ターゲティングとは?マーケティング戦略で押さえておきたいポイント

この記事を読むのに要する時間:約 < 1

ブランディングやマーケティングにおける重要な要素の1つに、ターゲティングがあります。自社商品の特性やニーズにあった顧客層にセールスを拡大したいと考えている場合、ターゲティングを徹底しないことには事業の成功は難しいでしょう。

ここでは、ターゲティングとは何なのか、マーケティング戦略を練るにあたり押さえておきたいポイントなどについてご説明します。

ターゲティングとは

ターゲティングとはマーケットセグメンテーション(市場細分化)を行った上で、ターゲットを絞り込んでマーケティング戦略を立てることを指します。

マーケティングセグメンテーションとは、顧客を性別や年齢層、趣味・嗜好などさまざまな属性に分類し、市場を限定していく作業のことです。自社の性質や商品の特色、市場規模などを考えてどのようなセグメント(顧客層)がニーズに合っているのかを導き出すことで、効率的で無駄のないマーケティング活動につながります。

しかし、ただ市場を分析し顧客層を絞り込むことだけがターゲティングではありません。ターゲティングの本質的な目的は、消費者とブランド両者の利益を最大化させることであり、どのセグメントに商品を必要としてもらいたいのかを明確にすることです。

マーケティングにおけるターゲティングの重要性

ターゲティングは営業、販促、集客、広告などあらゆるビジネスのスタートポイントです。商品が売れる可能性のある顧客層にアプローチできなければ、利益につながることは期待できないため、ターゲティングが誤っていればそこから派生するすべてのビジネス・戦略も失敗することになります。

すべてのマーケティング活動を成功させるためには、ターゲティングを正しく入念に行うことが大事です。

インサイドセールス代行で営業課題の解決ならこちら

マーケティングの流れ:STP分析

マーケティング戦略の大きな流れを表す言葉に、STPというものがあります。次の3段階の頭文字をとった言葉です。

1.セグメンテーション(Segmentation)

上述したマーケットセグメンテーション(市場細分化)のことで、ターゲットを絞り込むために市場や消費者を年齢や性別、生活スタイルなどによってセグメントに分類する作業を指します。

セグメンテーションを行わない場合、商品はあらゆる人のニーズに合った性質を目指すことになり、至って平均的で個性のないものに近づきます。セグメンテーションを行うことで適切な市場に対してアプローチができるため、効率的に成果を上げることが可能です。

セグメンテーションはマーケティング戦略を立てる際の土台となります。土台をうまく固められなければその上に建てる家も崩れやすくなるのと同じで、セグメンテーションで手を抜いてしまうとその後のマーケティング活動がうまく機能しなくなるのです。

その後につながるターゲティングを成功させるためには、何よりもまずセグメンテーションを適切に行うことが重要となります。

2.ターゲティング(Targeting)

冒頭でご説明したターゲティングのことで、セグメンテーションで分類したいくつものセグメントのうち、どのセグメントをターゲットとするかを決める作業のことです。決して有限ではない資金や時間、人材などを最も有効に使い、消費者とブランド両者の利益を最大化させるためには、特定のセグメントに対して集中的にマーケティング戦略を練る必要があります。

まずセグメンテーションで消費者を分類し、次にターゲティングで消費者を選ぶという流れになります。

3.ポジショニング(Positioning)

ポジショニングとは、ターゲットにとってそのブランドならではの魅力・役割を作り上げることです。ただしポジショニングとは競合他社との差別化を図ることでもなく、他社よりも優れた状態に立つことでもありません。

大事なのは、ブランドのターゲットにとって独自の存在となることで、そもそも他社とは比較すらされないようにすることです。ポジショニングを正しく行うことで競争に勝つのではなく、競争しないで勝つことができる状態を作り上げられます。

ターゲティングのフレームワーク|6R

6Rとは

ターゲティングを行うに際し、6Rと呼ばれるフレームワークを意識することが重要になります。6RとはRealistic scale(有効な規模)、Rate of growth(成長率)、Rival(競合)、Rank(優先順位) 、Reach(到達可能性)、Response(測定可能性)の6つを指す言葉です。

ターゲティングでは感覚的にセグメントを選ぶのではなく、自社の経営状況や資金、さまざまな制約などを踏まえて総合的に判断することが求められます。その判断材料となるのが6Rなのです。

1.有効な市場規模(Realistic Scale)

当然のことですが、まず考えるべきは自社商品が売れる見込みのある市場規模であるかどうかです。ここでいう商品が売れるとは、単に成約が見込めるということではなく、ビジネスとして成り立つということになります。

市場規模が小さければ、多少は売れても数年後には立ち行かなくなる可能性もありますし、コストや人件費などを考えるとマイナスになるかもしれません。市場規模は大きければ大きいほど魅力的だと考えがちですが、大きすぎる市場は競合他社も多いというデメリットもあります。

そのため、最低限の顧客を確保できる規模のセグメントを選ぶことがまずは重要なのです。

2.成長性(Rate of Growth)

市場の成長性を見据えて参入することは、長くビジネスを続ける上でカギになります。市場が成長段階にある場合、売上が伸びていくことも期待できますし、技術の進化に伴って新たな需要が生まれることもあります。

反対に、すでに成長しきっている市場では今後衰退していくばかりだと推測できるため、避けるべきです。できるだけ将来的な成長性を持っている市場を選びましょう。

3.波及効果(Ripple Effect)

波及効果とは、商品が売れた際に見込める周囲への影響力のことです。例えば、SNSに掲載されやすく、メディアにも取り上げられやすい市場であればいくつか商品が売れただけで自然と宣伝にもつながり、どんどんと人気に火がつくことが期待できます。どのような消費者が商品を購入し、口コミで広げてくれそうかを考えてみましょう。

いわゆるインフルエンサーが取り上げてくれそうな市場を選ぶことも、波及効果を考慮した場合には効果的です。

4.到達可能性(Reach)

地理的な理由などで商品・サービスの購入が難しいセグメントはターゲティングの対象から外します。そもそもマーケティング活動が不可能なため、いくら競合が少なくて成長性があったとしてもビジネスとして成立させるのは厳しいでしょう。

例えば、マッサージ店を経営するとしたら、遠方にいる人を対象にマーケティング活動を行っても仕方がありません。商品・サービスが到達する可能性を考慮する必要があるのです。

5.競合状況(Rival)

市場は、基本的にはライバルがいないブルーオーシャンであることが理想です。未開拓の市場であれば、他社との差別化などを気にすることなく参入でき、大きなシェアを獲得することにもなります。自社が参入したことで市場が拡大した場合、自社がパイオニアとしての地位を確立できていることで優位に立つことも考えられるでしょう。

6.測定可能性(Response)

実際に起こしたアクションに対して、どれだけ効果があったのか測定して具体的に数値化できることがベターです。広告を出したことによってどれだけの人が自社サイトを訪れたのか、商品・サービスの満足度は高いのかなどについて調査できればその後のマーケティング活動にもフィードバックできます。

継続的な見込み顧客発掘、育成コスト0のインサイドセールス代行

営業活動におけるターゲティングの役割

営業活動の最大の目的は売上をアップさせることです。そのためには顧客の拡大がネックになってきます。ターゲティングは、営業活動において顧客拡大につながる重要なプロセスです。

新規顧客拡大

新規顧客を獲得できれば売上アップに直接つながります。このとき、ターゲティングが適切にできていれば、確実に成約につながりそうな顧客に営業を行うことができ、無駄な労力を使わずに最大の効果を上げることができるのです。逆に、ターゲティングを適切に行わなかった場合、ニーズがない層に営業してしまうなど無駄な工数を増やしてしまいます。効率良く新規顧客を獲得するには、ターゲティングが非常に重要なのです。

既存顧客拡大

既存顧客に対しては、客単価を上げることが売上アップにつながる営業活動です。

単価を上げるには、既存顧客が利用している競合他社の商品・サービスを自社製品に乗り換えさせる、または従来のサービスをアップグレードさせるなどの方法が考えられます。これらを実現するには、ヒアリングによって顧客が抱えている課題や問題点を知ることが大事です。ターゲティングを適切に行っておくことで、どの顧客にヒアリングをすれば良いのか明確になるため、やはり無駄な営業工数を抑えることができます。

売上にこだわる平均アポ率4.6%のインサイドセールス代行

ターゲットが明確になった後にすべきこと

ターゲットへのアプローチ方法を決める

ターゲティングを行い、ターゲットが明確になればどのようにアプローチするかを決めましょう。基本的には次の4つの項目に関してビジネスとして成り立っているかを考えていきます。

・製品:商品やサービス、ブランディング

・価格:価格設定、支払い方法

・プロモーション:広告宣伝活動

・流通:チャネル

アプローチ方法の例

実際のアプローチ方法にはさまざまな方法がありますが、その代表例がテレアポです。顧客に電話をかけて直接営業する方法ですが、やみくもにリストにある番号に電話をかけてもあまり良い反応は得られません。

しかし、ターゲティングを行っていればテレアポは効率的で直接利益につながりやすい営業手段となるのです。

営業リソースの集中

ターゲットもアプローチ方法も明確になれば、営業リソースを集中的に投入しましょう。正しいステップでターゲティングができていれば、最大限の効果が得られるはずです。

おわりに

ビジネスにおいて基本ともいえるターゲティングは、営業や広告宣伝、販促など関係するすべての活動の成功のカギを握る重要なプロセスです。ターゲティングをしっかりと行っていれば、無駄な時間や手間を省いた効率的なマーケティング活動を行うことができます。

新規事業の立ち上げや、商品開発などの際には入念なターゲティングに取り組んでみてはいかがでしょうか。

投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。