と思う候補者を挙げて、バランスを見ながら調整するのがおすすめです。

4.引き継ぎ方法の確定

後任者が決まったら、どのように引き継ぐかを決めましょう。
たとえば、以下のような引き継ぎ方法が挙げられます。

【事務作業】

  • 口頭と資料での説明
  • 資料を渡して読んでもらう
  • 一緒に作業しながら引き継ぎ

【顧客への引き継ぎ】

  • 訪問
  • オンライン
  • 電話
  • メール

事務作業は、業務ボリュームや難易度によって判断しましょう。
顧客への引き継ぎは、できれば訪問やオンラインで顔を合わせて挨拶するほうが丁寧ですが、難しい場合は電話やメールなど使っても問題ありません。

顧客ランクや取引額、取引頻度など、さまざまな視点で優先順位を付けて、引き継ぎ方法を決めるようにしましょう。

5.引き継ぎスケジュールの調整、根回し

次に、引継ぎスケジュールを作成しましょう。
特に、引き継ぎの数が多い場合には、引き継ぎ日時や引き継ぎ先などをまとめておくと、予定のバッティングや漏れを防げるのでおすすめです。

引き継ぎ日時などは一方的に決めるのではなく、必ず後任者の予定も確認するなど、根回しをしたうえで調整することがポイントです。

6.引き継ぎ資料の作成

引き継ぎスケジュールが確定したら、当日までに引き継ぎ資料を作成します。

口頭のみの説明だと、後から不明点が出ても確認できなくなるので、なるべく資料にまとめるようにしましょう。
引き継ぎ数日前に資料を共有できれば、当日不明点を確認できて効率的なので、スケジュールに余裕を持って作成するのがおすすめです。

SFA(営業支援システム)などを使用している場合は、その内容をベースに引き継いでも問題ありません。

7.引き継ぎ

実際の引き継ぎは、引き継ぎスケジュールや業務内容に合わせて行います。

社内で引き継げる作業もあれば、顧客へ出向くこともあるので、細かい時間や進め方はあらかじめ後任者と共有しておきましょう。

8.理解度や不明点の確認

引き継ぎが終わったら、最後に後任者へ理解度や不明点を確認してください。
前任者が伝えた気になっていても、後任者が理解できていなかったり、誤った認識で理解していたり、ミスコミュニケーションが発生している場合もあります。

特に重要な引き継ぎ事項に関しては、改めて認識のすり合わせをするなど、後々トラブルにつながらないよう対策しておきましょう。

営業引き継ぎを成功させるコツ

ここまで営業引き継ぎのステップを紹介してきましたが、スムーズに引き継ぎを成功させるにはいくつかのコツがあります。

引き継ぎ時間や労力が無駄にならないように、コツを掴んで営業引き継ぎを成功させましょう。

過去のやりとりや顧客の特徴も伝える

営業引き継ぎでは、顧客情報の伝達は非常に重要なポイントです。

ただし、会社概要や事業内容、担当者の名前などの基本情報だけを伝えるだけでは不十分。
これまで築き上げた関係性を継続するには、過去のやりとりや顧客の特徴など、細かい点まできちんと引き継ぎましょう。

過去のやりとりは、クレームやトラブルはもちろん、ヒヤリハットや問題も共有すると、同じミスを繰り返さずに済みます。
顧客の特徴は、「電話よりもメール派」「17時以降は連絡がつかない」といったものから、趣味や好きな食べ物など、営業活動で役立つ情報はすべて引き継いでおくのがおすすめです。

前任者が先に顧客へ担当変更を連絡する

顧客へ引き継ぎの連絡をする際は、必ず前任者が先に連絡するのがポイントです。
急に後任者から「新しく担当する○○です」と連絡をすると、顧客は引き継ぎの経緯なども理解できず、混乱や不信感を与えてしまいます。

直接訪問の場合は、前任者と後任者の2人で行くのが基本です。
電話やメールの場合は、事前に前任者が連絡を入れてから、後任者が後日連絡するようにしましょう。

ツールを活用する

営業引き継ぎは、引き継ぐ内容が多いうえに、漏れがあると売り上げにも影響してしまいます。
いざ引き継ぐ際にスムーズに進めるためには、有効なツールを活用して、日頃から業務の属人化や情報の私物化を防ぐことが重要です。

おすすめのツールは、「SFA」と「CRM」の2種類です

SFAは「Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)」を略した言葉で、日本語では「営業支援システム」と呼ばれます。
顧客情報や営業状況の一元管理や、行動管理や日報記録、売り上げの管理などが主な機能。

営業活動を仕組み化するための機能をたくさん搭載しているので、引き継ぎだけでなく、日常的な営業活動の効率化にも役立ちます。

CRMは「Customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)」を略した言葉で、日本語では「顧客関係管理」などと呼ばれます。
人脈管理や商材情報管理など、顧客との関係性を良好に保つために有効な機能が搭載されています。

顧客関係情報が共有されることで、引き継ぎはもちろん、担当者1人での対応が困難な場合にチームで対応ができる点もメリットです。

営業引き継ぎでよくある質問

ここからは、営業引き継ぎでよくある質問を紹介します。

引き継ぎに関する不安や疑問をひとつずつ解消して、スムーズな引き継ぎを成功させましょう。

Q1:引き継ぎ挨拶は必ず訪問しなくてはいけない?

顧客の都合がつかない場合には、訪問以外の方法で引き継ぎをしても問題ありません。

ただし、訪問で引き継ぎを行うことのメリットもあります。
前任者は直接お礼を伝えられ、後任者は顔を合わせて挨拶ができるのが利点です。

もし訪問が難しい場合は、顧客と話し合いのうえ、お互いが納得した方法で引き継ぐようにしてください。

Q2:引き継ぎ期間はどのくらい必要?

引き継ぎは通常業務の合間で行うことが多いため、退職などで引き継ぐ量が多い場合には、1~2か月見ておくと安心です。

人事異動などの場合は、1週間程度で引き継ぐ場合もあるので、日頃からすぐに情報共有できる状況を作っておきましょう。

Q3:引き継ぎ後のトラブル対応は前任者?後任者?

引き継ぎ後の場合は、原則として後任者主導で担当する場合が一般的です。

ただし、前任者がまだ在籍している場合には、アドバイスをもらったり、同行してもらったりと、スムーズに解決できる方法で対応しましょう。

まとめ:関係者全員が納得できる営業引き継ぎを目指そう

営業引き継ぎは、顧客との良好な関係性を保ち、売り上げを維持するために重要な業務です。
適切な方法で引き継いで顧客からの信頼を得られれば、売り上げ向上なども期待できます。

日頃の営業活動から見直したい場合は、SFAやCRMなどのツール活用や、営業代行サービスの活用がおすすめです。

soraプロジェクトでは、テレアポ代行、インサイドセールスなどの営業支援を行っています。
営業担当者の負担を減らしたい場合や、人的リソースが不足している場合は、ぜひsoraプロジェクトへご相談ください。

投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。