アップセル・クロスセルとは?意味や違い事例、注意点を解説

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「なかなか営業目標を達成できないな」「売上をあげるのに顧客単価をあげる方法はないかな」

このようにお悩みではありませんか?

営業目標を達成するのは、簡単ではありませんよね。営業活動の中で、新しいお客様を獲得するのは5倍のコストがかかるといわれておりとても難しいのが実情です。

一方で、既存のお客様に対して顧客単価を高める方法には、アップセル・クロスセルという代表的な手法があり、とても有効だといえます。

そこで今回は、アップセル・クロスセルについて、言葉の意味・それぞれの比較・活用するタイミングや事例、注意点などを解説します。この記事を読むことで、顧客単価を高める方法が理解できるでしょう。

なお、株式会社soraプロジェクトでは営業代行の基礎をまとめた資料「マーケ・営業・IS担当者必見!はじめての営業代行」を無料で配布しています。

それでは早速みていきましょう。

アップセルとは?クロスセルとは?

まずは、アップセルとクロスセルの二つの言葉の意味や手法について確認します。

アップセルの意味は?

アップセルとは、既にお客様がご利用になっている商品・サービスの上位にある商品・サービスを提案する営業手法を指します。

例をあげると、いつも購入しているコーヒーのサイズをMサイズからLサイズにあげたり、無料で使っているクラウドサービスを有料のサブスクにアップグレードしてもらったりといったケースが該当します。

クロスセルの意味は?

クロスセルとは、お客様が購入した商品に対して、オプション製品などの関連するサービスをさらに提案し、購入いただく営業手法を指します。

具体的には、身近な例でいうと、ハンバーガーを購入するお客様にポテトを提案したり、生命保険を契約したいお客様に医療保険を提案したりするなどのケースが考えられます。

アップセルとクロスセルの比較

アップセルとクロスセルは類似した営業手法といえますが、具体的な違いはなにか、改めて整理しておきましょう。

アップセルとクロスセルの違い

アップセルとクロスセルの違いは、採用されている商品に対して、同じ系統の商品に置き換えるか、関連する別の商品を追加するかの違いがあります。

アップセルであれば、上位の商品に置き換えるので、成功した場合は上位商品と既に採用されている商品との差分が追加の売上として獲得できます。

一方のクロスセルの場合は、関連する別の商品をセットで提案するため、提案が成功すれば、関連する商品を売上をそのまま得ることが可能です。

アップセルとクロスセルの使い分け方

それでは、それぞれの営業手法をどのように使い分けるかを整理しましょう。

アップセルは、お客様が現在お使いの商品を、さらに使いたいと感じている場合に活用する営業手法です。具体的には、お客様が既存の商品に満足していて、さらに上位の機能も使いたいと感じている場合は、アップセルは成功しやすいでしょう。

もしくは、お客様がどうしても使わないといけない商品にも関わらず、機能が制限されているせいで生産性があがらない、という問題を抱えている場合にもアップセルが成功しやすいかもしれません。

一方クロスセルは、お客様が現在の商品を気に入っているけれども、関連する別の領域でも課題やニーズなどがある場合に活用しやすい営業手法です。

例えば、採用した商品には満足しているけれども、それだけでは満足できないという場合には、クロスセルの成功率は高まるはずです。もしくは、もっと効果を出すために幅広い領域でツールを使いたいとお客様が感じているとしたら、クロスセルが成功しやすいでしょう。

このように、アップセルは課題の深さに対して活用する営業手法であるのに対して、クロスセルは課題の広さに対して活用される営業手法といえます。

アップセル・クロスセルを活用するタイミング

それでは、いつアップセルやクロスセルを活用すればいいかを確認していきましょう。

アップルを活用するタイミング

アップセルは、既存の商品を継続利用する中で、次の課題や上位商品に対する新たなニーズなどが発生したタイミングで活用します。

例えば、以下のようなシーンが考えられます。

  • よく行くハンバーガー屋さんで、MサイズのポテトをLサイズにする
  • サブスクのシステムを活用していて、より多くのメンバーで利用するためアップグレードする
  • より手厚いサポートがほしいので、上位エディションのライセンスを検討する

このように、ある商品を継続的に採用・利用していて、上位製品で解決できる課題やニーズが発生したタイミングで活用するといいでしょう。

クロスセルを活用するタイミング

クロスセルは、ある商品を採用する時、もしくは継続利用している時に、関連するオプション製品や連携できる別の製品で解決できる別の課題が生まれたタイミングで活用します。

具体的には以下のようなシーンで活用できるでしょう。

  • いつもハンバーガーだけ頼む人に、ポテトとドリンクのセットを提案する
  • 名刺管理ツールを使っていて、顧客情報の活用範囲を広げたいからCRMを検討する
  • 生命保険に入っているが、病気が心配なので医療保険も検討する

このように、課題やニーズが広がったタイミングでクロスセルを活用することで、高い確率で成約されるでしょう。

アップセル・クロスセルの具体的な施策事例

ここまでアップセル・クロスセルの手法を具体的に確認してきましたが、実際にこうした営業手法を成功させている企業も多数あります。それぞれの営業手法における事例を確認しましょう。

アップセル:HubSpot 

HubSpotは、アップセルを成功させている代表的な企業です。HubSpotが提供するサービスには無料版のライセンスがあり、コストをかけずに使うことができるのです。

HubSpotの無料ライセンスはユーザー制限もないため、チームの数が多くてもあまり気にすることなく展開していくことが可能です。

一方、自動でセールスステージを変更する、自動でコミュニケーションの割り当てを行うなど、より効果を発揮する機能を活用したい場合は有料版にする必要があります。

一部のユーザーだけを有料版に切り替えることは基本的にはできないため、より多くのメンバーで活用しているほど、アップセルの効果は高くなるわけです。

さらに、有料版の中にも、Starter・Professional・Enterpriseといったエディションが存在しており、必要な機能が増えるごとに上位のライセンスにアップグレードできます。

このようにHubSpotは、アップセルを軸とした戦略で、より成約率の高い営業の仕組みを作っています。

クロスセル:Salesforce

Salesforceはクロスセルの施策をうまく活用している企業です。

具体的には、SalesforceはCRMという領域の中で、複数部門の連携を促すことで、複数のサービスが採用されるように営業を仕掛けています。

SalesforceのCRMがカバーする主な領域は、Sales・Marketing・Service・BI・ECなど幅広い領域でサービスを展開されていますが、顧客情報はこの全ての部門で必要になります。

そこで、営業とマーケティング、営業とカスタマーサービスと、複数の部門で分断されがちな顧客情報を1つの基盤に集約することを売りにして、クロスセルをしかけるわけです。

Salesforceの提唱するCustomer360°という、顧客を全部門で一体となってサポートするような概念は、このクロスセル施策の象徴ともいえるでしょう。

アップセル・クロスセル:Amazon

今では多くの方が利用しているECサイト「Amazon」も、アップセルの施策を巧みに取り入れて売上を伸ばしている企業です。

Amazonで購入したい商品ページに行き、下までスクロールすると「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」という商品リストが現れます。

例えば、現在選択している商品よりも、容量の大きい製品や同じシリーズで機能の多い製品が表示され、アップセルを促す仕組みができているのです。

Amazonがページの最下層にアップセルの情報を載せている理由は、該当の商品を購入したいと考えているが、何かしらの不満・不足がある方に対して情報をみせるためです。

というのも、選択した商品に迷っている方は、商品の情報をしっかり確認しようとして、最後までスクロールする可能性が高まるという傾向があるからです。

反対に既に商品の購入を決めている人には、クロスセルができるよう、商品ページの上の方に「よく一緒に購入されている商品」のリストを見せています。

このようにAmazonは、アップセルの施策とクロスセルの施策を織り交ぜて売上の最大化を図っているのです。

アップセル・クロスセルを行う際の注意点

アップセル・クロスセルの手法を行ううえでは、注意点もあります。お客様に十分な配慮をした上で実行しなければ、逆効果になることすらあるでしょう。

そこで、ここからは具体的な注意点を確認していきます。

顧客ロイヤリティを考慮する

一つ目の注意点は、顧客ロイヤリティについてです。

アップセル・クロスセル共に、大前提として顧客が自社の商品・サービスを気に入っている・もしくは使い続ける必要性がある場合に成立するのです。

万が一、相手が自社商品に不満を感じている場合には、アップセルやクロスセルを実施する前に、現状のフォローをする必要があります。

もし、自社商品への不満に気づかずにアップセル・クロスセルを実施してしまえば、押し売りだと感じられてしまい、他社に乗り換えられてしまう可能性もあるので注意しましょう。

顧客にとっての投資対効果を考える

顧客にとって、上位の商品・サービスを活用したり、関連するものをセットで購入したりする場合に、本当にお客様にとって投資対効果やメリットがあるかを理解しておきましょう。

もし、現在の商品に満足していたとしても、今の機能で十分満足していて、上位の機能は全く使い道がない場合や、関連商品は不要というケースも当然あります。

それにも関わらず、アップセルやクロスセルを仕掛けてしまうと、お客様は自社に対する不信感をもち、それ以上の取引が望めなくなってしまいます。

たとえ満足されているからといって、必ずしもアップセル・クロスセルを狙うのが正解ではないことを心に留めておきましょう。

まとめ:自社の営業活動でお困りなら、soraプロジェクトへご相談ください

今回は、アップセル・クロスセルの営業手法について、言葉の意味・比較・使い方から具体的な事例や注意点まで確認をしてきました。

アップセル・クロスセルは自社の商品を気に入ってもらえている場合に効果的な手法であり、既存顧客に対しては成果を出しやすいでしょう。

一方、全ての既存顧客に通用するわけではないので、自社に対するロイヤリティなどを十分配慮する必要があります。

そのため、既存顧客が難しい場合には、無理に追加の営業をかけずに新規顧客の開拓を目指しましょう。

もし新規顧客の開拓に課題をお抱えの場合には、soraプロジェクトのインサイドセールス代行サービスが有効です。

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投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。