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電話営業は、企業にとって重要な営業手法の一つですが、その過程で法令違反が発生するリスクも存在します。
不適切な営業行為が企業に及ぼす影響は計り知れず、イメージの低下や法的制裁を受ける可能性が懸念されます。
顧客からの通報によって業務が制限される可能性も念頭に置かなければなりません。
本記事では、電話営業を行う際の法律違反の具体例や、営業活動における法的リスクについて深く掘り下げます。
電話営業における法令遵守とリスク回避のための具体的な対策について知り、日頃のビジネス活動に役立てましょう。
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電話営業で法律違反をする場合とは

電話営業で法律違反をする場合とは主に、商品やサービスについて虚偽や誇大な説明をする、契約を迫るために威圧的な態度をとるなどの違法行為を指します。
電話営業は多くの企業が利用する営業手法ですが、法律に違反する行為を行うと、事業者への行政処分や、消費者からの損害賠償請求といったリスクが生じます。
電話営業における特定商取引法の適用

訪問販売や通信販売など、事業者側から営業をかける行為には特定商取引法が適用されます。
電話営業も同様に、特定商取引法の対象となります。
特定商取引法では、電話営業は「電話勧誘販売」と呼ばれています。
以下は特定商取引法からの引用です。
「電話勧誘販売」とは、販売業者または役務提供事業者が、消費者に電話をかけ、または特定の方法により電話をかけさせ、その電話において行う勧誘によって、消費者からの売買契約または役務提供契約の申込みを「郵便等」により受け、または契約を締結して行う商品、権利の販売または役務の提供のことをいいます。
特定商取引法
法律用語が使われていますが、簡単に言えば、「電話勧誘販売」とは事業者が顧客に電話をかけて商品を売り込み、電話・メール・FAXなどの通信手段で購入を申し込む販売手法のことです。
電話営業は手軽に始められ、新規顧客を獲得できる効果的なビジネス戦略です。
消費者にとっても、本当に価値のあるものを適正な価格で購入できれば良いものですが、強引な営業により、納得いかないまま半ば無理やり契約させられるケースも少なくありません。
そのため、消費者保護の観点から、電話営業にも特定商取引法が適用されているのです。
電話営業で法律違反をした企業への行政規制

電話営業で違法行為を行うと、下記の3つの行政規制を受けることになります。
- 業務改善指示(法第22条)
- 業務停止命令(法第23条)
- 業務禁止命令(法第23条の2)
また、行為が悪質かつ深刻だと判断された場合は、罰金や懲役などの刑事罰を受ける可能性もあります。
以下では、それぞれの規制について詳しく解説します。
特定商取引法における措置命令
特定商取引法では、事業者が法に違反する行為を行った場合、消費者庁などの行政機関がその行為の是正を命じる「措置命令」を発出できます。
この措置命令の中に、具体的な改善方法を指示する内容が含まれる場合があり、これが一般的に「業務改善指示」と呼ばれています。
処分を受けた企業は、業務改善計画を提出し、その進捗状況を報告する義務があります。
自主的な改善が見られない場合や、特に悪質と判断された場合は、業務停止命令や業務禁止命令などのより厳しい処分が下される可能性があります。
参照:消費者庁ウェブサイト / e-Gov 法令検索
特定商取引法第23条による業務停止命令
特定商取引法第23条は、訪問販売など特定の取引形態における事業者の行為を規制し、消費者保護を目的とした法律です。
この条項に基づいて、事業者が法に違反した場合、行政機関は業務の全部または一部の停止を命じる「業務停止命令」を発出することができます。
業務停止命令とは、業務改善指示で指摘された問題点の改善に専念させる必要がある場合や、明らかに悪質だと判断された場合に下される処分です。
参照:消費者庁ウェブサイト / e-Gov 法令検索
特定商取引法第23条の2による業務禁止命令
「特定商取引法第23条の2」は、特定商取引法の中でも特に悪質な行為を行った事業者に対して、より厳しい処分を科すための規定です。
この条項に基づいて、行政機関は事業者の業務を全面的に禁止する「業務禁止命令」を発出することができます。
業務禁止命令が下されるケースは下記の通りです。
- 同じような法違反を何度も繰り返している
- 消費者を欺いたり、脅迫したりするなど、悪質な勧誘行為をしている
- 消費者に多額の損害を与えている
業務禁止命令を受けると、事業者はその命令に違反した場合には罰則が科せられるだけでなく、社会的信用を失い、今後の事業活動が困難になる可能性があります。
参照:消費者庁ウェブサイト / e-Gov 法令検索
電話営業で法律違反をした企業への影響

電話営業で法律違反をした企業への影響として、下記が懸念されます。
- 消費者からの損害賠償請求
- 罰金刑が科される可能性
- 社会的な信用失墜
先に挙げたような行政処分だけではなく、さまざまなリスクが伴います。
倫理的な営業活動を行うために、以下の内容を確認しましょう。
消費者からの損害賠償請求
虚偽の説明や不当な勧誘によって契約を結ばされた消費者から、損害賠償を求められる可能性があります。
消費者は法的な保護を受ける権利があります。
このような状況下で締結された契約は、消費者契約法などの関連法規に基づいて無効となる可能性があり、被害を受けた消費者は事業者に対して損害賠償を請求することができます。
事業者側は、このような不適切な営業手法によって生じた損害に対して法的責任を負う可能性が高いため、十分な注意が必要です。
裁判に発展した場合、企業は多額の賠償金を支払わなければならないリスクがあります。
罰金刑が科される可能性
電話営業で法律違反を行った場合、個人と法人それぞれに、以下の罰金刑が科される可能性があります。
個人には3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科され、虚偽や誇大な広告、不当な勧誘、契約の強要など、特定商取引法に違反した場合に科せられる可能性があります。
法人には3億円以下の罰金が科され、従業員の違法行為を放置したり、組織的に違法行為を行ったりした場合に科せられます。
法人に対する罰金は、個人に対する罰金に比べて高額であり、企業の経営に大きな打撃を与える可能性があります。
社会的な信用失墜
法律違反の事実が公になると、企業の社会的信用は大きく損なわれます。
メディアに取り上げられることで企業のイメージが悪化し、従業員のモチベーション低下にもつながる恐れがあります。
顧客からの信頼を失い、新規顧客の獲得が難しくなるだけではありません。
法律違反が原因で、取引先との関係が悪化し、取引が中止になることも懸念されます。
また、上場企業の場合は株価の下落を招き、企業価値が減少します。
法律違反に関わった役員や従業員が刑事責任や民事責任を問われると、企業そのものの存続を危うくする可能性もあるため、十分に注意することが必要です。
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電話営業の法律違反の具体例は下記のとおりです。
違法行為になる5例は以下の通りです。
- 違法行為1:事業者名を名乗らない
- 違法行為2:一度断られた相手に再び電話勧誘をする
- 違法行為3:事実と異なる説明を行う
- 違法行為4:威圧的な態度で消費者を脅やかす
- 違法行為5:契約の申し込み後に書面を交付しない
もし、知らずに電話営業をして違法行為に当てはまった場合は、「知らなかった」では済まされません。
以下の内容を把握しておきましょう。
違法行為1:事業者名を名乗らない
電話営業における違法行為の一例は、事業者名を名乗らないことです。
事業者は、電話営業で勧誘を始める前に、下記の項目を消費者に伝えなければなりません。
- 販売業者または役務提供事業者の氏名や名称
- 電話勧誘を行う者の氏名
- 電話の目的が売買契約または役務提供契約の締結についての勧誘である旨
これらを伝え忘れると、特定商取引法第16条に違反となるため注意しましょう。
また、電話営業の際は最低限のマナーとして、自分の身元と勧誘の目的を伝えましょう。
これにより、法律違反を避けるだけでなく、相手に安心感を与えられます。
違法行為2:一度断られた相手に再び電話勧誘をする
電話営業における違法行為の2例目は、一度断られた相手へ再び電話勧誘することです。
電話営業では、売買契約をしないと意思表示した相手へさらに勧誘を行ったり、改めて電話営業することが禁止されています。
相手が拒否しているにもかかわらず、強引な勧誘を続けることは違法行為に該当します。
しつこい電話営業を避け、法的処罰の対象とならないよう注意しましょう。
違法行為3:事実と異なる説明を行う
電話営業における違法行為の3例目は、事実と異なる説明を行うことです。
当然のことですが、電話営業でも事実と異なる説明を行えば、違法行為となります。
例えば、「商品・サービスの種類、品質、価格」や「商品・サービスの提供時期、引き渡し時期」などについて虚偽の説明をすることが該当します。
また、事業者名や氏名を偽ることも違法行為です。
電話営業の際には、事実と異なる説明を避け、法令を遵守することが重要です。
違法行為4:威圧的な態度で消費者を脅やかす
電話営業における違法行為の4例目は、威圧的な態度で消費者を脅すことです。
威迫や脅迫によって消費者を脅かす行為は、法律で禁止されています。
直接的な恫喝や恐喝はもちろん、間接的や遠回しな表現でも、相手に恐怖心を与えるような言動は違法行為に該当します。
たとえ強引な方法で契約を取り付けたとしても、企業の評判は下がり、結果として売上の減少につながります。
威圧的な態度や相手に恐怖心を与えるような言動は避け、法令を遵守した営業活動を心がけましょう。
違法行為5:契約の申し込み後に書面を交付しない
電話営業における違法行為の5例目は、契約の申し込み後に書面を交付しないことです。
電話営業は成約を得て終わりではありません。
成約後、顧客に対して必要事項を記載した書面を交付する必要があります。
注意点として、主務省令が定める事項を一切の間違いや漏れなく記載した書面を、顧客へ交付しなければなりません。
また、書面を交付しても、記載事項に不備があれば交付していないと見なされるため、細心の注意を払いましょう。
ただし、事業者が代金受け取り後に遅滞なく商品を引き渡せる場合は、書面の交付は不要です。
自社の電話営業で書面が必要か否かを事前に確認し、違法行為を避けるよう注意しましょう。
電話営業で通報を受けた際の対処法

電話営業で通報を受けた際の対処法は、下記の通りです。
- 通報内容の確認
- 関係部署への報告
- 顧客対応と改善策の説明
- 行政機関への対応
状況によって異なりますが、一般的に以下の点に注意して対応することが重要です。
1. 通報内容の確認
まずは通報内容の詳細な確認を行い、問題とされている行為の具体的な内容を正確に把握しましょう。
通報者の主張を注意深く聞き、状況を十分に理解することが重要です。
通報者の名前や連絡先、通報日時などの基本情報を正確に記録しておくと、後の対応や問題解決に大いに役立ちます。
また、通報の経緯や具体的な苦情内容についても、できるだけ詳細に文書化しておくことをおすすめします。
2. 関係部署への報告
法務部や営業部など、関係部署に速やかに報告しましょう。
早期に対応することで、事態の悪化を防止できます。
法律的な問題に発展する可能性がある場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
法律専門家のアドバイスを受けて、適切な対応を取ることが重要です。
また、企業で設けている電話営業に関する規定やマニュアルがあれば、内容を照らし合わせて問題がなかったかを確認しましょう。
3. 顧客対応と改善策の説明
通報を受けた顧客に対しては、誠意を持って丁寧に対応しましょう。
まず謝罪し、その後に具体的な再発防止策を説明することが重要です。
そのために問題となった行為の原因を究明し、再発防止策を講じましょう。
具体的には、従業員への教育強化、営業スクリプトの見直し、顧客情報の管理体制の強化などが挙げられます。
できるだけ迅速に、かつ顧客の立場に立って対応することを心がけましょう。
4. 行政機関への対応
電話営業で通報された場合、行政機関による調査が入ることがあります。
行政機関からの問い合わせや調査要請には迅速かつ丁寧に応じましょう。
調査に際しては、誠実に対応し、事実関係を明確かつ詳細に説明することが重要です。
必要に応じて関連する文書や記録を提示し、透明性を確保しながら協力的な姿勢を示すことで、問題の早期解決につながる可能性が高まります。
電話営業で通報を受けた際の注意点

電話営業で通報を受けた際の注意点は、下記の通りです。
- 安易な対応は避ける
- 通報内容や対応記録などの証拠を残す
以下の点に留意し、適切な対応を行いましょう。
安易な対応は避ける
通報を受けた際、即座に謝罪や責任の認定を行うことは避けましょう。
状況によっては、法的責任を追及される可能性があるため、慎重な対応が求められます。
まずは、通報の内容を冷静に聞き取り、社内で適切な対応方針を検討することが重要です。
通報内容や対応記録などの証拠を残す
通報内容や対応記録などを詳細に残しておくことが重要です。
通報の日時、内容、対応した担当者、取った措置などを正確に記録し、必要に応じて関係部署と共有できるようにしておきましょう。
これらの記録は、今後の対応や法的問題が生じた際の重要な資料となります。
電話営業で法律違反をしないための対策

電話営業で法律違反をしないための対策は、下記の通りです。
- 営業活動のガイドラインを定める
- 電話営業に関する法律を理解する
法的リスクを最小限に抑えつつ、効果的な電話営業を行いましょう。
営業活動のガイドラインを定める
電話営業で注意すべき点を明らかにし、営業活動のガイドラインを定めましょう。
禁止行為、対応フロー、トラブル時の対応などを明記し、従業員全員に周知徹底させることが大切です。
以下に一例を示します。
ガイドラインの例 | 内容 |
---|---|
断られた顧客への再勧誘はしない | 顧客が契約を希望しないと伝えた場合は、再勧誘を控える。 |
虚偽や誇大広告をしない | 商品やサービスについて、事実と異なる情報を提供しない。 |
高圧的な勧誘をしない | 顧客に圧力をかけたり、脅迫したりするような勧誘は禁止。 |
不当な勧誘 | 夜間や早朝など、顧客の迷惑になる時間帯の電話は避ける。 |
これらの要点を踏まえた包括的なガイドラインを作成し、営業チーム全体に共有しましょう。
電話営業に関する法律を理解する
電話営業に関連する法律を十分に理解し、把握しておくことが不可欠です。
前述の特定商取引法は電話営業に直接関わる重要な法律ですが、それだけではありません。
個人情報の適切な取り扱いを定めた個人情報保護法も、電話番号や契約者名など個人情報を得る電話営業においては重要です。
その他に、不正競争防止法、消費者契約法など、関連する法規についても理解を深めましょう。
法令遵守に関する社内体制を整える
営業部門に限らず、法令遵守に関する社内体制を整えることが大切です。
具体例の一つとして、法改正や新たな問題に対応するための、定期的に従業員への教育研修があげられます。
ロールプレイングなど、実践的な研修を取り入れることも効果的です。
また、法令遵守を監視・指導するコンプライアンス委員会を設置するのも有効な手段です。
適切な社内監査を行い、定期的に状況を確認しましょう。
電話営業とクーリングオフ制度

電話営業にもクーリングオフ制度が適用されます。
クーリングオフとは、消費者を守るための法制度で、一定期間内であれば無条件で申し込みや契約を撤回できる権利です。
訪問販売でのクーリングオフ制度適用は広く知られていますが、電話営業にも適用されることはあまり認識されていません。
しかし、「強引な電話営業で納得いかないまま契約してしまった」というケースが多いため、電話営業もクーリングオフ制度の対象となっています。
電話営業を行う際は、クーリングオフについて明確に説明することが重要です。
電話営業ではルールを守って法律違反を回避しよう

電話営業では、最低限のルールを守らないと違法行為となる可能性があります。
違法行為を行った場合、「業務改善指示」「業務停止命令」「業務禁止命令」などの行政処分が下される可能性があります。
さらに、個人には3年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人には3億円以下の罰金刑が科される可能性もあります。
本記事でご紹介した電話営業の方法に注意を払い、最低限のルールを守れば、違法行為となるリスクの回避につながります。
これらの点に留意しながら、効果的な電話営業を行ってビジネスの成長につなげましょう。
株式会社soraプロジェクトは、法人営業専門の営業代行サービスを提供しています。
10年以上の実績と独自の法人リストを活かし、高品質なリード獲得とアポイント獲得の支援が可能です。
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投稿者プロフィール

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1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。