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顧客の要望をいち早く正確に理解することは、ビジネスにおいて必要不可欠です。
しかし、ニーズの実態像を正しく理解するのは容易なことではありません。
多くの場合、顧客が抱えている不満は実態が曖昧で、ニーズの核心がどこにあるのかは言語化されないからです。
だからこそ、企業は顧客の要望を多角的に分析し、ニーズの核心を探らなくてはなりません。
この記事では顧客ニーズを分析する中で重要になるアンメットニーズについて、言葉の意味やマーケティング戦略とのつながりなどを解説します。
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アンメットニーズとは?

アンメットニーズとは、顧客の要望の中で十分に満たされていないものを指す言葉です。
アンメットとは不充分を意味する英単語unmetから来ており、顧客の持つ「〇〇がしたいのにできない」や「〇〇が不便、足りない」など、現状に不満はあるが解決する手段が存在しないものや状態をアンメットニーズとよびます。
アンメットニーズは満たされていないニーズ全般を指す全体的な概念であるため、具体的に分析する際には「顕在ニーズ」「潜在ニーズ」「未充足ニーズ」などに細分化して検討することが多いです。
- 顕在ニーズ
- 顧客が明確に認識しているが、何らかの事情で解決されていないニーズのこと
- 潜在ニーズ
- 顧客がまだ気付いていないが、潜在的には存在するニーズのこと
- 未充足ニーズ
- 多くの場合、アンメットニーズの中で潜在ニーズとなっているもののこと
- つまり、顧客は漠然とした不満を抱えているが、不満の正体がわかっていない状態
中でも未充足ニーズは特にビジネスの鉱脈となるようなアイデアやイノベーションの発見につながりやすく、重要視されやすいアンメットニーズといえます。
アンメットニーズが注目されるようになった背景

AIを使った新たなアンメットニーズ発掘手法の出現によって、これまでは考えもしなかった新たなブルーオーシャンやビジネスチャンスが発見されるかもしれない。
それこそが、今アンメットニーズが注目されている理由です。
企業は顧客のアンメットニーズを明確化し、自社の持つ解決手段と結びつけることで、ビジネスチャンスを見出すことが求められます。
ですが「何が満たされていないのか」の言語化には、顧客からの率直な意見(VoC)を大量に集めて分析する必要があり、多くのコストが必要です。
その上、発見したニーズが掛けたコストに見合うかどうかも確約されていません。
そのため従来のニーズ分析では発掘する範囲や手法に限界がありました。
しかし近年、生成AIのビジネス活用が大きく発展する中、マーケティング戦略自体に大きな変化が生まれています。
今や生成AIやチャットボットを活用することで、短期間に大量のVoCを集め、AIが自動で整理、分析してくれるようになりました。
これは端的に言えば、AIの自動化を使った物量でニーズの発掘範囲を広げられるようになったといえます。
コスト的に難しかった「分析する物量を増やすことで新たなニーズを発掘する」という手法がAIによって実現できるようになった今、どのようなアンメットニーズが市場を盛り上げるのかに注目が集まっています。
アンメットニーズの重要性

アンメットニーズを意識できるかどうかは、企業のビジネス戦略全体に大きく関わってきます。
ここでは、市場機会、顧客満足度、イノベーションの3つの観点から、アンメットニーズの重要性を紹介します。
市場機会の創出につながる
いち早くアンメットニーズを見つけることで、競合他社が参入していない市場を新たに作り出すことができます。
例えば、ニッチな分野で新しい製品やサービスを展開できれば、これまでにない新たな顧客を開拓することにつながります。
また、自社の強み(いわゆるコア・コンピタンス)とアンメットニーズをつなげられれば、市場に強い影響力を持つことも期待できます。
アンメットニーズを発見し、いち早く新しい提案を行うことで、市場で独自のポジションを築くことが可能です。
顧客満足度の向上が期待できる
顧客の気がついていない不満をうまく解消することで、顧客満足度が向上し自社のリピーターを増やすことにつながります。
顧客は「この企業は自分のニーズを的確に理解してくれる、応えてくれる」と思えたとき、その企業の”ファン”となってくれます。
さらに、ファンとなった顧客を通じて口コミが広がり、新たな顧客や市場の開拓につながります。
イノベーションの促進に貢献する
既存の枠にとらわれない価値観や視点が得られることも、アンメットニーズ発掘の重要なメリットです。
「Necessity is the mother of invention.(必要は発明の母)」
とは、西洋のことわざです。
新たなイノベーションを起こす動機は、不便や不満から生まれます。
既存のアイデアでは対応できない課題にチャレンジすることで、多くの技術革新が成し遂げられてきました。
アンメットニーズの発掘に取り組むことで、チャレンジするための動機そのものが生み出されることになり、自社のイノベーションを積極的に育む切っ掛けを作り出すことができます。
資料「マーケティング支援サービス資料」を無料ダウンロードアンメットニーズの種類

アンメットニーズには、顧客が明確に問題を認識している顕在ニーズ(明示的なニーズ)と、顧客自身も気がついていない潜在ニーズ(隠されたニーズ)が存在します。
ニーズの種類はその観点に合わせてさまざまな細分化が可能ですが、ここでは顕在ニーズと潜在ニーズについていくつかの事例を紹介します。
顕在ニーズ/明示的なニーズ
顕在ニーズ、すなわち「顧客が明示的にニーズを認識し不満を口にしているが、何らかの理由で不充分なままであるニーズ」には、以下のような種類があります。
ニーズの種類 | 概要 | アンメットニーズに対する具体例 |
供給未充足 | 供給自体が不足しているため、商品を手に入れられない状況 | 任天堂Switchはコロナ禍の混乱が響き品薄となり、初期のセールスタイミングを失ったことを踏まえ、次世代の新型ゲーム機の販売計画では対策ができないか検討している |
性能未充足 | 既存の製品やサービスの品質や性能が顧客の期待に届いていない状況 | SNSの流行に合わせて個人用のアクションカメラの需要が高まった際に、個人撮影でもダイナミックな映像が撮れることで人気に火がついたGoPro |
コスト未充足 | 顧客の求める値段感覚に比べて明らかに高コストの製品しか存在しない状況 | スマートフォン黎明期に、小規模商店でも低コストで気軽にEコマースができるように作られたShopify |
アクセス制限 | 地理的要因や権限格差によってサービスを受けられない人がいる状況 | 僻地の山村などで、基地局が近くにないためWebサービスが使えない問題を解決した衛星インターネットアクセスサービス |
動的ニーズ | 何らかの事情で市場が急激に変化したが、企業の対応が変化に追いついていない状況 | コロナ禍で非接触による感染対策が重視されるようになった際に活躍した、非接触式エレベーターボタン「エアータップ」 |
潜在ニーズ/隠れたニーズ
潜在ニーズ、すなわち「顧客自身が認識していない、あるいは不満をいだいているものの何が問題なのかは曖昧なままである隠れたニーズ」には以下のような種類があります。
ニーズの種類 | 概要 | アンメットニーズに対する具体例 |
認識不足 | 顧客自身も何を求めているか、何が問題なのかを気がついていない状況 | 自身の生活習慣に無頓着な顧客層に、新たなヘルスケア市場を切り開いたスマートウォッチ |
情報不足/未発見 | ターゲット層へのアピール不足で、顧客がそもそも商品の存在や価値に気がついていない状況 | 金融市場に興味が薄かった若い世代をターゲットに、気軽な投資市場を拡大したフィンテックモバイルアプリ |
技術不足 | 既存の技術では不可能とされていたため、誰も要望が満たされると思っていない状況 | 過疎地域と都市部の間の医療格差を埋める手段として期待されている遠隔医療技術やオンライン診療システム |
市場未開拓 | 市場や業界がニッチなため、要望の分析自体が十分に検討されていない状況 | 高級トースターというこれまでになかった市場を切り開いたバルミューダトースター |
動的ニーズ | 顧客や市場の変化に伴い、水面下でこれまでの常識では考えられない新たな需要が発生しているが、誰もが気がつかずに我慢している状況 | コロナ禍の外出自粛が叫ばれる中で、自宅にいながら旅行体験という新たなビジネスニーズを生み出したHISのオンライン海外旅行 |
アンメットニーズを発掘する方法

市場のあらゆる場面にアンメットニーズは隠れています。
しかし、多くの場合顧客は具体的な不満を言語化できないため、ニーズを明確化するためには多角的な情報収集と分析が欠かせません。
この記事では、アンメットニーズの代表的な発掘方法を3つ紹介します。
顧客へのインタビューとフィードバックの分析
アンメットニーズの発掘では、まずアンケートやインタビューを通じて、直接顧客からの声を収集し、分析を行います。
異なる立場の顧客から現行の製品やサービスに対する不満や要望を聞き出すことで、ニーズを多角的に把握することが可能です。
また、近年では、NLP(自然言語処理)を活用した分析AIによって、SNSに投稿された顧客の声を自動解析する手法も普及しています。
カスタマージャーニーマップの活用
カスタマージャーニーマップとは、顧客がサービスを利用するまでに至る道程を図式化したものです。
顧客のタッチポイントや購入体験、その際の感情の変化などを整理し、顧客が製品とどのように関わっているかを深く理解することで、顧客視点からアンメットニーズを探ることが可能です。
AI生成コンテンツを用いたプロトタイプテスト
生成AIを使って架空の製品イメージや広告を顧客に伝え、顧客の反応をAIに分析させることでアンメットニーズを見つけることができます。
近年、AIによる自動生成コンテンツのクオリティが飛躍的に向上したため、アイデアを素早くプロトタイプやMVPに落とし込めるようになりました。
この手法はニーズの発見だけでなく、サービスのコンセプトテストなどにも活用されています。
まとめ:市場のアンメットニーズをいち早くつかみ取ろう

アンメットニーズは、顧客が現状に十分に満足していないニーズの総称です。
アンメットニーズを探ることで、新たなビジネスチャンスやイノベーションの種を見つけ出すことができます。
近年では生成AIのビジネス活用が活発化し、新たなニーズ発掘の手法が登場しています。
市場の中に埋もれている新たなアンメットニーズを発掘できれば、企業競争力を上げるが可能です。
株式会社soraプロジェクトでは、インサイドセールス代行やマーケティング支援など、顧客のニーズをつかみ営業につなげるためのお手伝いをしています。
また、マーケティング戦略に関する有益な情報を無料で提供していますので、気になる方はぜひ資料をご請求ください。
投稿者プロフィール

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1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。
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