マーケティングリサーチとは?市場調査との違いや基本的な手法を解説

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  • 「マーケティングリサーチとは何か?」
  • 「市場調査と何が違うのか?」
  • 「どのような手法がマーケティングリサーチなのか」

上記のような疑問を持っている担当者は多いでしょう。マーケティングリサーチはよく聞く言葉ですが、本来の意味を正しく理解している人は決して多くありません。

しかしマーケティングリサーチは企業にとって基本中の基本となる施策。これを理解していないと的確なマーケティング施策にはつながりません。

そこで本記事では以下を解説します。

  • マーケティングリサーチの内容や役割
  • 市場調査とは何が違うのか
  • マーケティングリサーチの基本的な手法

本記事を読めばマーケティングリサーチの基礎を理解できます。興味がある担当者はぜひご参考にしてください。

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マーケティングリサーチとは?

まずは、「マーケティングリサーチ」の意味を正しく理解しましょう

その次にマーケティングリサーチがビジネス上でどのような役割を果たすのか、順を追って解説します。

マーケティングリサーチの意味と役割

マーケティングリサーチは、「マーケティングを実施する際に必要な情報を集める活動」を意味します。

企業が製品やサービスを売るとき、必ずといっていいほどマーケティングが必要です。しかしそれを実施するには、幾度となく課題が発生します。

例えば以下のような場面は、頻繁に訪れるでしょう。

  • 自社の製品を売り込むターゲットが分からない
  • 価格設定が見えない
  • 競合他社と比較してどこがすぐれているかわからない
  • 広告やキャンペーンがどの程度の効果を発揮するのか読めない

これらを判断するにはデータや情報が必要であり、それを収集するのがマーケティングリサーチです。

例えば、自社のエナジードリンクを売り込むターゲットが分からないと仮定します。そうすると年代や性別、地域ごとで、「エナジードリンクを飲むか・好きか・いくらなら買うか」を調査すれば、判断がつけられそうです。

「そう言える根拠は?」と聞かれたことがある人は多いでしょう。マーケティングリサーチはまさにその根拠を調べる役割を担います。

マーケティングリサーチと市場調査の違い

マーケティングリサーチは市場調査と混同されがちですが、大きな違いがあります。

市場調査はこれまでの市場の動向を探るもの。直近20年で何がどれだけ売れていたか、どの会社がシェアをもっとも多く獲得していたかなど「すでに起こった事象」を調べます。

マーケティングリサーチは現在の状況を把握し、これから先、どのようなサービスや製品を売り出すか予測します。つまり「この先どうすればよいか」を調べるものです。

つまり市場調査は過去を知り、マーケティングリサーチは未来を少しでも明確に描くための手法だと言えるでしょう。

市場を理解する意味では同じですが、対象となる時点が異なります。両者の誤用には注意しましょう。

マーケティングリサーチの主な方法

マーケティングリサーチの方法は「パネル調査」と「アドホック調査」の2種類に分けられます。

そしてそれぞれで得られる統計的情報が大きく異なります。順に解説するのでご参考にしてください。

パネル調査

パネル調査は「母集団から抽出した任意の対象から、特定項目の情報を継続して収集する」手法です。

母集団の一部に枠、つまりパネルを当て込むイメージからこのように呼ばれます。

例えば「ある店舗で1年間の間、どの程度電子決済が利用されたのか」調査するのはパネル調査に該当します。

消費者のニーズを捉え、その移り変わりを理解しやすいのが特徴です。

アドホック調査

アドホック調査は、基本的に特定の事象を一回限りで調べる手法です。いわゆるWebアンケートなどがこれに該当します。

アドホック調査は、ここからさらに定量調査と定性調査に分けられます。

定量調査は、その成果が数字で表れる手法です。仮に「将来的に地方か都市どちらに住みたいか」というアンケートが取られたとしましょう。

そうすると、例えば「地方40%・都市60%」といった形でその結果は数値化されます。わかりやすい形で調査内容がアウトプットされるので、説得力が生まれます。

対して定性調査は、その性質を見極めるための手法です。例えば「自社が開発したパソコンの使用感はどうか?」といった調査が該当します。

この例でいえば、「動作が早くて使いやすい」「重いので持ち運びづらい」など、数字では表せない結果が返されます(動作が早くて使いやすいか否かを問えば定量調査)。

これにより数値的には分からない消費者のニーズや真理をつかむことが可能です。

マーケティングリサーチを実施する基本的な流れ

マーケティングリサーチは基本的に以下の流れで実施されます。

  • 調査を企画に起こす
  • 質問内容や項目を設定する
  • 実査する
  • 分析してアクションに繋げる

大まかに分ければこの4ステップです。それぞれで何をするべきなのか下記で解説します。

調査を企画に起こす

マーケティングリサーチは調査を企画として起こす段階から始まります。

具体的には調査対象者の年代や性別、属性やエリアを決定し、調査方法もこの段階で決定します。

企画段階で誤ると必要なデータが得られないため、熟考が必要なステップです。

質問内容や項目を設定する

企画ができたら、質問内容や項目を設定します。これは調査方法によってタスクが異なります。

Webアンケートであれば、回答率が落ちないように質問数を絞ったり、デザインをわかりやすくしたりするのが重要。

デプスインタビューなら聞きたいことを列挙し、またどのように話を引き出すか考えるなどのタスクが必要です。

実査する

マーケティングリサーチでは、アンケートや調査を実施することを「実査」と表現します。

上記企画に基づき、情報を収集しましょう。

分析してアクションに繋げる

実査が終わったら得られた情報を分析します。そうすればマーケティングに必要な情報を抽出することが可能です。

そしてその情報を判断材料として、具体的なアクションへ繋げます。例えば「自社製品は想定よりも需要が高かった」とわかったなら、増産や販売エリア拡大などをすべきだとわかるでしょう。

マーケティングリサーチはあくまでも判断を導き出すための手法です。そこから先は計画立てて、取るべきアクションを実行しなければいけません。

マーケティングリサーチの定性調査における手法一例

 

マーケティングリサーチでは、アドホック、つまり定性調査と定量調査が広く活用されます。

うち定性調査の代表例をいくつか解説します。

  • グループインタビュー
  • デプスインタビュー
  • エスノグラフィサーチ
  • 訪問留置

これらは実施難易度が低い一方、ニーズや心理を正確に掴みやすいのが特徴。それぞれ詳しく解説するのでご参考にしてください。

グループインタビュー

グループインタビューは、いわゆる座談会です。司会者・ファシリテーターを中心に数名の消費者を呼び込み、任意の製品やサービス、テーマに関して議論します。

巧みな司会進行や意見を参照にし合う点により、新しい見解やアイデアを創造されやすいのが特徴です。

デプスインタビュー

デプスインタビューは、質問者と回答者、1対1の関係で実施されるインタビューのこと

調査数が絞られるものの、個人的な見解やニーズを深掘りしたいときに活用されます。

訪問留置

訪問留置は、調査担当者がターゲットなる地域の自宅を回り、アンケートの協力を依頼する手法。

リソースやコストはかかりますが、ほんの一部地域に絞り込んでまとまった統計を取れるのが特徴です。

マーケティングリサーチの定量調査における手法一例

定性調査の対になる定量調査の手法一例として以下が挙げられます

  • Webアンケート
  • 会場調査
  • ホームユーステスト
  • 覆面調査

それぞれ詳しく解説するのでご参考にしてください。

Webアンケート

Webアンケートは、オンライン上でアンケートページを配信して回答を募るシンプルなやり方です。

回答を完了するまでの手間が少なく、膨大な数の調査数を獲得しやすいのがポイント。

最近はポイントサイトなどを利用すれば回答者数を簡単に確保できるなどの利点が知られ、広く普及しています。

会場調査

会場調査は、任意の会場に消費者を集め、製品やサービスを提供する手法。実際に使用したあとでアンケートを実施し、情報を集めます。

会場をおさえるなどの手間がかかるものの、直接話を聞けたり、より深い感想を深掘りしたりしやすいのが利点です。

ホームユーステスト

ホームユーステストは、製品サンプルを世帯で一定期間使用させる手法です。

例えば食器用洗剤のケースを考えてみましょう。企業は世帯に対してこのサンプル品を渡します。同時に長期的にその使用感などを記録してもらいます。

これにより実際の消費者の声に近い評価を認知できます。

覆面調査

覆面調査は、調査員を一般顧客に紛れさせて、実際に自社店舗を利用させる手法です。ミステリーショッパーとも呼ばれます。

これにより調査やチェックであるのを伏せ平時での顧客対応やクリンネスを把握できます。覆面調査は多くの場合調査項目が数値化されており、定量調査と分類するのが一般的。

ただし「顧客対応に何を感じたか」などの項目が設けられていれば、定性調査としての側面も持つと言えます。

まとめ:マーケティングリサーチは戦略クリエイティブの源

本記事ではマーケティングリサーチの基本を解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。

  • マーケティングリサーチは、マーケティング上必要な判断材料を集める施策
  • 市場調査は「今までの市場を分析する」手法なので、マーケティングリサーチとは異なる
  • パネル調査とアドホック調査、ふたつの方法がある
  • アドホック調査はさらに定性調査と定量調査に分かれる
  • マーケティングリサーチは企画→質問内容などの設定→実査→分析→アクションへ反映、という流れでおこなわれる

マーケティングを実施する際、適切な戦略をクリエイティブに創り出さなければいけません。そのうえで信頼できる判断材料を集めるマーケティングリサーチは重要な存在です。

ぜひマーケティングリサーチを自社で理解し、よりよい戦略を創出できるように取り組みましょう。

投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様に
ターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。