イエスセット話法とは?営業に活用する方法・話題例・ポイントを解説

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顧客の「イエス」の獲得を容易にする効果が期待できるイエスセット話法。
イエスセット話法の心理学的な要素を理解できれば、より有効な商談やアプローチが可能になり、生産性向上につながります。

本記事では、イエスセット話法の基礎知識や活用可能な場面を解説します。
イエスセット話法の話題例やポイントなども、あわせてご覧ください。

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イエスセット話法とは、心理学を応用した交渉術

イエスセット話法とは「一貫性の法則」に基づいた心理を活用し、相手の同意を得やすくする心理的交渉術です。
一貫性の法則とは、質問に対して「イエス」の回答を繰り返すことで反論しにくくなり、次の質問にもイエスと返事をしてしまう心理です。

交渉の場においても、相手の「イエス」を積み重ねることで、同意が得やすくなります。
つまり、イエスセット話法を営業に活用できれば、信頼関係構築や成約獲得などが容易になるということ。

イエスセット話法は、営業生産性の向上に期待できる心理的交渉術です。

イエスセット話法を活用可能な3つの営業プロセス

営業プロセスの中で、イエスセット話法はどのような場面で活用できるのでしょうか。
本章では、イエスセット話法を活用できる3つの営業プロセスを解説します。

営業プロセス1.アイスブレイク

イエスセット話法は、話しやすい雰囲気を作るアイスブレイクで活用できます。
相手からのイエスを積み重ねて顧客をリラックスさせ、より円滑なコミュニケーションへとつなげるのです。

アイスブレイクでは、相手との関係性が構築されていない状態を想定して、相手からの同意を得やすい話題にするのがポイント。
例えば、季節・気候の話題であれば、下記のような例が挙げられます。

  • 寝苦しい季節になりましたね
  • 今日は穏やかに晴れましたね

季節や気候の話題は、相手の情報がない状態でもイエスを獲得できる質問が可能です。

営業プロセス2.ヒアリング

ヒアリングでは、商談の冒頭で得たニーズを確認することで、相手からのイエスを獲得できます。
マーケティングで得た事前情報を確認も有効であり、話題としては以下のような例があります。

  • 現在、〇〇を課題に感じているということでお間違いないでしょうか
  • プロジェクトの期間は〇ヶ月程度を想定しているということでよろしいですか

ヒアリングにイエスセット話法を活用するときは、相手が尋問を受けているかのような感覚を覚える場合がある点に注意しましょう。
話題を提供する前に「念のため確認してもよろしいでしょうか」といったひと言で、相手に尋問感を与えるリスクを回避できます。

営業プロセス3.提案

提案プロセスでイエスセット話法を活用する際は、課題解決後の状態をイメージできるような質問を心がけることが大切です。
ニーズを満たす方法を提案しながら、課題解決後の未来を思い描かせることで、イエスの獲得を促進します。

提案プロセスの話題には、下記のような例があります。

  • 〇〇を導入してみてはいかがでしょうか。事務作業が自動化できるため、基幹業務を遂行する時間が、約〇時間ほど増加できる見込みです。
  • コミュニケーション強化ツールを検討してはいかがでしょうか。プロセスの属人化予防に期待できるほか、全体的なスキルアップにもつながります。

イエスを獲得しやすくするには、相手の潜在的なニーズを把握しておくことが大切です。
顕在的・潜在的なニーズを踏まえて提案することで、相手のイメージはより具体的になり、成約率の向上に期待できるでしょう。

イエスセット話法の2つの話題例

イエスセット話法で提供する話題で大切なのは、相手との関係性に応じた工夫です。
仮に、3度目の商談を実施する相手に天気の話題を提供すると、相手に「3度目なのにその程度の関係か」とマイナスの印象を与えるリスクがあります。

本章では、初対面と2度目以降の場合で使い分けが可能な2つの話題例を解説します。

例1. 誰もが「イエス」と答える話題

誰もがイエスと答える話題は、下記の3ジャンルです。

  • 季節:だいぶ春めいてきましたね
  • 天候:今日は傘が手放せませんね
  • 曜日:もうすぐ週末ですね

誰もがイエスと答える話題は、初対面の相手に有効です。
アイスブレイクを兼ねて、ヒアリングにつなげやすい雰囲気を構築できます。

ただし、会うのが二度目以降の相手に使えるのは、商談の最初のみ。
商談が二度目以降の場合は、季節・天候・曜日よりも重要性が高く、相手のイエスを獲得できる話題を提供することで信頼関係を深められます。

例2. 両者の間で合意が取れている話題

会うのが二度目以降であれば、両者の間のみで合意が取れている話題を提供するのが効果的です。
両者の間で合意が取れている話題の例は以下の通りです。

  • ニーズ:今感じている課題は〇〇ということでしたが、よろしいでしょうか。
  • 前回の確認:前回は〇〇というお話でしたね。

前述した季節・天候・曜日の話題も、両者の間で合意した情報があれば、下記のように工夫できます。

  • 天気:〇〇様は、今日のような天気がお好きでしたね。(好みを取り入れる)
  • 季節:キャンプにぴったりの季節がやってきましたね。(趣味を取り入れる)

仕事のやりとりに加えて、相手の好みや趣味を取り入れた話題を提供することで、人間関係・信頼関係の構築が容易に。
「自分のことをきちんと見て覚えてくれている」という好印象から、イエスセット話法の効果促進を期待できます。

イエスセット話法で「ノー」の言われたときの対処法

必ず「イエス」と返ってくるであろう質問に対しても「ノー」と言われてしまう場合もあります。
例としては「今日は晴れていて気持ちいいですね」に対して「でも、午後からはゲリラ豪雨があるみたいですよ」と返ってきた場合です。

本章では「ノー」と言われた場面から「イエス」を獲得する方法を解説します。

対処法1.相手の言葉を返す「バックトラッキング」

バックトラッキングとは、相手の言葉を伝え返すことを指し、オウム返し・伝え返しなどとも呼ばれるコミュニケーション技術です。

例えば、「天気が晴れている」ことに対して「午後からゲリラ豪雨」と返ってきた場合は「ゲリラ豪雨があるのですね」と返します。
このようにバックトラッキングを用いることで、相手からのほぼ確実な「イエス」に期待できます。

バックトラッキングの注意点は乱用しないこと。
バックトラッキングの乱用は、次の話題に発展しにくくなり、コミュニケーションがぎくしゃくするリスクがあります。

対処法2.観察力を活用「推測」

推測は、バックトラッキングから次の話題に発展させるときに役立ちます。
バックトラッキングから推測を活用した話題例を見てみましょう。

相手:午後からはゲリラ豪雨があるみたいですよ。
自分:午後からゲリラ豪雨なんですね。→バックトラッキング
相手:はい。
自分:ゲリラ豪雨の可能性があるときは傘がないと困りますよね。→推測
相手:そうですよね。この間も傘がなくて…。

上記の例では「ゲリラ豪雨で傘がなくて困ったこともあるのでは」と推測しています。
またゲリラ豪雨で困ったのは相手自身ではなくても、困った経験のある人が周囲にいれば、そこから話題を発展させられるでしょう。

推測を用いる場合は、100%イエスを獲得できるとは限りません。
しかし、ノーと返ってきたときも、その理由を聞いてみることで次の話題に発展できます。

次の話題に発展できれば、イエスセット話法を活用するチャンスに期待できるため、推測はノーが返ってきたときに有効と言えます。
イエスセット話法は、バックトラッキングと推測を交えながら活用することで、有効性の向上が可能です。

イエスセット話法を活用するときの3つのポイント

イエスセット話法は、商談の中に取り入れると成約率の向上に期待できます。
しかし、成約率をさらに向上させるには、守っておくべきポイントも存在します。

本章では、イエスセット話法を活用するときの3つのポイントを解説。
イエスセット話法の効果を高めて、確度の高い商談を実現しましょう。

ポイント1.複数の話題を準備

イエスセット話法は、会話のラリーを続ける中で活用するのが前提です。
そのため、複数の話題を準備しておき、さまざまな切り口から相手の話を引き出す必要があります。

複数の話題が準備できていれば、相手が「ノー」と言ったときの対処法になるのもポイントです。
相手のノーに対して上手く話題を切り替え、より適切なアプローチを実行することで、次の「イエス」を獲得できます。

ポイント2.最終目標を明確化

イエスセット話法を営業活動に取り入れるのは、コミュニケーションの中でイエスを積み重ねて、成約率を高めるのが目的です。
そのため、最終的にはどのようなイエスを受け取るのがゴールになるのかを明確にしておく必要があります。

商談プロセスごとに、イエスセット話法をどのように使うのかを見てみましょう。

  1. アイスブレイク:誰でもイエスと答える質問を実施
  2. ヒアリング:顧客のニーズを確認してイエスを獲得しながら、ニーズを深掘り
  3. 提案:相手に課題解決後の未来をイメージさせながら、提案に対するイエスを獲得
  4. 成約:商材に対するイエスを獲得して契約締結

上記のように、イエスを積み重ねる中で、成約へと導けるようにコミュニケーションを図ってください。

ポイント3.「イエス」の質を高める

イエスセット話法で獲得するイエスの中には、積み重ねても意味をなさないイエスもあります。
例えば、気候・季節の質問に対するイエスは、商談のきっかけに過ぎません。

そのため、イエスには「高質のイエス」と「低質のイエス」があることを覚えておきましょう。
それぞれのイエスの例は以下の通りです。

  • 低質のイエス:季節・天気など、当たり前のイエス
  • 高質のイエス:相手の潜在的なニーズを引き出す・言い当てたことに対するイエス

成約につなげるには、相手の潜在的なニーズをきちんと汲み取り、課題を適切に解決できる提案が必要です。
高質なイエスを積み重ねることで、信頼関係を構築でき、結果的に成約率の向上につながります。

イエスセット話法の活用で成約率の向上が可能

本記事では、イエスセット話法の基礎知識や話題例を解説しました。
イエスセット話法は、商談の場に取り入れることで成約率の向上を実現可能です。

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投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様に
ターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。