KPI・KGIとは?その違いは?目標設定の仕方をわかりやすく解説

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ビジネスの世界でよく聞く用語の1つであるKPIやKGI。なんとなく目標設定のことを指しているということは分かっていても、実はこれらの意味や違いをあまり理解しないままに過ごしている方も多いのではないでしょうか。ここではKPI・KGIの意味や使い方、また目標設定の方法やポイントなどについてご紹介します。

KPIとは

もちろん訪問者の数だけではなく、クリック数など、さまざまなものをKPIとして設定できます。

KPIを設定するメリット

KPIを設定せずにいると、売上を伸ばそうとしても具体的にどのような行動をどれだけ行えば良いのか分からないため、作業の方向性が定まりません。KPIの設定には、漠然としがちな目標を数値化でき、作業を具体化できるというメリットがあります。

逆にKPIを設定していない場合、どのような作業を行えば現状を改善できるのか分からず、PDCAをうまく回せない状況に陥ります。その結果、チームが効率的に動けず、無駄な作業や遠回りをしてしまい生産性が落ちてしまうのです。

KGIとは

KGIは、重要目標達成指標(Key Goal Indicator)の略称です。KPIと似たような意味で使われがちですが、両者は評価する対象が異なるといえます。

KPIがいつまでに売上を○%アップさせる、コストを○%削減するなど、どちらかというとチーム単位の目標を評価する指標である一方、KGIは業界内のシェア率を5位から3位にまで上げたい、企業全体の売上を1億円から3億円に上げたいなど、より大きな単位での目標を評価するための指標です。

KGIを設定するメリット

KGIを設定すれば、事業のビジョンを明確にできるため、従業員のモチベーションが上がり、より生産的な業務につながるというメリットがあります。大きな目標が見えることで従業員がそれぞれやみくもに動くのではなく、1つの目標に向かって精神的にも一致団結しやすくなります。またKGIは、現状と照らし合わせることで、事業がうまく進んでいるのか確認できる重要な判断材料の1つでもあります。

このようにKGI設定は、企業全体が成長するための大きな推進力になりえるのです。事業がどの方向に向かうのか明確にすることで、各チームでの方向性が定まりやすくなります。

KGIを設定しない場合、つまり企業がやろうとしていることや、どのような将来を見据えているのかが不明瞭な場合、働いている側も「自分の作業が何の結果につながっているのか」と日々の業務の中で不安になることもあるでしょう。その結果、モチベーションが上がらず、利益にもつながりにくくなります。

KPIとKGIの違い

上述の通り、KGIは企業全体のように大きな単位での最終目標の達成具合を計る指標です。一方でKPIは、最終目標を達成するために必要な作業のプロセスを見るための指標になります。そのため、KGIをKPIに落とし込むことが基本的な流れです。

最終目標がKGIで、そこに至るまでの短期的な目標がKPIと考えると分かりやすいかもしれません。

2年後までに企業全体で売上を2億円アップさせるというKGIを設定した場合、それを目指すために各部門で「新規顧客を200件とる」「客単価を500円アップさせる」などをKPIとして設定するという具合です。このように、1つのKGIの下層にいくつものKPIを設けることも多々あります。

日常業務レベルで意識したいのはKPIで、KPIに向かって進むことで、結果的にKGIにも到達することになるのです。状況によってはKPIを途中で変更する必要も出てきます。KPIに関してはあくまでも流動的なものだと考え、柔軟に対応することが重要です。

KGIとして設定できる項目の例

粗利益(売上総利益)

粗利率が高い=原価に対して付加価値が高い状態での需要があることを意味し、コストを考えた上での利益が高いことが分かります。ただし、販管費や人件費などは含まれていないため、原価は低く販管費が高くつきやすいコンサルティング業など、ビジネスモデルによってはKGIに向いていない場合もあります。

業界内シェア

市場規模は業界内の売上高で決まります。しかし、売上高にはコスト面を無視しているという点があるため、注意が必要です。また、市場全体が縮小している場合は売上があまり変わらなくても業界内シェアが上がるということも想定されます。どのような経緯でシェアが拡大したのかを分析できなければ、本当にKGIを達成できたのか判断できません。

貢献利益

貢献利益とは、売上高から「売上高に比例して必要な原価と販売費」を差し引いたものです。言い換えれば、売上に関係なくかかる「テナントの家賃」「光熱費」「減価償却費」などの固定費は無視して考えます。

もし売上高から固定費まで差し引いたものを利益とする場合、テナントの家賃や光熱費が上がれば利益は減ります。そのため、固定費を無視すれば、KGIを達成していた場合も、固定費が上がったからという理由でKGIが未達成になる恐れがあるのです。

家賃や光熱費などはマーケティング担当者でコントロールできないため、固定費を無視する貢献利益をKGIに設定する企業が増えています。

KGIやKPIを設定する際のポイント

この章ではKGIやKPIを設定する際のポイントをご紹介します。

ご紹介するポイントは次の通りです。

  1. 必ず数値化する
  2. KSFを意識する

これよりそれぞれのポイントを一つずつ説明していきます。

必ず数値化する

「売上をアップさせる」「会社を大きくする」などのように、なんとなくの目標を設定してもあまり意味がありません。

KGIにせよKPIにせよ、目標設定は必ず数値化できるものにしましょう。いつまでにどれだけの売上をアップさせたいのか、具体的に数値で表すことが重要です。

また、目標に対して現状どれだけ達成できているのかをグラフなどで可視化することで、モチベーションの維持にもつながります。

KSFを意識する

KSFとは重要成功要因(Key Factor for Success)のことで、目標を達成するために最も重要なプロセスのことを指します。

1つの目標を達成するにはさまざまなプロセスがありますが、市場の特性や企業の特色などからKFSを導き出すことで、より効率的で生産性の高い事業戦略を立てることが可能になります。

KGI・KPIの設定事例

実際にテレマーケティングを行う場合の目標設定の例で考えてみましょう。

例えば「1年後までに売上を2000万円アップさせる」ことをKGIに設定したとします。しかし、KGIだけではどのように計画を進めるか漠然としているため、KPIを設定する必要があるのです。

そのため、「2カ月間リピートがない顧客1万人に対し電話をかける」という目標をKPIとして設定しましょう。

ただし、テレマーケティングを行う人数や、通話に割ける時間など、さまざまな要因によってKPIは変化します。テレマーケティングを行う人数がたったの数人であったり、通話に割ける時間が毎日1時間程度だったりする場合は、2ヶ月で1万人に電話するのは難しいでしょう。

KPIを達成するために高い目標を掲げるのも良いですが、あまりにも無謀だとKGIを設定する意味がありません。社内の状況などをきちんと把握して、実現可能なKPIを設定しましょう。

KGI・KPIの設定で失敗しやすい例

この章ではKGI・KPIの設定で失敗しやすい例をご紹介します。

ご紹介する失敗しやすい例は以下の通りです。

  1. KPIとKGIの目標設定のずれ
  2. 目標設定が高すぎる

これより失敗例を一つずつ説明していきます。

KPIとKGIの目標設定のずれ

最終目標としているKGIに対して、実際に行っている業務のKPI設定がずれていると、いつまで経ってもKGIは達成できません。

例えば「1年後までに売上を2000万円アップさせる」というKGIがあり、「過去に反応がなかった顧客1万人に対し電話をかける」というKPIを設定したとします。

確かに1万人にテレマーケティングを行えば、今よりも売上は上がるでしょう。しかし、見込み顧客をきちんとリスト化できていない場合は、電話に割く時間が増えて、あまり売上が上がらない恐れもあるのです。

KPIを設定する際は、KGIを達成するために本当に効果のある目標なのか考える必要があります。

目標設定が高すぎる

KPIやKGIの数値が非現実的な数値にならないように注意しましょう。

目標をあまりにも高く設定している場合、従業員の士気が下がったり、無理な労働につながったりするからです。

KPIやKGIはマーケティング担当者たちで設定するでしょう。しかしその目標を実現するには、マーケティング担当者だけではなく、他の従業員の協力が必要です。

現場の状況をきちんと把握せずに設定するKPIやKGIは、ただの丸投げになってしまうため、目標は従業員が実現可能な数値なのか判断する能力を身につけましょう。

KGI・KPIを運用する際の注意点

KPIは一度設定したら終わりではありません。

KPIを運営するうちに状況が変わり、KGIからかけ離れてしまうことも起こりえるからです。

例えば「1年後までに売上を1000万円アップさせる」というKGIがあり、「手元にある顧客リスト1万人に対し電話をかける」というKPIを設定したとします。

しかし、KPIを運営する中で顧客リストの質が悪いことが判明した場合は、このままのKPIではKGIを達成できません。質の高い顧客リストを入手し直す必要があるのです。

定期的に現状と目標を照らし合わせてチェックを行い、KPIからかけ離れている場合はKGIを設定し直しましょう。

最近注目されているOKRとは?

近年注目されているフレームワークに、OKRがあります。OKRとは目標と主要な成果(Objective and Key Result)を指し、シリコンバレーのそうそうたる企業が積極的に導入している目標設定・管理ツールとして知られています。

OKRの大きな特徴は、高い頻度で目標を設定、追跡、再評価することです。

Object(目標)の部分は、1カ月~3カ月など、比較的短期間で達成できる、シンプルかつチャレンジ精神に満ちた分かりやすい目標を設定します。具体的な数値などは入れないことも特徴的です。

そしてKey Results(主要な結果)の部分には、定量的なもの(数値で測れるもの)を指標として設定します。1つのObjectに対してKRは2~5つほど設定することが一般的です。

KPIとOKRの違いについて

KPIは具体的な数値を目標としているのに対し、OKRではシンプルな目標を決めます。OKRが目的地(Object)を定め、どのように到達するのか(Key Results)を示しているのに対し、KPIは目的地に対して今どの辺にいるのか、ガソリンはこのままで足りそうか、などを確認できるツールであるといえます。

OKRを設定するメリット

OKRは1カ月~3カ月と短いスパンでの目標のため、思ったような結果が得られなくてもフレキシブルに変更することができ、リスクの軽減にもなります。また、Object(目標)自体に数値を入れる必要はなく、シンプルなもので良いため、設定に時間がかからないことも大きなメリットです。

 KPIとKGIの違いを理解し、自社でも設定してみよう

企業が成長するためには明確な目標設定が重要です。KGI・KPIを正しく理解し、設定することで、将来的なビジョンが見えやすくなるだけではなく、従業員が高いモチベーションをキープしたまま働けます。また、目標に対しての進捗状況を確認しやすいなど、さまざまなメリットがあります。

今後の発展のためにも、目標設定について改めて考えてみてはいかがでしょうか。

投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。