インサイドセールスでトークスクリプトを作成する4つのステップ

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インサイドセールスのなかでも、とくに頻繁に行うのが「電話を使ったアプローチ」です。インサイドセールスで使うトークスクリプトは、テレアポとは違ったやり方で作成する必要があります。

この記事では、インサイドセールスでトークスクリプトが必要とされる理由や、具体的な作成手順について分かりやすくご紹介いたします。

インサイドセールスにおけるトークスクリプトの必要性

ここでは、インサイドセールスにおいてトークスクリプトが必要な理由を、2つの観点でご説明しています。

トークの品質を安定させるため

インサイドセールスでトークスクリプトを作成していると、各担当者のトークの内容を揃えられるのがメリットです。適時トーク内容を分析・改善することで、最も効果のあるアプローチ方法を模索できるようになります。

インサイドセールスにおけるトークの多くは、「ヒアリング」「アポ獲得」「提案」といった各プロセスで、会話全体の流れがある程度決まっています。トークスクリプトを作成することで、ある程度先の情報を予測しながら、スムーズに会話を行えるのです。

もちろん、トークスクリプトに書かれた内容だけがすべてではありません。顧客からイレギュラーな質問をされたり、想定していない方向へ会話が流れたりしたときは、各担当者のコミュニケーション能力が試されます。

トーク内容を細かく設定しすぎるのもよくありませんが、想定できる範囲内でスクリプトを作成することで、インサイドセールス全体の能力を向上させられるのです。

新入社員を即戦力として活躍させるため

とくに、新入社員をすぐさまインサイドセールスへ配置したいと考えている場合は、トークスクリプトが効果を発揮します。実証済みのトーク内容に沿って話すだけで、ある程度の成果が期待できるからです。

入社したての新入社員にとって、はじめに何を話してどのようにゴールへとつなげればいいのかが分からないものです。そのような状況下でトークスクリプトがないのは、いわば「地図なしで初めての目的地へ向かう」ようなものでしょう。

トークスクリプトの作成は、インサイドセールスの人手が不足している企業において力を発揮します。未経験の人材がすぐ活躍できるようになるという意味でも、非常に重要なのです。

インサイドセールスにおけるトークスクリプトの特徴

インサイドセールスのトークスクリプトは、テレアポのトークスクリプトと同じように思われがちですが、その内容は大きく異なります。前者は、見込み顧客の育成からアポイント獲得までを長期間で行うのに対し、後者は短期間でのアポイント獲得を狙うからです。

たとえば、インサイドセールスが見込み顧客へ電話をするときは、「課題のヒアリング」や「解決策の提案」など、各プロセスに応じて電話がけをします。育成段階ごとにトーク内容を設定する必要があるため、テレアポよりもバリエーションが多岐に渡るのです。

また、1人の顧客と長期的に接するため、テレアポよりも質の高いトークが求められます。そのため、一時的に顧客心理を変えるテクニックよりも、長期的に見て顧客が満足いくような内容を重視するのです。

さらに、インサイドセールスにおいては、顧客の課題を深掘りしていく「ヒアリング」を行う場面もでてきます。そのような場合は、トークスクリプトだけでは対応できないので、別途ヒアリングシートを作成している企業も多いです。

インサイドセールスでトークスクリプトを作成する手順

ここでは、インサイドセールスのトークスクリプトをどのような手順で作成すればいいのかについてご紹介いたします。

目標や目的の設定

インサイドセールスでは、顧客の育成段階によって電話で話す内容が変わってきます。トークスクリプトを作成する際はまず、各営業プロセスを整理して、それぞれの目標を定めることが重要です。

以下に、インサイドセールスにおける各営業プロセスの例をご紹介します。

  • 情報提供
  • セミナー案内
  • ヒアリング
  • 解決策の提案
  • 懸念点の解消
  • アポイント獲得

たとえば、情報提供が目的の電話であれば、何を伝えることが最終的なゴールなのかを具体的に設定します。また、懸念点の解消を目的とした電話であれば、見込み顧客のどのような反応をゴールとみなすのかについて明確にするのです。

インサイドセールスの営業プロセスを整理し、それぞれの目標を設定することで、各トークスクリプトのスタートとゴールが明らかになります。まずは全体像を把握して、わかる範囲で細分化していくことが重要です。

ヒアリング項目の設定

次に、見込み顧客から聞き出すべき重要な情報を洗い出します。大事な情報を漏れなく収集することで、フィールドセールスへ確度の高いリストを引き渡すことが可能になるのです。

営業におけるヒアリング項目の代表例として挙げられるのが「BANT」です。BANTとは、「Budget(予算)」「Authority(決裁権)」「Needs(必要性」)「Timeframe(導入時期)」の4つの頭文字を組み合わせた言葉を指します。

ヒアリング項目として次に挙げられるのが、「MEDDIC」です。MEDDICとは、テクノロジー企業で働いていたJack Napoli氏が提唱したフレームワークで、「Metrics(測定指標)」「Economic Buyer(決裁権限者)」「Decision Criteria(意思決定基準)」「Decision Process(意思決定プロセス)」「Identify Pain(課題)」「Champion(擁護者)」の6つで構成しています。

とくに顧客からBANTを聞き出すことは、受注へと結びつける前提条件だともいわれています。BANTやMEDDICといったフレームワークを参考にして、自社の業態や環境に合ったオリジナルのヒアリング項目を作成しましょう。

トーク文の作成

トークの目標と具体的なヒアリング項目が決まったら、実際の会話内容を作成しましょう。重要な質問項目を盛り込みながら、言葉の言い回しや条件分岐などを設定していきます。

トーク文を作成する際のテクニックの1つに、他社事例の紹介が挙げられます。具体的には、見込み顧客と関係ある企業の口コミや導入実績を事前に集めておき、電話時に事例として紹介することで、信頼性を高める効果を期待できるのです。

また、オープンクエスチョンを活用することも効果的な方法です。イエスかノーだけで答えるクローズドクエスチョンとは違い、「説明に対してどう思ったのか」「抱えている課題に対してどう思っているのか」といった質問を投げかけることで、より重要な情報を聞き出しやすくなります。

切り返し文の作成

トークスクリプトを作成する際は、顧客からの急な質問に対しても答えられるよう、複数の切り返し文を用意しておくことが重要です。

とくに、見込み顧客の断り文句に対しては、経験の浅い担当者だと返答に詰まってしまいがちです。そのような場合に備えて切り返しトークが設定されていれば、言葉に詰まらずスムーズに返答できます。

インサイドセールスでトークスクリプトを作成する際のポイント

ここでは、インサイドセールスでトークスクリプトを作成するポイントを、3つに分けてご紹介します。

スクリプトの種類を細分化しすぎない

インサイドセールスでトークスクリプトを作成する際は、スクリプトの種類をあまり多くしすぎないことがポイントです。対応すべき状況が増えれば増えるほど、作成に負担がかかってしまうからです。

たとえば、「自社セミナーに参加したことのある方」「無料資料をダウンロードしてもらった方」など、それぞれの状況に応じてシナリオを作成するやり方が挙げられます。しかし、実際に電話で聞いてみないと顧客の検討度合いは分からないため、作成時間に対しての効果はあまり得られないかもしれません。

また、切り返し文を細かく設定しすぎることも作成の負荷をかける要因になります。トークの幅にある程度の余裕を持たせておかないと、担当者がマニュアルに忠実になりすぎて、硬直化を招く恐れもあるのです。

トップセールスの意見を取り入れる

インサイドセールスとフィールドセールスにおいては、両者で共通する部分がたくさん見受けられます。そのため、既存のフィールドセールスで結果を出している営業パーソンの意見を取り入れることは、スクリプト作成の大きな手助けになるのです。

たとえば、フィールドセールスが初めて企業へ訪問する際に使うトークテクニックなどは、インサイドセールスでの初期アプローチなどに活かすことができます。ほかにも、BANT条件の聞き出し方やクロージングテクニックなど、参考にできる部分が多くあるのです。

立ち上げ時は、インサイドセールスとフィールドセールスを明確に分割するのではなく、既存の営業パーソンの意見も取り入れながらスクリプトを作成するのが、失敗しない秘訣です。

ロールプレイングを実施する

インサイドセールスのトークスクリプトがひとたび完成しても、そこはゴールではありません。実際のコール活動を円滑に行えるよう、ロールプレイングを実施して、さらなる磨きをかけることが大切です。

具体的には、トーク役と顧客役の2者をセッティングして、冒頭のあいさつから目標とするゴールまでを1通り試してみます。ときにはイレギュラーな質問も浴びせながら、スムーズに答えられるかどうかを試してみるのです。

ロールプレイング中に引っかかる部分があったり、顧客役が不快に感じてしまう内容があったりしたときは、トークスクリプトの改善を行います。本番のコール活動で担当者に負担をかけないためにも、重要な内容です。

トークスクリプトを作成してインサイドセールスを成功させよう

インサイドセールスでトークスクリプトを作成することは、営業力を組織的に強化していく上で必要不可欠です。まずは目標やプロセス整理を行い、分析や改善を繰り返しながら作り上げていくことが大切です。

とくに初めてインサイドセールスを立ち上げる場合は、基本的な手順に則って作成してみてはいかがでしょうか。

投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。