目次
営業担当者の評価、売上や契約件数だけで判断していませんか。
「頑張っているのに成果が出ない社員をどう評価すれば良いのか」
「評価制度が社員のモチベーション低下につながっている気がする」
このような悩みを抱える人事担当者やマネージャーの方は少なくありません。
本記事では、営業の評価制度における3つの基本軸からすぐに使える評価項目リスト、評価シートの作り方や導入・運用のポイントまで詳しく解説します。
公平で納得感のある制度設計のヒントをまとめているので、ぜひ参考にご覧ください。
なお、株式会社soraプロジェクトでは営業代行の基礎をまとめた資料「マーケ・営業・IS担当者必見!はじめての営業代行」を無料で配布しています。
なぜ今、営業の評価制度の見直しが重要なのか?3つの理由

現代のビジネス環境において、営業の評価制度は単なる給与査定のツールではありません。
企業の持続的な成長を左右する、極めて戦略的な仕組みへと進化しています。
その背景には、大きく分けて3つの重要な理由があります。
理由1:優秀な人材の離職を防ぎ、エンゲージメントを高める
営業職は、企業の収益に直結する重要なポジションです。
そのため、優秀な営業担当者の確保と定着は、経営における最優先課題の一つです。
しかし、評価制度が不公平であったり自身の貢献が正当に評価されていないと感じたりすると、社員のエンゲージメントが著しく低下して最悪の場合離職につながってしまいます。
公平で透明性の高い評価制度は、社員が企業から大切にされている実感を与えます。
自身の努力や成果が正当に認められる環境は、組織への信頼感を醸成し、エンゲージメントを高める上で不可欠です。
理由2:個々の成長を促し、組織全体の営業力を底上げする
優れた評価制度は、個々の営業担当者の成長を促す羅針盤の役割を果たします。
評価を通じて、各担当者の強みと弱みが客観的に明らかになります。
これにより、一人ひとりに最適化された育成プランや研修を計画的に実施可能です。
例えば「提案力は高いが、新規開拓が苦手」という評価が出た社員には、リード獲得に関する研修を提供するなど、具体的に対策できます。
個々のスキルアップが組織全体の営業力向上に直結し、継続的な成果を生み出す強い営業チームを構築します。
理由3:企業文化を醸成し、価値観を浸透させる
評価制度は、企業が「何を大切にしているか」を社員に示す強力なメッセージです。
例えば、評価項目に「チームへの貢献」や「顧客との長期的な関係構築」といった項目を加えれば、企業が短期的な売上だけではなくチームワークや顧客第一主義を重視していることが明確に伝わります。
このように、評価制度は企業の経営理念や展望を具体的な行動レベルに落とし込み、組織全体に浸透させるための有効な手段です。
目指すべき方向性を全社で共有し、一体感のある組織文化を醸成する上で、評価制度は中心的な役割を担います。
営業評価の3つの基本軸|成果・能力・行動をバランス良く評価する

多くの営業組織が陥りがちなのが、売上高や契約件数といった「成果」のみで評価してしまうことです。
もちろん成果は重要ですが、それだけでは個人の成長やチームへの貢献を見過ごすことになります。
そこで重要となるのが、「成果」「能力」「行動・情意」の3つの基本軸をバランス良く組み合わせることです。
これにより、多角的で公平な評価が実現します。
3つの評価軸の概要と評価対象の例は、以下のとおりです。
| 評価軸 | 概要 | 調査対象の例 |
| 成果評価 (定量評価) | 「何をどれだけ達成したか」という客観的な結果を測る | ・売上高、利益額 ・新規契約件数、顧客獲得数 ・顧客維持率、リピート率 |
| 能力評価 (スキル評価) | 「成果を出すために必要なスキルや知識」を測る | ・課題発見力、ソリューション提案力 ・交渉力、クロージング力 ・市場分析力、製品知識 |
| 行動・情意評価 (プロセス評価) | 「どのように業務に取り組んだか」という過程や姿勢を測る | ・チームへの貢献度、情報共有 ・自己成長への意欲、積極性 ・規律性、責任感 |
これらの3つの軸を適切に組み合わせることで、短期的な成果だけではなく、中長期的な成長につながる能力や行動も評価対象にできます。
【実践編】営業の評価項目具体例50選|職種・役割別に解説

ここでは、明日から使える具体的な評価項目を一覧でご紹介します。
「成果」「能力」「行動・情意」の3つの軸に分類し、さらにSDR(インサイドセールス)やAE(フィールドセールス)、AM(アカウントマネージャー)などの役割ごとのKPI例も盛り込んでいますので、自社の状況に合わせてカスタマイズしてご活用ください。
①成果評価(定量評価)の項目例|何をどれだけ達成したか
成果評価は、客観的な数値にもとづいて測定されるため、公平性を担保しやすいのが特徴です。
おもに以下のような役割に応じて適切なKPIを設定することが重要です。
| 分類 | 役割 | 評価項目(KPI) | 測定方法 |
| 売上・利益 | AE/AM | ・売上高/目標達成率 ・利益額/利益率 ・平均契約単価(AOV) | SFA/CRMのリポート機能で実績値と目標値を比較 |
| 新規開拓 | ・SDR/AE ・SDR ・AE | 【SDR/AE】 新規リード獲得数 【SDR】 ・アポイント獲得数 / 商談化数 ・有効商談化率 【AE】 ・新規契約件数 / 顧客獲得数 ・受注率 / 成約率 | ・MA/SFAツールでの計測 ・SFA/CRMのリポート機能 |
| 顧客深耕 | AM | ・顧客維持率 / 解約率(チャーンレート) ・アップセル / クロスセル件数・金額 ・顧客単価向上率(ARPA) ・顧客満足度 / NPS® | 顧客アンケート調査 |
| 効率性 | SDR/AE | ・セールスサイクル(成約までの期間) ・活動量(コール数、メール数、訪問数) ・パイプライン規模 / 案件創出数 | ・SFA/CRMのリポート機能 ・SFA/CRMやCTIツールの活動記録 ・SFA/CRMのリポート機能 |
②能力評価(スキル評価)の項目例|成果を出すための力
能力評価は、高い業績を上げる人材に共通する行動特性(コンピテンシー)を評価します。
成果に至るまでのプロセスや個人のスキルに着目します。
| 能力分類 | 評価項目 | 最高評価(S)の行動例 |
| 思考力 | 顧客課題発見力 | 顧客自身も気づいていない潜在課題を特定・言語化し、自社ソリューションで解決策を提示できる |
| ソリューション提案力 | 複数の製品・サービスを組み合わせ、顧客の投資対効果(ROI)を明確に示しながら経営層を巻き込んだ提案ができる | |
| 論理的思考力 | 複雑な情報を整理し、データにもとづいて仮説を立て、説得力のある提案ストーリーを構築できる | |
| 市場・競合分析力 | 最新の市場動向や競合情報を常に把握し、自社の強みを活かした差別化戦略を立案・実行できる | |
| 対人スキル | 交渉・クロージング力 | 顧客の予算や競合状況を正確に把握し、戦略的な交渉を通じて双方にとって最適な契約を迅速に締結できる |
| 関係構築力 | 顧客の役員層と定期的に情報交換を行い、中長期的な事業戦略に関する深いインサイトを提供することで、真のパートナーとしての地位を確立している | |
| ヒアリング能力 | 傾聴の姿勢を徹底し、巧みな質問を通じて顧客の本音や背景にあるニーズを引き出せる | |
| プレゼンテーション能力 | 相手の理解度に合わせて、専門用語を避けつつ、わかりやすく魅力的なプレゼンテーションを行える | |
| 専門知識 | 製品・サービス知識 | 自社製品の仕様だけではなく、導入事例や他社製品との比較、業界知識まで深く理解して顧客に最適な提案ができる |
| 業界知識 | 担当する業界のビジネスモデルやトレンド、特有の課題について深い知見を持ち、顧客と対等な立場で議論できる | |
| 自己管理 | 計画性・実行力 | 目標達成から逆算して行動計画を立て、優先順位をつけながら計画通りにタスクを実行できる |
| タイムマネジメント | 限られた時間の中で最大限の成果を出せるよう、効率的に業務を遂行し、時間を有効活用できる |
③行動・情意評価(プロセス・定性評価)の項目例|どのように業務に取り組んだか
行動・情意評価では、成果や能力だけでは測れない日々の業務への姿勢やチームへの貢献度を評価するため、企業の価値観を反映させやすい項目です。
| 分類 | 評価項目 | 評価のポイント |
| 責任性 | 目標達成へのコミットメント | 目標達成のために自律的に行動し、困難な状況でも諦めずに粘り強く取り組んでいるか |
| 誠実性・規律性 | ルールや約束事を遵守し、顧客や社内メンバーに対して常に誠実な態度で接しているか | |
| 当事者意識 | 発生した問題や課題を他人事とせず、自らの問題として捉え、解決に向けて主体的に行動しているか | |
| 協調性 | チームへの貢献度 | 自身の成功体験や知識、成功事例を積極的にチームに共有し、他のメンバーを支援しているか |
| 周囲との連携 | 営業チーム内だけでなく、マーケティングやカスタマーサポートなど、他部署とも円滑に連携して組織全体の目標達成に貢献しているか | |
| 報告・連絡・相談 | 上司や関係者に対して、業務の進捗や課題について適時適切に報告・連絡・相談を行っているか | |
| 積極性 | チャレンジ精神 | 現状に満足せず、新しい営業手法やツールの導入、未開拓の市場へのアプローチなど常に新しい挑戦をしているか |
| 改善提案 | 日々の業務における非効率な点や問題点に気づき、具体的な改善策を積極的に提案しているか | |
| 成長意欲 | 自己成長への意欲 | 自身の弱みを認識し、研修への参加や資格取得、読書などスキル向上のための行動を自発的に起こしているか |
| フィードバックの受容 | 上司や同僚からのフィードバックを素直に受け止め、自身の行動改善に活かしているか |
営業職向け評価シートの作り方

ここまで紹介した評価項目を、実際に運用可能な評価シートに落とし込んでいきましょう。
ゼロから作成する手間を省き、実用的なシートを作成するための4つのステップを解説します。
STEP1:評価項目とウェイト(重み付け)を設定する
まず、自社の営業戦略や各役職に求められる役割にもとづき、評価項目を選定しましょう。
次に、それぞれの項目の重要度に応じてウェイト(重み付け)を設定します。
例えば、若手はプロセスを重視するため「行動評価」のウェイトを高く、管理職は結果責任が大きいため「成果評価」のウェイトを高く設定するなどがあります。
若手営業職のウェイト設定の例は、以下のとおりです。
- 成果評価:30%
- 能力評価:40%
- 行動評価:30%
STEP2:評価基準(5段階評価など)を具体的に定義する
S, A, B, C, Dといった評価ランクごとに、どのような状態や行動が該当するのかを具体的に言語化します。
これにより、評価者による解釈のブレを防ぎ、評価の客観性と公平性を担保できます。
| 評価ランク | 定義 | 「顧客課題発見力」における行動例 |
| S (期待を大幅に上回る) | 常に模範となる行動で、極めて高い成果を上げている | 顧客の潜在課題を特定し、経営層を巻き込んだ提案ができる |
| A (期待を上回る) | 常に期待以上の成果を出し、主体的に行動している | 顧客の顕在課題に対し、複数の解決策を提示できる |
| B (期待通り) | 求められる役割を理解し、安定して成果を出している | 顧客からヒアリングした課題に対し、適切な解決策を提示できる |
| C (期待を下回る) | 指示された業務は遂行できるが、改善の余地がある | 顧客から言われた課題に対してのみ、解決策を提示する |
| D (大幅に期待を下回る) | 多くの場面でサポートが必要であり、改善が急務 | 顧客の課題を正しく理解できないことがある |
STEP3:自己評価を導入する
評価シートを運用する際は、まず社員自身に自己評価を記入してもらうプロセスを導入しましょう。
これにより、社員は自身の業務を客観的に振り返る機会を得られます。
また、上司の評価とのギャップを認識することで評価面談での対話が深まり、納得感の醸成にもつながります。
STEP4:フィードバックを実施する
評価シートは、評価結果を伝えるためだけのツールではありません。
重要なのは、このシートをもとに上司と部下が対話し、次の成長に向けたアクションプランを共に考えることです。
定期的なフィードバック面談を通じて、強みをさらに伸ばし、弱みを克服するための具体的なサポートを行いましょう。
失敗しない!営業評価制度の導入・運用5つのポイント

たとえ優れた評価制度も、運用がともなわなければ形骸化してしまいます。
制度を組織に根付かせ、確実に成果につなげるために、以下の5つのポイントを押さえてください。
ポイント1:評価基準を明確化し共有する
なぜこの評価項目が設定されているのか、どのような行動が評価されるのか、その基準と背景を全営業担当者に丁寧に説明しましょう。
説明会や研修の場を設け、評価制度の目的が「社員の成長支援」と「企業の業績向上」にあることを共有することで、社員の理解と協力を得やすくなります。
ポイント2:多角的な評価軸を導入する
前述の通り、成果だけではなく能力や行動といった複数の軸で評価することが重要です。
上司からの一方的な評価だけではなく、同僚や他部署、場合によっては顧客からのフィードバックを取り入れる「360度評価」も有効です。
多角的な視点を取り入れることで、より客観的で公平な評価に近づきます。
ポイント3:定期的にフィードバックを実施する
評価は、半期や一年に一度のイベントではありません。
評価期間中も、週次や月次の1on1ミーティングなどを通じて、継続的に進捗確認とフィードバックを行うことが極めて重要です。
タイムリーな軌道修正やサポートが、目標達成と個人の成長を大きく後押しします。
ポイント4:パイロット運用を実施する
新しい評価制度を全社で一斉に導入する前に、特定の部署やチームで試験的に導入(パイロット運用)するのがおすすめです。
実際に運用してみることで、想定外の問題点や改善点が見つかります。
現場からのフィードバックをもとに制度をブラッシュアップすることで、本格導入時の混乱を最小限に抑えられます。
ポイント5:制度を定期的に見直し、改善を続ける
ビジネス環境や企業の戦略は常に変化します。
それにともない、評価制度も一度作ったら終わりではなく、定期的に見直しを行いましょう。
年に一度は従業員へのアンケート調査を実施するなどして現場の意見を吸い上げ、常に制度を最適な状態にアップデートし続ける姿勢が不可欠です。
まとめ|戦略的な営業評価制度で、人と組織の成長を加速させる

今回は、営業の評価制度における基本的な考え方から具体的な評価項目、評価シートの作り方、導入・運用のポイントまで詳しく解説しました。
営業の評価制度は、「成果」「能力」「行動・情意」の3つの軸をバランス良く組み合わせることが、公平性と納得感の鍵です。
役割や役職に応じて評価のウェイトを調整し、自社の戦略に合った具体的なKPIや行動目標を設定することで、社員一人ひとりの成長を促せます。
営業の評価制度は単なる人事査定のツールではなく、企業の経営方針を実現し社員の成長を支援するための戦略的な経営の仕組みです。
ぜひ本記事で紹介した評価項目や運用ポイントをもとに、自社に合った評価制度の構築に取り組んでみてはいかがでしょうか。
soraプロジェクトでは、営業活動に関わるさまざまなサポートをしています。
テレアポ代行やインサイドセールス、デジタルソリューションまで幅広く対応しているので、営業の悩みがあるときはぜひご相談ください。
投稿者プロフィール

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1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。
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