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デジタルマーケティングの発展とともに、Webマーケティングに関する専門用語の理解は今や必須のスキルとなりました。
特にBtoBの分野では、多様なフレームワークや分析手法が活用され、データに基づいた戦略設計が求められるため、用語の正確な理解が成果に直結します。
本記事では、初心者が押さえるべき基本用語をジャンル別に紹介します。
基本概念を押さえ、マーケティング施策の精度を高めていきましょう。

基本のWebマーケティング用語

Webマーケティングの基本概念に関する用語
インバウンドマーケティング
顧客価値のある情報やコンテンツを発信し、顧客自らが興味を持ち、問い合わせや購入を進めていくためのマーケティング手法です。
アウトバウンドテレマーケティング
企業が顧客に対して電話などで直接アプローチし、商品の提案やアポイントの獲得を目指すマーケティング手法です。
プロダクトアウト
企業が自社の技術や強みをもって商品を開発し、市場に提供するアプローチです。
顧客ニーズよりも技術や企業のビジョンを重視する点が特徴です。
マーケットイン
顧客が望むニーズを徹底的に調査し、そこに合わせて商品やサービスを提供するアプローチです。
マーケティングファネル
見込み顧客が購買・契約に至るまでのプロセスを段階(ファネル)に分けて可視化する概念です。
「認知」から「興味・関心」、「比較・検討」、「購入」の4段階の流れを整理し施策を設計します。
マーケティングリサーチ
市場や顧客に関するデータを収集・分析し、戦略や施策に反映するための調査です。
定量調査と定性調査があり、どのように行うかで得られる情報や目的が異なります。
顧客ニーズに関するWebマーケティング用語
ニーズ
消費者が抱える問題を解消したい、あるいは得たいと考えている要望を指します。
顕在ニーズ
顧客がすでに自覚しているニーズです。
この課題を解決する商品やサービスを的確に提案できれば成約につながりやすい特徴があります。
潜在ニーズ
本人も自覚していない、または明確に言語化できていない要望や課題を指します。
顕在ニーズとは異なり、表面化していないため、企業側が適切なヒアリングやデータ分析を通じて引き出す必要があります。
インサイト
顧客の表面的な発言や行動の背後にある、深層心理や本質的な欲求を指す概念です。
単なるニーズとは異なり、顧客自身も気づいていないことが多く、データ分析や市場調査、観察を通じて発見されます。
アンメットニーズ
既存の商品やサービスでは満たされていない要望や課題です。
顧客が求めているにもかかわらず、まだ満たされていないニーズを指します。
企業と顧客の管理に関するWebマーケティング用語
SMB(Small to Medium Business)
中小規模企業の総称です。
中小企業の定義は業種によって異なり、中小企業基本法によって定められています。
リード
将来的に取引してくれる可能性がある見込み顧客のことです。
ホットリード
顕在ニーズが明確で、すぐにでも購入や契約を検討しそうな見込み顧客です。
営業担当が優先的にアプローチし、短期間で成果につなげやすい特徴があります。
コールドリード
商品やサービスへの関心がまだ低く、すぐには成約しにくい見込み顧客です。
メールマーケティングやコンテンツ配信を継続し、認知度やニーズを高める施策が必要になります。
BANT情報
企業へのヒアリングで必要とされる以下の4つの要素の頭文字を合わせた言葉です。
- Budget(予算)
- Authority(決裁権)
- Needs(必要性)
- Timeline(導入時期)
CRM (Customer Relationship Management)
顧客情報や購入履歴などを一元管理し、長期的な関係性を構築・維持するシステムや考え方です。
顧客の購買履歴や行動データを収集・分析し、パーソナライズされたマーケティングやカスタマーサポートを実施することで、顧客満足度の向上やリピーターの獲得につなげます。
成果測定に関するWebマーケティング用語
KPI(Key Performance Indicator)
最終目標(KGI)に向けた進捗度合いを測定するための中間指標です。
KGI(Key Goal Indicator)
企業が最終的に達成したい目標値を指します。
カスタマーチャンレート
一定期間内に離脱した顧客の割合を示す指標です。
主にサブスクリプション型ビジネスやSaaS企業で重要視される指標で、顧客の解約率や離脱率を測るために活用されます。
レベニューチャーンレート
一定期間内に失われた収益の割合を示す指標です。
カスタマーチャーンレートは「何人の顧客が離れたか」に焦点を当てているのに対し、レベニューチャーンレートは「どれだけの売上を失ったか」を測る指標です。
ネガティブチャーン
既存顧客の解約数があっても、アップセルやクロスセルによって総売上が減少しない状況を指します。
適切なカスタマーサクセス施策やプラン最適化により、ネガティブチャーンを達成することが可能です。
粗利
売上から仕入原価や製造原価などを差し引いた金額のことです。
運営支援に関するWebマーケティング用語
SFA(営業支援システム)
Sales Force Automationの略称で、営業活動を可視化し、管理や分析を容易にするシステムを指します。
分析と戦略に役立つWebマーケティング用語

戦略設計に関するWebマーケティング用語
SWOT分析
企業や事業を取り巻く環境と組織内部の要素を整理し、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4要素から戦略を立てるためのフレームワークです。
PEST分析
政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)の4つの外部環境要因を分析するフレームワークです。
ホールパート法
全体(Whole)を把握してから部分(Part)に取り組む、またはその逆に部分を詳細に学習した後に全体像を再確認する方法です。
OODAループ
意思決定と行動の理論により迅速かつ効果的な判断を行うための以下の4つの要素からなるフレームワークです。
- Observe(観察)
- Orient(状況判断)
- Decide(決断)
- Act(実行)
VRIO分析
企業が持つリソースや強みを、Value(価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣困難性)、Organization(組織体制)の観点で評価するフレームワークです。
ファイブフォース分析
業界構造を5つの要因(新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力、業界内競合)から、収益性や競争の強さを評価するフレームワークです。
3C4P分析
3CはCustomer(顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)の3要素を指し、4PはProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)を指します。
マーケティング7P
従来の4P(Product、Price、Place、Promotion)に加え、People(人材・担当者)、Process(提供プロセス)、Physical Evidence(物的証拠)を含めた枠組みです。
戦略実行と評価に関するWebマーケティング用語
QBR(Quarterly Business Review)
四半期ごとの事業評価を行い、目標進捗の振り返りと次期アクションプランの策定をするミーティングです。
キードライバー
目標達成に直結する主要要因や施策を指します。
マーケティングや経営分析において、売上や顧客満足度、成長率などの指標に対して、どの要素が最も寄与しているのかを特定する際に用いられます。
ファクトファイティング
可能な限り事実ベースで物事を判断し、状況分析を行い目標達成への方法を見つけることを指します。
アカウントプラン
特定の顧客企業(アカウント)に対して、どのようなアプローチを行い、中長期的に関係を深めていくかをまとめた戦略的な計画です。
データ活用とカスタマー管理に関するWebマーケティング用語
RFM分析
Recency(最近の購入日時)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の3軸から顧客をセグメント化する手法です。
リードナーチャリング
購買意欲が低い顧客に対し、段階的にメールやコンテンツマーケティングなどで購買意欲を育成し、受注に結び付ける手法です。
デマンドジェネレーション
潜在顧客の需要を喚起し、リードを獲得・育成し、営業部門へと渡す一連の活動を指します。
リードコリフィケーション
獲得したリード情報を再評価し、自社の商品やサービスに関心の高いリードを絞り込むことです。
実務で使えるWebマーケティング用語

リスト管理と営業手法に関するWebマーケティング用語
ハウスリスト
企業自身が保有する顧客データベースや見込み顧客の情報のことです。
アタックリスト
新規開拓を目的に作成された営業活動を行うターゲット企業や顧客情報のリストを指します。
リストクリーニング
保有している顧客や見込み客のリストから重複や誤った情報を整理・修正する作業です。
広告と集客に関するWebマーケティング用語
ネット広告
ネット広告(インターネット広告)とは、インターネット上で配信される広告の総称です。
検索エンジン、SNS、ウェブサイト、動画プラットフォームなどを活用し、特定のターゲット層に対して広告を表示できます。
ウェビナー
「Web(ウェブ)」+「Seminar(セミナー)」を組み合わせた造語で、オンライン上で開催されるセミナーのことを指します。
企業や団体がZoom、Microsoft Teams、Google Meetなどのプラットフォームを活用し、リアルタイムで講義やプレゼンテーションを配信する形が一般的です。
セミナー集客
セミナーやイベントへ見込み客を呼び込み、ターゲットとなる参加者を効果的に集めるためのマーケティング施策です。
適切なプロモーション戦略を立て、価値のあるコンテンツを伝えることで参加率を高め、見込み顧客の獲得につなげることが重要です。
メルマガ
メールマガジンの略称で、定期的に顧客や見込み顧客へ情報を配信する施策です。
ステップメール
あらかじめ設定したシナリオや日程に沿って、段階的にメールを配信する仕組みです。
顧客との関係を継続的に築きながら、コンバージョン率の向上を図る効果的なマーケティング手法です。
顧客戦略の向上のWebマーケティング用語
クロスセル
購入した商品と関連する別商品をおすすめする戦略です。
たとえば、ソフトウェアを導入した顧客に追加機能を提案するなど、顧客単価を上げるうえで効果的です。
アップセル
顧客が利用しているプランや商品を、上位プランや高価格帯のものに切り替えてもらう施策です。
例えば、サブスクリプションサービスでプレミアムプランを案内したりするケースが該当します。
顧客関係の構築と維持に関するWebマーケティング用語
タッチポイント
顧客が企業やブランドと接触するあらゆる接点を指します。
Webサイト、SNS、広告、店舗、カスタマーサポートなど、多岐にわたるチャネルが含まれます。
顧客エンゲージメント
顧客が企業やブランドに対して持つ積極的な関与や愛着度を指します。
単なる購入回数だけでなく、SNSでの発信、口コミ、リピート利用などの行動も含まれます。
リテーションマーケティング
既存顧客の維持・継続利用を重視するマーケティング手法です。
新規顧客獲得に比べ、コストを抑えながらLTV(顧客生涯価値)を最大化できる点が特徴です。
ラポール形成
相手との信頼関係を築き、円滑なコミュニケーションを促進するプロセスを指します。
営業やカウンセリング、マネジメントなどの場面で重要視され、共感や傾聴、ミラーリングなどの手法を用いることで、相手の心を開き、良好な関係を構築できます。
リベート
販売促進のために、取引先や顧客に対して契約や購入実績に応じた金銭や特典を還元する仕組みです。
最新トレンドと心理学的アプローチのWebマーケティング用語

最新マーケティング手法に関するWebマーケティング用語
インバウンドリード
顕在ニーズや興味を持つ見込み顧客が、自主的にサイトやSNSなどを訪問した結果、問い合わせや資料請求へ進むことで獲得できるリードを指します。
アウトバウンド
企業が自ら情報を発信し、見込み顧客へ直接的にアプローチする手法を指します。
ザ・モデル
顧客獲得から顧客維持までのプロセスを体系化した営業プロセスモデルです。
効率的に売上を最大化するために使われるフレームワークです。
デマンドジェネレーション
企業の製品やサービスに対する需要を創出し、見込み顧客を獲得・育成して営業部門に引き渡すためのマーケティング活動全般を指します。
アクイジション
新規顧客を獲得する行為全般の事です。
特に、広告、SEO、SNS、イベント、アウトバウンド営業などを活用し、見込み顧客(リード)を獲得し、購買行動へとつなげる施策が含まれます。
心理学的アプローチに関するWebマーケティング用語
プロスペクト理論
人は利益よりも損失を大きく感じやすいという理論です。
マーケティングでの活用例として「期間限定セール」や「先着〇名様限定」といった手法で、消費者に「今買わないと損する」という心理を働かせることで購買意欲を高めます。
ツァイガルニック効果
一度始めた物事が完了していない場合、続きが気になって意識に残る心理現象です。
Web上のフォームを途中まで入力した状態で離脱したユーザーに「続きはこちら」と案内するリマーケティング手法などに応用できます。
スノップ効果
他者があまり持っていないものに対して、希少性や独自性を求める心理です。
限定販売や会員限定サービスを打ち出すことで、希少価値をアピールする手段として活用されています。
ピークエンドの法則
人間の記憶は体験のピーク(最高潮)と最後(エンド)の印象に大きく左右されるという法則です。
たとえば製品体験やイベント参加の際、最も盛り上がった瞬間と終了直後の印象を良好に保つ工夫がリピート購入を後押しします。
バーナム効果
誰にでも当てはまりそうなあいまいな内容を、「自分のことだ」と感じる心理現象です。
占いの文言などが代表例で、商品キャッチコピーでも汎用的な表現を取り入れると、多くの人が自分事として捉えやすくなります。
ザイオンス効果
単純接触効果とも呼ばれ、繰り返し接触する対象に対して好感度が高まる心理現象です。
定期的なメルマガ配信やSNS投稿など、こまめな接触を行うことでブランドへの親近感を醸成できます。
フレーミング効果
同じ内容でも、提示の仕方(フレーム)によって相手の印象や判断が変わる心理現象です。
たとえば「2割の確率で失敗する」よりも「8割の確率で成功する」と表現したほうが肯定的に受け取られやすいなどが挙げられます。
ハロー効果
目立つ特徴や最初の印象が、他の評価にも大きく影響を与える心理現象です。
専門家の推薦や権威付けを行うPRが当てはまり、顧客が「この人が推奨する商品なら間違いない」と思い込みやすくなります。
ウィンザー効果
第三者からの評価や口コミは、当事者(企業や営業担当)からの説明よりも信頼されやすいという心理現象です。
ユーザーレビューや導入事例の紹介、インフルエンサーとの連携施策などが典型的な活用例です。
バンドワゴン効果
周囲の多数が支持している物事に、自分も同調したくなる心理現象です。
「◯万人が購入」「SNSフォロワー数◯万人」など、多くの人が利用している実績を示すと商品の信頼性が上がります。
マジカルナンバー
記憶や理解に適した数が「4±1」である、または「3」という数字が分かりやすいとされる概念です。
商品特徴を3つのポイントでまとめたり、セールストークを3部構成にしたりするのが典型的な手法といえます。
両面提示の法則
メリットだけでなくデメリットやリスクもあえて伝えることで、発信者の信頼性を高める効果です。
一方的なポジティブ情報のみでは広告感が強まるため、注意点も示したうえで対策を提示すると、読み手の納得度が高まります。
好意の返報性
誰かから好意を受け取ると、自分も何かを返したいと感じる心理現象です。
たとえば無料サンプルや限定コンテンツを提供することで、見込み顧客が自発的に購買や紹介を検討してくれる可能性が高まります。
認知バイアスマーケティング
人間の情報処理や意思決定の際に生じるバイアス(偏り)を理解し、それをマーケティング戦略に取り入れる考え方です。
Webマーケティング用語の理解と活用

本記事では、Webマーケティングの基本用語から最新トレンドや心理学的アプローチに関する用語まで幅広く紹介しました。
マーケティングの世界では、常に新しい概念や手法が生まれ、多くの専門用語が使われます。
しかし、重要なのは単に用語を知ることではなく、意味を理解したうえで目的に合った施策を選ぶことです。
マーケティングの本質は、顧客の行動や心理を深く理解し、それに基づいて最適なアプローチを行うことにあります。
用語の理解を深め、実務に活かすことで、戦略の精度を高め、持続的な成長と成果の最大化を目指しましょう。
投稿者プロフィール

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1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。