目次

近年では日本でも「バイヤーイネーブルメント」が注目され始めました。
購買活動がデジタル化するなか、海外ではすでに当たり前の施策として取り扱われています。一方、日本では旧来的な営業スタイルに固執するあまり、バイヤーイネーブルメントに対する理解はほとんど進んでいません。
このまま知らずにいれば、自社は海外や先進的な日本企業に後れを取るでしょう。裏を返せば、今のうちに取り組めばWeb上での販売活動で圧倒的に優位なポジションを獲得できるとも考えられます。
要するに早い段階で取り組めば他社を置き去りにでき、後回しにすれば出し抜かれる状態です。そこで本記事では以下を解説します。
なお、株式会社soraプロジェクトでは営業代行の基礎をまとめた資料「マーケ・営業・IS担当者必見!はじめての営業代行」を無料で配布しています。
- バイヤーイネーブルメントの定義
- 重要視される理由
- 実施するために必要な施策
まずバイヤーイネーブルメントがそもそも何を意味するのか理解しましょう。そのあとで重要視される理由や、実際に取り組むべき施策を解説します。
バイヤーイネーブルメントに興味がある担当者はぜひご参考にしてください。
バイヤーイネーブルメントとは?

バイヤーイネーブルメントとは、購買担当者の購買活動を支援する活動のこと。
従来、BtoBでは実際に会って商談をするのが一般的な営業活動でした。つまり対面でのセールストークで売り込む、フィールドセールスが使われます。
バイヤーイネーブルメントはこちらから売り込むのではなく、購買担当者(顧客)が購買活動を、あるいは自社製品を選択しやすくようにサポートします。
そのために購買プロセスを洗い出して最適化したり、適切な情報を提供したりして間接的に購買担当者ははたらきかけるわけです。
しかしフィールドセールスのように、こちらからアポイントを取ってプッシュすることはありません。あくまでも情報提供やシステム整備に徹して、対面せずに購買活動を支援します。
バイヤーイネーブルメントを初めて提唱したのは米国のリサーチ会社Gartnerで、2018年にこの手法を用いたレポートが初出だと言われています。
バイヤーイネーブルメントが重要視される理由
バイヤーイネーブルメントが重要視される理由は大きく分けてふたつあります。
- 情報収集のオンライン化
- 決裁権がミレニアル世代へ移行してきた
バイヤーイネーブルメントが重要視されるのは情報収集がオンライン化したのが最大の要因です。インターネットやスマートフォン、アプリケーションの発展により、Web上で情報を集め購買するケースが増えてきました。
言い換えれば対面で商談する段階がスキップされるようになっています。つまりフィールドセールスができないことの成り代わりがバイヤーイネーブルメントだといえるでしょう。
バイヤーイネーブルメントなら、Web上での情報発信などを用いて顧客の購買行動を支援できます。
また決裁権がミレニアル世代(1981年〜1996年生まれ)へ移行し始めたのもひとつの要因です。彼らはインターネットやスマートフォンに慣れ親しんでおり、オンライン上での購買活動を好みます。
購買をうながすうえで決済権を有する人間にはたらきかけるのはセールスの基本。だからミレニアル世代にフィットするバイヤーイネーブルメントが求められています。
バイヤーイネーブルメントとセールスイネーブルメントの違い
バイヤーイネーブルメンとセールスイネーブルメントは、字面こそ似ているもののまったく異なる概念です。
セールスイネーブルメントとは、わかりやすく言えば「営業活動の効率化・IT化」です。新しいテクノロジーによって生み出された営業ツールや進化した教育メソッドを惜しみなく投じ、またそれらのパフォーマンスを数字で厳しく管理します。
そうすることでブラックボックスになりがちだった営業活動をクリアにし、また効率的に進めようというのが狙い。セールスイネーブルメントは成果主義的な考え方が主流な欧米諸国では、すでに当たり前のやり方として知られています。
対してバイヤーイネーブルメントは、「自社の営業活動」ではなく「顧客の購買活動」を支援することです。両者で主体も内容もまったく異なるので、誤用に注意しましょう。
資料「マーケ・営業・IS担当者必見!はじめての営業代行」を無料ダウンロードバイヤーイネーブルメントを実践するための施策

バイヤーイネーブルメントはまだ日本では一般的ではなく、具体的に何をすべきかわからない担当者も多いでしょう。
初期に取り組むべき施策として以下が挙げられます。
- 顧客の購買プロセス
- Web上での購買サポート
- 営業力の向上
- 必要な情報を適切なタイミングで提供する
- バイヤーイネーブルメントサービスを活用する
これらはすべてバイヤーイネーブルメントの基本・はじまりとなる施策です。よりレベルの高いものもありますが、いますぐそこまでハイレベルな施策にトライするのはおすすめできません。
まずは基本的な部分からスモールステップで進めていき、バイヤーイネーブルメントを正常に導入・理解しましょう。
顧客の購買プロセスを洗い出す
バイヤーイネーブルメントでは、まず顧客の購買プロセスを洗い出すのが大切です。それがわからなければ支援のしようがないからです。
購買プロセスがわかれば、その前後でのアクセスや心理の動向が明らかになります。それが理解できれば、ニーズの発生から購買に至るまで何が支援として必要なのか判断できます。
バイヤーイネーブルメントでは、まず顧客が何を思い、どうやって決断しているか知ることが何よりも大切です。
Web上での購買を支援する
バイヤーイネーブルメントではWeb上での購買サポートが重要です。これは大きく分けて3つのポイントに分けられるでしょう。
- サービス・製品に対する適切な情報発信
- 購入ハードルを低くする
- 離脱が起こりうる不便なセクションを取り除く
わかりやすく言えば「コンバージョンしやすくする工夫」が重要です。
購買担当者は、最初にその商品の情報を収集します。価格やプラン、性能やアフターサポートがこれに該当するでしょう。
さらに問い合わせや購入に対するハードルを取り去れば、購入へ至りやすくなります。例えばお問い合わせフォームの最適化などが、ここで必要な施策だといえるでしょう。
そして離脱が起こりうるセクションは取り除く必要があります。つまりWebサイトのパフォーマンスを常に追いかけ、必要に応じて改善しなければいけません。
営業力を高める
バイヤーイネーブルメントを実施するには営業力の向上が求められます。
いくら購買活動がデジタル化しても、最後には対面での商談が求められることも多いからです。
例えばWeb上で購入するサービスや製品が絞り込まれても、そこまでの情報だけで購買を決定できないケースもあります。その際、「実際に営業担当者と会って話をして決めよう」と考えるでしょう。
つまりいくらバイヤーイネーブルメントが進んだとしても、最後には営業力がモノをいう瞬間もあります。
もちろんWeb上で完結する顧客はそれでもかまいません。しかしすべてをデジタルに依存しない顧客から成約を勝ち取るため、営業力は必要となります。
必要な情報を適切なタイミングで提供する
バイヤーイネーブルメントでは、情報を提供するのが大切です。しかし、何もかもを常にオープンにするだけではいけません。
購買担当者が必要な情報を、適切なタイミングで提供する必要があります。
勤怠管理システムの販売をモデルケースとして考えてみましょう。
この場合、想定される顧客は人事課スタッフや経営者が想定されます。そうすると、システムが人事・経営に対してどのようなメリットがあるのか知らしめる必要がありそうです。
タイミングはできるだけ早いほうがよいでしょう。Webサイトを開いて「弊社製品でこのように勤怠管理が変わる」とアピールすれば、興味を持ってもらえそうです。
このようにして購買担当者が何を求めるのか理解し、もっともよいタイミングで情報提供する必要があります。
バイヤーイネーブルメントサービスを活用する
自社単独でバイヤーイネーブルメントを実施するのが困難なケースも多々あります。その場合は専用のサービスの利用できないか検討しましょう。
とはいうもののバイヤーイネーブルメントは、日本ではまだほとんど使われていない施策です。ましたこれをサービスとして大きく掲げている企業はそうそうありません。
そもそも「バイヤーイネーブルメント」が商品として市場にない状態です。
しかし米国資本である、あるいは先進的なマーケティング企業であればバイヤーイネーブルメントに精通している可能性があります。
その場合でも「ウチはやっている」と、堂々とは公表していません。しかし「バイヤーイネーブルメントをやりたいんだ」と話せば、企業によっては対応できるでしょう。
自社で実施するのがむずかしい場合は外部へ依頼できないか検討するのがおすすめ。
またバイヤーイネーブルメントに取り組んでいるだけでも先進的ななか、それをプロフェッショナルに外注しているなら一層他社との差別化が図れているといえます。これも外部へ依頼するメリットのひとつとなりそうです。
まとめ:バイヤーイネーブルメントを早期に習得すべき

本記事ではバイヤーイネーブルメントの定義や重要性などについて解説しました。最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
- バイヤーイネーブルメントは、BtoBにて購買担当者の購買活動を支援すること
- 情報収集のオンライン化、決裁権のミレニアル世代への移行などが理由で注目されている
- バイヤーイネーブルメントを実施するには、購買プロセスの理解やWeb上での購買支援などが重要となる
- 自社で実施するのが困難なら、専門的な企業へ外注する選択肢もある
バイヤーイネーブルメントは日本でまだ一般的ではない手法・戦略ですが、海外では当たり前のように活用されており、日本国内での普及が遅れている状態です。
自社では一足早く導入できないか、検討してみましょう。 資料「マーケ・営業・IS担当者必見!はじめての営業代行」を無料ダウンロード投稿者プロフィール

-
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。