フレームワークを使った営業戦略・戦術の立て方とステップ

目次

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「営業戦略を立てたいが、どのように立てていけば良いかわからず困っている」
このようにお考えではないでしょうか。

そのようなときに活用したいのが、フレームワークです。

本記事では、営業活動で役立つさまざまフレームワークをご紹介し、さらに具体的なプロセス例と活用の際の注意点についても解説します。
フレームワークをうまく活用することで、限られたリソースで最大限の成果を出す営業戦略を立てられることでしょう。

ぜひ本記事を参考に、フレームワークを活用した営業戦略を立ててみてください。

営業戦略を立てる前に!営業戦略とは何かを理解しよう

営業戦略を立てるときに役立つフレームワークは多数あります。
しかし、そもそも営業戦略がどのようなものかご存知でしょうか。

営業戦略とは、営業部門における人・時間・費用などの有限リソースを効率よく活用しながら売上目標を達成するシナリオです。

例えば、営業部門で獲得する年間売上高の目標が5,000万円であれば、5,000万円の売上高を獲得するためにどのようなことをやっていくか。

このシナリオが営業戦略となります。

ただし、営業パーソンの人数や活動時間、予算は有限です。

「目標を達成するために人や予算を増やす」ようなシナリオは営業戦略とは呼べません。

なお、営業戦略とマーケティング戦略は異なるものです。

どちらも目標達成に向けたシナリオという点では変わりませんが、あくまでも営業活動における戦略が営業戦略であり、マーケティング活動における戦略がマーケティング戦略なのです。

営業活動は、おもにお客様と接触し商談から売上を獲得します。

そのため、多くは売上向上のための戦略となります。

一方でマーケティング活動は、営業活動よりもさらに広い範囲における戦略となるのが一般的です。

営業戦略についてさらに詳しく知りたい方は、下記をご参照ください。

営業戦略とは?

営業戦略を立てるときに役立つフレームワークとは?

フレームワークとは何か説明できるでしょうか。

以降では、フレームワークとは何か、フレームワークを活用するメリットをご紹介いたします。

フレームワークとは成功するための要素をまとめた型

フレームワークは、成功するための要素をまとめた型(枠組み)です。

例えば経営層から「自社を取り巻く環境を分析してほしい」と言われたらどのように考えるでしょうか。

このように言われても、おそらくフレームワークを知らなければ次のように感じることでしょう。

  • 「環境」とは、具体的に何を分析すれば良いのか
  • どのような切り口で考えていけば良いのか

これを解決するのがフレームワークです。

具体的には3C分析やSWOT分析によって、あらかじめ重要となる要素と切り口を使いながら、企業活動(営業活動)の環境を分析できます。

もちろんこれ以外にもフレームワークは多数あり、どれも何らかの課題を解決(成功)するための要素をまとめた型(枠組み)となっています。

フレームワークのメリット:時間をかけず効率的に戦略を立てられる

先ほどの例のように、何も切り口がない状態から分析を始めるより、フレームワークを活用すれば、時間をかけず効率的に結果を出せるのです。

これがフレームワークのメリットであり、営業戦略を立てるうえで活用すべき理由でもあります。

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営業戦略の策定で使えるフレームワーク10選

それでは、営業戦略の策定で使えるフレームワークを10選紹介いたします。

ぜひご活用ください。

3C分析:自社の営業活動における環境を知る

3C分析は、おもに企業活動における環境を知るためのフレームワークです。

一般的にはマーケティングフレームワークとして知られており、営業活動というより、企業活動など広い範囲を対象にするマクロ環境分析に用いられます。

とは言え、営業活動における環境を知るためにも3C分析は有効です。

3C分析は、次のような3つのC(環境を定義する要素)を切り口として、後述するSWOT分析で用いる項目を抽出します。

  • Customer:市場・顧客
  • Company:自社
  • Competitor:競合

企業活動は、市場に参入し競合とともに顧客(シェア)を獲得するものだと言えます。

そのため、このような要素で自社を取り巻く環境を把握できるのです。

簡単な例ですが、イメージ把握のために3C分析の例をご紹介いたします。

市場・顧客
  • 市場規模は10兆円
  • 年平均で2%成長しており、市場は堅調
  • 顧客層はおもに男性が多い
自社自社は競合他社と比べ展開店舗数は少ないが、A市においては競合他社をしのぐ店舗数を誇っている
競合
  • 競合B社はC市場において40%のシェアを誇っている
  • 価格設定は低めで、顧客は若年層が多い

SWOT分析:自社の営業活動における環境を分析する

SWOT分析は3C分析などで抽出した内容をもとに、以下4つの切り口で課題や市場機会を見つけられるフレームワークです。

  • Strength:強み
  • Weakness:弱み
  • Opportunity:機会
  • Threat:脅威

SWOT分析もマーケティングフレームワークの一種として広く知られていますが、営業戦略の策定にも役立ちます。

3C分析とも通じますが、一般的には次のような経営・営業リソースをもとにして考えます。

  • 商品・サービス
  • 営業パーソンのスキル(営業力)
  • 技術力

なおSWOT分析のT(脅威)については、別のフレームワーク「5フォース分析」を活用すると良いでしょう。

STP分析:競合に勝つための基本戦略を決める

STP分析は、競合に勝つための基本戦略を決めるフレームワークであり、戦略策定の核(コア)となるものです。

3C分析やSWOT分析によって課題や市場機会を見つけられても、それだけでは営業戦略を立てられません。

これら環境分析のフレームワークは、言わば事前準備・事前調査のためであり、STP分析によって営業戦略を具体的に絞っていくのです。

STP分析は端的に言うと、「自社の強みを活かし、どの市場(顧客)に対してどのようにアプローチしていくのか」を決めます。

例えば、経営リソースに乏しい小規模の企業が、大企業と同じ市場・顧客でシェア競争するのは非効率的です。

そこでターゲットとする顧客を選択し、限りある経営リソースを集中的に投下する必要があります。

STP分析は、以下の3ステップで実施します。

  1. セグメンテーション:市場の細分化
  2. ターゲティング:狙う市場(顧客)の決定
  3. ポジショニング:自社の立ち位置を決定

セグメンテーション

セグメンテーションは、その名のとおり市場をセグメントごとに分ける作業です。

実際にはさらに具体的に行いますが、例えば以下のようなイメージです。

  • セグメントA:月々の支出を最低限に抑えたく、機能も最低限で良いと考える顧客層
  • セグメントB:魅力的な機能があれば高額でも導入したいと考える顧客層

この例では一部のみを紹介していますが、一般的には次のような「変数(切り口)」で考えます。

  • 地理的変数:地域/文化/習慣など
  • 人口統計的変数:年齢/性別/年収/職業など
  • 心理的変数:価値観/ライフスタイルなど
  • 行動変数:買い換え頻度など

これらは、可能な限り実際の調査にもとづいて考えていくのがポイントです。

必要であれば顧客にアンケートを取ると良いでしょう。

ターゲティング

ターゲティングは、いわゆる「ペルソナ」を設定する作業です。

セグメンテーションで分けた顧客層のうち、理想的な特定の1人を考えます。

ペルソナ設定は、ペルソナの生活や性格、顔をイメージできるほど作り上げるのがポイントです。

ペルソナを明確に設定できなければ、後述する4P/4C分析がうまくいかないこともあるので慎重に行いましょう。

ポジショニング

ターゲットが決まったら、そのターゲットが競合よりも自社を選ぶような立ち位置を決定します。

一般的にはセグメンテーションにおける変数(切り口)で2軸を作り、競合他社と自社をプロットして可視化します。(ポジショニングマップ

SWOT分析で得た自社の強みを活かして作成しましょう。

4P/4C分析:具体的な施策・武器を決める

4P分析は企業視点のフレームワークで、4C分析は顧客視点のフレームワークです。

マーケティングミックスとも呼ばれます。

次のような4つの切り口で営業戦略を具体施策に落とし込みます。(左が企業視点で右が顧客視点)

  • 製品/顧客価値
  • 価格/顧客にとっての経費
  • 流通/顧客利便性
  • 販促/コミュニケーション

5W1H:営業戦略・戦術(施策)を具体計画へ落とし込む

5W1Hはビジネスシーンにおけるコミュニケーションの基本でもある重要なフレームワークです。

そのため、すでにご存知の方も多いでしょう。

営業戦略においては、4P/4C分析で決定した具体施策や戦略を具体計画に落とし込む際に活用できます。

5W1Hによって、より具体的でもれのない計画に落とし込めます。

  • Who:担当者/担当チーム/対象顧客
  • When:期限/頻度/タイミング
  • Where:場面/営業ルート
  • What:問題/製品/サービス/価値
  • Why:目的/原因
  • How:方法/段取り/テクニック

PDCAサイクル:営業戦略・戦術(施策)を継続的に改善する

計画を立てて戦略・戦術を実行していきますが、現状を評価し改善がなければ効率的な目的達成は不可能です。

極端に言えば、「やっただけ」にしないためにPDCAサイクルが必要なのです。

実際、最初に立てた目標がそのまま順調に進むことはめったにありません。

PDCAサイクルは、次のようなステップです。

  1. Plan:計画
  2. Do:実行
  3. Check:評価
  4. Action:改善

ロジックツリー:営業活動の課題を洗い出す

論理の木」とも呼ばれるロジックツリーは、営業活動の課題を洗い出すために活用できます。

先ほどPDCAサイクルをご紹介しましたが、そのなかの「Check(評価)」にも活用可能です。

例えば施策がうまくいかなかったとき、なぜそうなってしまったのか真因や解決策を導きます。

ロジックツリーはさまざまな種類があり、状況に応じて使い分けます。

  • 要素分解ツリー:営業目標を達成するためにはどのような要素が必要かをツリー状に展開して全体的な課題を把握する
  • 原因追及ツリー(なぜなぜ分析):なぜ受注が取れなかったのかを展開して真因を求める
  • KPIツリー:重要な目標達成指標(KGI)と、それを達成するための中間目標(KPI)をツリー状にして指標を管理する

PEST分析:マクロ視点で外部環境の変化を俯瞰する

PEST(ペスト)分析は、外部環境の変化を「政治(Politics)」「経済(Economics)」「社会(Society)「技術(Technology)」の4つの視点から整理する手法です。

コロナ禍やAI技術の急激な発展など、近年のビジネス活動では予測不可能な変動が突然起こり得ます。
PEST分析を行うことで、素早く影響を洗い出し、予期せぬリスクや機会を整理し、中長期的視点から柔軟な営業戦略を立てることが可能です。
また、SWOT分析の「機会(Opportunity)」や「脅威(Threat)」を具体的に導き出す際の補助フレームワークとしても活躍します。

VRIO分析:内部資源を評価して自社の強みを構造的に整理する

VRIO分析は、自社が持つ経営資源を以下の4視点から評価し、競争優位となる強みを見極めるフレームワークです。

  • Value(価値):顧客のニーズや市場の期待に応えられる資源か
  • Rarity(希少性):他社にはない独自の資源か
  • Inimitability(模倣困難性):真似されにくい資源か
    • 希少(R)かつ模倣困難(I)ならば、競争優位
  • Organization(組織):その資源を活かせる組織体制があるか

例えば、自社が持つノウハウや顧客基盤が「価値があり(V)」「他社に真似されにくく(R かつ I)」「組織全体で活用できている(O)」なら、強力な武器です。

VRIOの順に分析することで、営業戦略で活かすべき強みが明確化されます。

MECE:抜け漏れや重複を防ぐ論理的思考の基本

フレームワークを活用する際には、MECEと呼ばれる考え方の土台を意識します。
MECE(ミーシー)は「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive(重複がなく、漏れもない)」の略で、思考をきれいに分け、見落としやかぶりをなくすための思考整理術です。  

やり方はシンプルで、「意味がかぶらないように分ける(Mutually Exclusive)」ことと、「その分け方で全体をカバーできているか確認する(Collectively Exhaustive)」ことの2点を意識すればOKです。

例えば4P/4Cの分類で、「販売チャネル」と「顧客接点」が混同されていたり、「アフターサービス」のような視点が抜けていると、分析の軸がぶれてしまいます。
営業戦略フレームワークを活用する際には、MECEを考えの土台とすることで、論理的に整理可能です。

営業戦術を支える代表的なフレームワーク5選

営業戦略策定後に、実際の営業戦術を整理する上で活用できるフレームワークも存在します。

ここでは、代表的なフレームワークを5つ紹介します。

1.BANT:見込み客の購買可能性を見極める指標

BANT(バント)は、見込み客の購買意欲や確度を以下の4つの指標から見極めるためのフレームワークです。

  • Budget(予算):導入にかけられる金額は?
  • Authority(決裁権):誰が最終判断を下すのか?
  • Needs(ニーズ):解決したい課題は何か?
  • Timeframe(導入時期):検討している導入時期はいつか?

主にファーストコンタクト時に、商談の温度感や成約期待度を素早く判断したいときに便利です。

近年では、SFAやCRMといった営業分析ツールにも活用されており、早期の絞り込みや、アプローチの優先順位づけに役立ちます。

2.MEDDIC:複雑な営業プロセスを体系的に管理

MEDDIC(メディック)は、見込み客の情報を6つの視点から整理し、受注確度を高めるためのフレームワークです。

  • Metrics(成果指標):導入でどのような成果が期待できるか
  • Economic Buyer(決裁者):誰が予算を持ち、決裁するのか
  • Decision Criteria(選定基準):何を重視して製品を選ぶのか
  • Decision Process(意思決定プロセス):どういう手順で決まるのか
  • Identify Pain(課題の明確化):どのような悩みを解決したいのか
  • Champion(推進役):社内で導入を後押ししてくれる人物はいるか

特にBtoBなど、関係者が多く意思決定に時間がかかる商談において有効なフレームワークです。

MEDDICを意識して分類することで、フォーカスすべき見込み客の基準を明確にできます。

3.SPIN:ヒアリングの質を高める質問設計法

SPIN(スピン)は、顧客との対話の中で課題を引き出すための話法であり、ニーズを顕在化させるための質問フレームワークです。

SPIN話法は、以下の4つのステップで構成されます。

  1. Situation(状況質問):現状や背景を確認する
  2. Problem(問題質問):抱えている課題を探る
  3. Implication(示唆質問):課題がもたらす影響を意識させる
  4. Need-payoff(解決質問):解決の必要性と期待効果を確認する

SPIN話法を意識すると、顧客自身が「この課題こそ、自分が悩んでいたものだったんだ」と気づきやすくなり、提案への関心が自然と高まります。
無理に売り込むのではなく、対話を通じて信頼を築くことを主眼とするSPIN話法ならば、購買促進と顧客満足度向上の両立が可能です。

4.AIDMA:消費者心理を捉えた購買プロセスモデル

AIDMA(アイドマ)は、消費者が商品やサービスを購入するまでの心理の流れを、以下の5つのステップで表したプロセスモデルです。

  1. Attention(注目):まず存在を知る
  2. Interest(興味):内容に関心を持つ
  3. Desire(欲求):欲しいと感じる
  4. Memory(記憶):その商品を覚えておく
  5. Action(行動):実際に購入する

顧客が今どの段階にいるのかを見極め、それに応じた情報提供やアプローチを行うことで、購買行動を後押しできます。

また近年では、よりインターネット上での購買行動を重視した、AISAS(注意→関心→検索→行動→共有)モデルもよく使われます。
こちらはAIDMAと比べ、“記憶”よりも“検索と共有”を重視することで、昨今のスマートフォンとSNSを使った購買行動をモデル化しています。

5.FABE分析:製品の価値を論理的に伝える提案手法

FABE(ファブ)分析は、製品やサービスの魅力を論理的に整理し、顧客に伝えるための提案型フレームワークです。

以下の4要素で構成されており、単なる商品紹介ではなく、「それがなぜ顧客にとって意味があるのか」を明確に伝えることを重視します。

  • Feature(特徴):製品のスペックや仕様
  • Advantage(優位性):競合と比べた強み
  • Benefit(顧客便益):顧客にもたらす具体的な価値
  • Evidence(証拠):その価値を裏付ける根拠や実績

FABE分析を事前に行うことで、納得感のある資料や提案書の構成を組み立てることができます。
特に顧客に直接プレゼンを行うような提案型営業では、FABE分析を活用してみてください。

営業戦略構築におけるフレームワーク活用の実践プロセス

さまざまなフレームワークを紹介しましたが、「実務でどう活用できるのか」と、いまいち想像できない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで一旦架空の事例を用いて、紹介したフレームワークがどう活用されているのか、実践的なプロセスの流れを紹介します。

ぜひ参考にしてみてください。

戦略立案の起点となる目的設定と現状分析

営業戦略を立てる際には、最初に「何を達成したいのか」と「現在とのギャップ」を明確にしなければなりません。

例えば「新規顧客が増えない」といった漠然とした悩みも、「半年以内に新規顧客を前年同月比で20%増加させる」といった具体的な目標に落とし込むことで、戦略立案の方向性が見えてきます。

目的設定に合わせて、過去の営業データや活動履歴をもとに【成約率】や【アプローチ件数】といった指標を整理し、フレームワークを使って現状を客観的に分析しましょう。

フレームワークを用いた課題抽出と構造化

ここからは、現状の営業活動をこの記事で紹介したフレームワークを使って分解し、課題の構造を可視化するステップを紹介していきます。

全体を俯瞰しながら課題を整理することで、具体的な改善策の方向性が見えてきます。

この記事では以下のような仮想の目的設定を整理したと仮定して、実践的な課題抽出と構造化の一例を紹介します。

  • 目的:「半年以内に新規顧客獲得数を前年比20%増加させる」
  • 現状の課題:「商談数が伸び悩み、リード流入が停滞している」

営業上のボトルネックを洗い出す

課題抽出の第一歩として、営業活動のどこにボトルネックがあるかを可視化することが重要です。

今回は、「商談数が伸び悩み、リード流入が停滞している」という課題を抱えています。
そこで、まずはロジックツリーを用いて要因を分解します。

その結果、資料請求チャネル経由のリードの質が低い可能性が要因として浮上。
さらにチャネル別の成約率を比較したところ、資料請求からの商談化率が他チャネルより著しく低いことが判明しました。

つまり、当初の「新規顧客が増えない」という漠然とした課題は、「資料請求リードの質を改善すべき」という具体的な改善ポイントに置き換えられたのです。

市場と競合環境の把握によるポジショニング分析

改善の方向性が具体化したら、次は市場の立ち位置を把握して的確なターゲットを見つけ出す必要があります。

  • PEST分析を用いて市場動向を確認したところ、「営業の属人化を解消したい」というニーズが中小企業で高まっていることが判明。
  • CRMのリポート機能(Salesforceレポートビルダーなど)で、従業員100名規模の企業が最も商談化率が高いことがわかり、ターゲットの方向性を決定。
  • SWOT分析で、自社を取り巻く競合環境を整理したところ、「誰でも使える・短期導入」の手軽さに優位性があることが判明。

これらの分析を通じて、資料請求内容を「営業専任者がいない中小企業向けに、属人化対策を強く打ち出したもの」とする方針を決定しました。

顧客インサイトの探索と戦略的アプローチの設計

既存顧客の導入実績を分析したところ、資料請求時に「引き継ぎに関して不安を感じる」企業が多いことが明らかになりました。
そこで、「誰でも運用できる仕組み」「営業ノウハウの共有・定着」といった訴求を強化し、共感を得やすい資料構成に刷新。

また、資料内にはチェックリストや導入事例など、次のアクションを想起しやすいコンテンツも取り入れ、リードの関心度を高めるアプローチを採用しました。

成果指標(KPI)に基づいた営業目標の策定

戦略を具体的な行動に落とし込むためには、KPIの設定が欠かせません。
とはいえ、ここまできっちり具体的でMECEな整理が行えているならば、KPIは明確です。

今回は「資料請求経由の商談化率を改善する」という目的のため、主要KPIを以下の3つに設定します。

  • 資料請求数
  • 資料請求後の初回接触率
  • 商談化率

実行プランの構築とPDCAによる改善サイクルの運用

KPIを定めたあとは、それを達成するための具体的な施策と運用体制を整える必要があります。

まずは、数字の変化をリアルタイムで確認できる仕組みを整えましょう。
例えば、CRM上に週次の進捗を可視化するダッシュボードを作成すると、改善のタイミングがつかみやすくなります。

最後に具体的なアクションを整理します。

例えば今回は「資料請求チャネルの改善」が主なテーマなので、以下が実行プランです。

  • 訴求内容の見直し
  • メール返信のタイミング調整
  • ファーストコンタクトのトークスクリプト改善

アクションを切り分けた後は、それぞれに目標数値を設定し、CRMのリポートで進捗を確認しながらPDCAを回していくことで、改善サイクルが循環します。

フレームワークを営業戦略に導入する際の留意点

ビジネス課題をロジカルに整理できるフレームワークは便利な道具です。
しかし、強力な道具だからこそ注意すべき留意点があることを忘れてはいけません。

いくつか代表的な注意点を紹介します。

手段の目的化を避け、本質的な活用を意識する

フレームワークを使うこと自体が目的となり、分析に満足してしまうと本末転倒です。
例えば、「せっかく3C分析で自社の状況を整理して資料化したのに、そこで満足して実際の活用方法が検討されなかった」なんてことは避けるべきです。

大切なのは「何のために使うのか」を明確にし、成果につながるアクションに結びつけることです。

フレームワークは単独ではなく複合的に用いる

ビジネスを多角的に整理するには複合的なフレームワーク活用が有効です。

1つのフレームワークに固執しては偏った結果しか得られません。

例えば、STP分析でターゲットを明確にしたうえで、SWOT分析でそのターゲットに対する自社の強みを再確認するなど、補完的に使うことでより精度の高い戦略が組み立てられます。

ただし、相性の悪いフレームワークを無理に組み合わせると混乱を招くため、目的や視点を理解したうえで使い分けましょう。

戦略設計に時間をかけすぎず、実行とのバランスを取る

営業戦略は設計だけで成果が出るものではなく、実行して初めて改善のヒントが得られます。

フレームワークによって整理できる情報が増える一方で、それに没頭しすぎると行動が後回しになりがちです。

完璧を求めず、まずは仮説ベースでも構わないので実行に移し、得られた結果から戦略を見直すサイクルを回すことが重要です。

時間をかけるより、まず動く。
その姿勢が成果への近道です。

分析結果を現場の戦略・行動に落とし込む

フレームワークで分析や整理がきれいに収まると、それだけで満足しがちですが、現場で動かない限り何も変わりません

例えば、STP分析で目標が明確になったなら、その時点でターゲットにアクションを1つでも起こしましょう。

小さな一歩でも構いません。
フレームワークを成果につなげるには、行動とセットで使うことが大前提です。

まとめ:営業戦略を理解したうえでフレームワークの活用を

営業戦略とは、限られたリソース(営業パーソンや予算など)を効率的に活用し売上目標を達成するシナリオです。

フレームワークを活用すれば、効率的かつポイントを押さえた営業戦略を立てることができます。

フレームワークを実際に自社の営業活動へ当てはめるときは、おそらく「これで良いのだろうか」と不安になるかと思います。

しかし、フレームワークはあくまでも1つの枠組みに過ぎません。

積極的に活用するのはよいですが、とらわれすぎてしまうと弊害がでてきます。

また、一度フレームワークで営業戦略を立てたらそれで終わりにせず、何度も見直してみましょう。

営業環境は常に変化していますし、時間が経てばまた違った切り口でものを見られるかもしれません。

ぜひ本記事を自社の営業戦略策定にお役立てください。

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投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。