インサイドセールスとは?営業・テレアポとの違いやメリットを解説

目次

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オンラインの活用や生産性アップが求められる昨今では、インサイドセールスを導入する企業が増えてきました。
インサイドセールスを活用することで、営業プロセスの無駄が省かれ、効率化だけでなく売上の向上も期待できます。

しかし、インサイドセールスに馴染みがない人も多いのではないでしょうか。
「従来の営業やテレアポとの違いがつかめない」という人もいるかもしれません。

そこで本記事では、インサイドセールスを営業・テレアポと比較しながら解説します。また、メリットや導入方法も紹介します。

「営業の効率を高めたい」「インサイドセールスを導入したい」という場合は、ぜひお役立てください。

インサイドセールスの意味とは

オペレータ

インサイドセールスはマーケティング担当者が獲得した見込み顧客をフォローする営業手法であり「内勤営業」とも呼ばれます。

インサイドセールスが誕生したのはアメリカです。

国土の広いアメリカでは、担当者が取引先を訪問するのに多大な時間がかかっていました。

そこで、より効率的な営業手法が模索された結果、確立されたのがインサイドセールスです。

インサイドセールスは顧客フォローに特化している点、遠隔で行われる点で、導入により業務効率を高めてくれます。

具体的にはインサイドセールス担当者は、あらかじめ準備した顧客リストを使って電話営業を行い、関心を持ち始めた顧客をフォローします。

インサイドセールス担当者は、顧客へ有益な情報提供や、要望や現在困っていることなどのヒアリングを続け、購買意欲が高まるまでのナーチャリング(育成)を担当するのです。

インサイドセールスが遠隔から育成した見込み顧客リストは、次に説明する「フィールドセールス」へと引き渡されます。

インサイドセールスに関する説明は、以下の記事もご覧ください。

関連記事:インサイドセールスとは?導入に失敗しないための3つの方法

従来の営業との違い

従来の営業モデルとインサイドセールスを採用したモデルとでは、次の表のような違いがあります。

従来の営業モデルインサイドセールスを採用したモデル
顧客フォローの担当者次のいずれかの人が兼任する・マーケティング担当・営業担当専任の担当者がつく
顧客フォローの優先度低くなりやすい高い

これまでの営業モデルでは、営業担当もしくはマーケティング担当が見込み顧客のフォローも兼任します。

そのため、見込み顧客のフォローが後回しになりやすく、次のような課題がありました。

  • 一人ひとりにあったフォローができない
  • 確度の低いアポイントを獲得してしまう

一方で、インサイドセールスを採用した営業モデルでは、見込み顧客のフォローはインサイドセールス担当者が専任で行います。

インサイドセールス担当者が顧客の状況に合わせた対応を行い、適切なタイミングで顧客を営業担当に受け渡すことで、販売効率アップを目指せます。

フィールドセールスとの違い

フィールドセールスとは、従来の外回り営業のことを指します。

フィールドセールス担当者は取引先の企業へ訪問し、直接コミュニケーションを取りながら営業活動を行います。

フィールドセールスとインサイドセールスの違いは、大きく分けて2点あります。

フィールドセールスインサイドセールス
アプローチ範囲近隣地域のみ県外や海外まで
コミュニケーションの質対面営業のため高い対面営業には劣る

1つ目の違いは、フィールドセールスの営業活動は、効率性や生産性が悪くなる可能性がある点です。

訪問する企業が複数ある場合、訪問先が近隣に位置していれば効率的に訪問できますが、県外や海外の場合は生産性が落ちてしまいます。

一方、インサイドセールスは世界中のどの取引先に対しても効率的にアプローチが可能です。

2つ目の違いは、フィールドセールスの方が「商品やサービスの細かいポイントを伝えられる」「顧客とのコミュニケーションが取りやすい」という点です。

インサイドセールスとは違って、実際に客先を訪問するフィールドセールスなら、顔を見合わせての密なコミュニケーションがとりやすいためです。

受注確度をできるだけ高めるためには、インサイドセールスとフィールドセールスの違いを理解した上で、効果的に連携させることが重要です。

つまり、インサイドセールスの担当者が見込み客を育成し、フィールドセールスにしっかりと引継ぎを行い、取引先を訪問し、受注に結びつけるような計画が必要となります。

インサイドセールスとフィールドセールスの違いについては、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:インサイドセールスとフィールドセールスの違いとは?

テレアポとの違い

インサイドセールスとテレアポは、次のように主に「目的」という点で異なります。

テレアポインサイドセールス
目的アポイントの獲得見込み顧客の育成
成果指標獲得アポイント数
・情報を引き出せたか
・ニーズを引き出せたか
・魅力的な提案ができたか
目標スパン短期的長期的
アプローチ方法電話のみ電話・メール・セミナー

テレアポの目的はアポイントの獲得です。

一方で、インサイドセールスの目的は見込み顧客の育成です。

目標が違うため、テレアポとインサイドセールスでは、担当者の対応も異なります。

テレアポ担当者はアポ件数の指標として業務にあたりますが、インサイドセールス担当者は見込み顧客の状況に応じたフォローを行います。

電話を用いることが多いインサイドセールスですが「見込み顧客の育成」を目標とする点で、テレアポとは全く異なるといえるでしょう。

マーケティングと営業との関係

インサイドセールスが連携を取る必要があるのは、フィールドセールス担当者だけではありません。

マーケティング担当者とも連携が必要です。

インサイドセールスを導入する際、営業プロセスのステージによって、担当部署を分けることがあります。

例えば、マーケティング部門が分析して算出した見込み客数がインサイドセールス部門での母数となり、案件数を導き出します。

インサイドセールス部門の案件数が、次は外勤営業(フィールドセールス)部門が受注数を算出するための母数として活用されるのです。(下図参照)

たとえ業務内容が分担されていたとしても、各部門がそれぞれのベストを尽くすことで、次の成功が生まれる形となっています

つまり、同じゴールに向かっているという意識を持つと、自然に全体が成長するようになるという考え方です。

コミュニケーションを取りながら、具体的な数値目標を連携させることで、営業実績を上げることができるので、インサイドセールス立ち上げ時の参考として検討してみましょう。

マーケティング部との連携については、以下の記事を参考にしてください。

関連記事:インサイドセールスのやり方って? 立ち上げ時の重要な5つのポイント

インサイドセールスが注目されている背景

国土の広いアメリカだけでなく、比較的小さな島国の日本でも、インサイドセールスは年々注目度が高まってきています。

その理由は主に次の2つです。

  • 求められる働き方が変わってきたため
  • サブスクリプション型の商品が増えたため

それぞれ紹介します。

求められる働き方が変わってきた

インサイドセールスの注目が集まっているのは、「在宅勤務」や「残業時間の抑制」などの働き方改革が進められているためです。

特に、感染症対策として在宅勤務を導入する企業が増えてきており、営業活動にもインサイドセールスを積極的に取り入れる動きが進んでいるといえるでしょう。

従業員の働き方以外に、フィールドセールスの売上施策が頭打ちになってきている点が挙げられます。

近年は、少子高齢化に伴い新卒でリクルートできる営業担当者が減っているだけでなく、「外勤営業はつらい」「ノルマ達成が大変」というイメージから、営業は若い世代に人気の職種とはいえません。

サブスクリプション型の商品が増えた

また、SaaSといったサブスクリプション型の製品やサービスが数多く登場している点も背景として考えられます。

サブスクリプション型の製品やサービスは、1ユーザーに対する受注金額が低く抑えられるケースがほとんどです。

受注金額を低く設定することで、より多くのユーザーに広く使ってもらうのが狙いだからです。

フィールドセールスがすべての顧客に、対面で営業活動を行うのは不可能だといえるでしょう。

サブスクリプション型の製品サービスを販売する場合、顧客を一人ひとり訪問していると営業効率性が非常に悪くなってしまいます。

従って、顧客を効率的に獲得するために、インサイドセールスの活用が一般化してきています。

インサイドセールスのメリット

インサイドセールスを導入する主なメリットは次のとおりです。

  • 効率的にアプローチできる
  • 属人化を防ぐことができる
  • リードタイムを短縮できる。

それぞれ説明します。

効率的にアプローチできる

インサイドセールスでは、外勤営業のフィールドセールスとは異なり、リード獲得に向けて多くの顧客にアプローチできるのが大きなメリットとして挙げられます。

フィールドセールスでは、1日のうち会社へ数件だけ訪問するのが限界だとしたら、インサイドセールスでは数十件以上も電話営業をかけられるでしょう。

さらにインサイドセールスでは、顧客とのコミュニケーションが加速化する、というメリットがあります。例えば、ダイレクトメールや電話、Web会議システムやアプリなど、さまざまなツールを駆使して顧客にアプローチするのがインサイドセールスの特徴です。

従って、遠隔からさまざまな階層の顧客に広くアプローチをして、製品やサービスについてより多くの顧客に説明できるというメリットがあります。

特に、市場が変化するスピードや競争が激しい昨今では、より効率的に顧客とコミュニケーションが取れる、インサイドセールスの手法が重要となるのです。

属人化を防ぐことができる

インサイドセールスは、属人化を防ぎ、チームで戦略的に関係構築ができるというメリットがあります。

従来の営業手法は、取引先へ訪問し、じっくりと関係を築いていくスタイルが主流でした。そこでは顧客とのコミュニケーションやアポ獲得、受注やフォローといった営業活動のプロセス全体が個々の営業担当者に委ねられていました。

個々によってスキルや手法が異なるため共有が難しく、「この人がいなくなっては仕事が回らない」といった状況が起こりがちで、個人のスキルや経験に依存していたのです。

これを「営業活動の属人化」といい、属人化が社内で起こってしまうと、優秀な社員が辞めてしまったとき、スキルや経験を会社に蓄積できなくなってしまうでしょう。

しかしインサイドセールスでは、ツールを用いて顧客の現状や検討度合いなどをリアルタイムで共有することで、従来の営業スタイルのデメリットをカバーしています。

「顧客の関心度の強さはどれくらいか」「いつ商品の売り込みをすればいいか」「担当者を訪問するのはいつか」などをチームで戦略的に決められるようになり、自社にとって適切な手法を確立し、継承できるようになります。

リードタイムを短縮できる

インサイドセールスでは、リードタイムを短縮できるというメリットがあります。リードタイムとは、アプローチからクロージング(成約)するまでの時間を意味し、短い方が営業効率や生産性が向上します。

外勤営業のフィールドセールスでは、企業を直接訪問するために効率性が落ちますが、インサイドセールスでは、例えばWeb会議システムを活用してオンライン商談を実施することで、訪問の手間を省くことができるでしょう。

リードタイムが短縮されると、成約率が向上し、企業の売上増加につながっていきます。そのため、営業プロセスの中で、インサイドセールスを上手く活用していくことが重要です。

インサイドセールスのメリットについては、以下の記事に10個まとめています。参考にしてください。

関連記事:インサイドセールスのメリット10個をご紹介!デメリットや導入手順も解説

インサイドセールスのデメリット

メリットの多いインサイドセールスですが、次のようなデメリットもあります。

  • 情報共有や連携作りに時間がかかる
  • 難度の高い交渉に向いていない
  • 伝えられる情報に限りがある

それぞれ紹介します。

情報共有や連携作りに時間がかかる

インサイドセールスの仕組みづくりをするには、部門を超えて連携する必要があるため、時間がかかってしまうというデメリットがあります。

そこで、インサイドセールスを成功させるには、マーケティングやフィールドセールスといった他の部門との情報共有や連携が不可欠、という意識を部門長が持つ必要があるでしょう。

マーケティング部門が分析した顧客情報を正確に理解し、インサイドセールス部門で顧客を獲得して育てた後は、フィールドセールス部門に緊密に共有していくことが欠かせません。

「顧客のプロファイルはどういった内容か」「どのようなやり取りを顧客としてきたか」「どのような困りごとがあり、製品のどの部分に関心があるか」といった詳細な情報を共有することで、受注確度の高いアプローチが実現できるでしょう。

記事の後半で解説するように、最近では、インサイドセールスの情報を効率的に管理し、共有できるツールが登場しています。ツールを適切に活用することで、関係部門の担当者がすべての情報を把握できるよう環境を整えることが大切です。

難度の高い交渉に向いていない

次に、インサイドセールスは難度の高い交渉には向いていないというデメリットが挙げられます。

難しい交渉をするには、Web会議システムを使ったオンライン交渉では不十分なこともあるでしょう。

特に、交渉が難航している場合や、誤解やトラブルがあり誠意を見せる必要がある場合は、フィールドセールス部門が実際に出向くことで成約できる可能性が高まります。

従って、インサイドセールス部門で難しい交渉を担当して負担を増やすのではなく、分業の観点からフィールドセールス部門が得意とする業務を把握し、あらかじめ振り分けておく必要があるでしょう。

インサイドセールスはフィールドセールス部門の課題を補い、営業プロセス全体の効率性改善に寄与します。

両部門の違いを念頭に置いて、インサイドセールス部門の立ち上げや導入、業務分担の改善に取り組むことが大切です。

伝えられる情報に限りがある

インサイドセールスを活用するデメリットとして、製品やサービス情報を伝えきれないという点もあります。

営業担当者が訪問して、製品やサービスを直接説明するフィールドセールスと比べると、説明できる情報量がどうしても限られてしまいます。

例えば、メーカーが実物の製品を売り込みたいとき、インサイドセールスによる電話や画面越しの営業では、触感や質感、香りやサイズ感などは伝えきれないでしょう。

その場合は、製品サンプルを発送したり、実際に営業担当者が訪問したりして、使用法を見せて商談に持ち込む必要があります。

インサイドセールスの導入が向いているケース

効率化

次のようなケースなら、インサイドセールスの導入が向いている可能性が高いと言えます。

  • 比較的安価でシンプルなサービスの場合
  • 営業担当者の負担を減らしたい場合
  • 見込み顧客にアプローチできていない場合

インサイドセールスの導入を検討中の人は参考にしてみてください。

比較的安価でシンプルなサービスの場合

インサイドセールスの導入が向いているのは、比較的安価でシンプルなサービスを取り扱っている場合です。

たとえば、サブスクリプションの商品は上記に当てはまっており、インサイドセールスと相性が良いとされます。

インサイドセールスは非対面で顧客と接するため、対面のセールスほど細かな説明はできません。

しかし、サービスが一定程度の価格なら十分に興味を持ってもらえます。

また、サービス内容がシンプルなら、オンラインの説明でも魅力を伝えやすいでしょう。

逆に、取り扱っている商品の価格が高く、内容の説明が難しい場合は、インサイドセールスによるアプローチが難しいかもしれません。

数千万円するような高額のサービスの魅力は、オンラインのやり取りだけで伝えるのは難しいためです。

上記の場合でもインサイドセールスを顧客教育に役立てることはできますが、基本的には安価でシンプルなサービスで効果を出しやすくなります。

インサイドセールスの相性を確認するには「オンライン上で自社商品の販売を完結させられそうか」を考えてみてください。

オンライン販売が可能な商品は、価格の安さ・内容のシンプルさという条件を満たしている可能性があります。

営業担当者の負担を減らしたい場合

営業担当に業務負担が偏っている場合も、インサイドセールスの導入がおすすめです。

営業担当の負担が増えてしまう主な原因は「業務範囲が広いこと」「効率の悪い業務が多いこと」です。

インサイドセールスを取り入れることで、営業担当はアポを取る手間が省けるため、商談に集中できるようになります。

また、インサイドセールスが機能すれば、確度の低い商談が少なくなります。

成約見込みの低い商談のために準備時間・移動時間・商談時間を割くことが減れば、営業効率は上昇します。

見込み顧客にアプローチできていない場合

インサイドセールスの導入は、見込み顧客にアプローチできていない場合に有効です。

インサイドセールスの担当者は、見込み顧客一人ひとりに合わせたフォローを行うためです。

見込み顧客はすでに自社商品に興味を持ってくれた人なので、適切にアプローチをすれば、比較的少ない労力で商談につなげられます。

「マーケティングで獲得した顧客リストがあるけれど、活用できていない」という状況なら、インサイドセールスの導入を検討してみてください。

インサイドセールスのやり方

インサイドセールスを用いた販売プロセスは、自社で構築することも可能です。

インサイドセールスの一般的な導入方法は次のとおりです。

  1. 業務範囲を明確にする
  2. 組織体制を決定する
  3. 部署間の連携方法を決める
  4. 目標とKPIを設定する
  5. シナリオを設計する
  6. 実践に移して効果測定を行う

それぞれ説明します。

①業務範囲を明確にする

はじめにインサイドセールスの業務範囲を明確にしましょう。

一言にインサイドセールスといっても、業務範囲は導入する企業の課題に合わせて決めます。

インサイドセールスの業務範囲は、課題ごとに大まかに3つに分けられます。

新規顧客獲得が課題なら「リード発掘」

問い合わせが少ない場合・見込み顧客のリストがない場合、インサイドセールスはリードの発掘を担当することが多くあります。

電話やメール、Webチャットを利用して問い合わせや見込み顧客の獲得を狙います。

高確度のアポ獲得が課題なら「リード育成」

顧客リストはあるものの低確度の商談が多い場合、インサイドセールスはリード育成を担当します。

電話やメールマーケティングを利用して、顧客の情報を把握して、一人ひとりに合わせたフォローを行います。

営業担当の負担減が課題なら「アポ獲得から一部商談まで」

営業担当の負担が大きすぎる場合、顧客フォローやアポイント獲得だけでなく、一部の商談もインサイドセールス担当に割り当てるのが良いでしょう。

インサイドセールス担当が見込み度の低い顧客の商談を担当すれば、営業担当の負担を減らせます。

顧客ニーズを深く理解することにもつながるので、一石二鳥です。

②組織体制を決定する

インサイドセールスの業務範囲が定まったら、組織体制を決めましょう。

インサイドセールスを導入した組織体制は、概ね次の3つの内どれかになります。

組織体制特徴
マーケティング部門に取り込む顧客情報の整理がしやすい
営業部門に取り込む商談の成約率を上げやすい
独立した部門として設ける独自のアイデアが生まれやすい

優先して取り組むべき課題や、インサイドセールスの業務がマーケティングと営業のどちらに近いかを基準に組織体制を決めましょう。

また、インサイドセールスの担当者を決める必要もあります。

インサイドセールス担当を決める際は、話し上手かどうかよりも、聞き上手かどうかをもとに決めると良いでしょう。

自社での抜擢や採用が難しい場合は、外注するのも一つの手です

③部署間の連携方法を決める

インサイドセールスを機能させるには、マーケティングと営業との連携は必須です。

部署間の情報共有がスムーズでなく、いちいち確認の手間が発生するなら、業務効率は落ちてしまいます。

古い情報が提供されたり、情報の提供漏れがあったりすると、顧客の信頼喪失にもつながります。

部署間の連携方法としてよく活用されているのが、スプレッドシートやExcelといった表計算ツールです。

「見込み顧客の情報」「進捗状況」「受注確度」「訪問日」といった項目を設定します。

表計算ツールで管理する際は、進捗状況が変化した場合にリアルタイムで更新することが重要です。

インサイドセールスの担当者全員が、鮮度の高い情報に常にアクセスできるよう意識して運用しましょう。

④数字目標を設定する

業務に取り組みやすくするには、数字目標を設定することが重要です。

インサイドセールスの目標は、企業の状況によって変わります。

例として、マーケティング部門が作成したターゲットリストが100件ある場合を想定してみましょう。

この場合なら、以下の3点について目標を設定します。

  • リード獲得
  • リード育成
  • 休眠顧客の掘り起こし

目標を設定したら、実際の数字に落とし込んでから実行しましょう。

数字目標にすることで、目標達成に向けて何が必要かが明確になります。

インサイドセールスでは、次の指標もよく目標として使われます。

指標具体例
アプローチ数・コール件数
・メール送信数
・資料送付件数
レスポンス率・ヒアリング数
・ヒアリング率
・メール開封数
・メール開封率
・問い合わせ件数
・問い合わせ率

具体的に数値として落とし込むことが難しいものもありますが、可能な範囲で目標数値を明確にするようにしましょう。

インサイドセールスが目的とすべき指標(KPI)については、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:インサイドセールスで管理すべき4つのKPIとは?ポイントを解説

⑤シナリオを設計する

シナリオとは、顧客獲得・顧客育成・アポイント獲得・成約の流れのことです。

とるべき対応は顧客の行動に応じて枝分かれしているので、シナリオ設計ではフローチャートがよく用いられます。

複数のパターンを想定・共有しておけば、インサイドセールスをはじめて行う場合でも落ち着いて対処できるでしょう。

⑥実践に移して効果測定を行う

準備が整ったら実践していきます。

重要なのは効果測定を行い、仕組みを改善していくことです。

特に自社でインサイドセールスの体制を構築した場合は、はじめから期待する成果を出せるとは限りません。

長期的な視点に立って、KPIやシナリオを見直していきましょう。

インサイドセールスを成功させるポイント

インサイドセールスを機能させるには、次のような点を意識する必要があります。

  • 部署間での情報共有を欠かさない
  • 定期的に振り返りを実施する
  • マーケティングツールを活用する
  • 外部委託を利用する

「インサイドセールスを導入したことで、かえって業務効率が落ちた」という事態にならないよう、それぞれのポイントを見ていきましょう。

部署間での情報共有を欠かさない

インサイドセールスを成功させるポイントの一つは、部署間で情報共有を欠かさないことです。

インサイドセールスはマーケティングと営業の橋渡しのような役割を果たします。

マーケティング部門・営業部門の両方との意志疎通が十分でなければ機能しません。

たとえばインサイドセールス担当は、商談に臨む営業担当が欲しい情報を把握する必要があります。

必要な情報がヒアリングされていなかったり、共有されなかったりすると、営業担当は「自分で顧客をフォローしたほうが早い」と感じるでしょう。

そのため、部署間での情報共有は細かく行う必要があります。

業務を進めるなかで、フローが変わることも考えられるので、小さなことでも共有しあえる関係を維持できるよう意識しましょう。

定期的に振り返りを実施する

インサイドセールスを機能させるには、定期的な振り返りが重要です。

どれだけ検討を重ねて決めたことでも、実践してみると無理がある部分や効率の悪い部分が見つかります。

特にインサイドセールスの導入したばかりの時期は、実践とブラッシュアップを繰り返す必要があるので、振り返りを高い頻度で行いましょう。

複数部門間での振り返りも大切です。

自部門にとっては問題がなく思えても、他部門に迷惑をかけているケースもあります。

また、複数部門での振り返りは「共有漏れをなくす」「不明点を確認する」「部門間の関係を良くする」という点でも重要です。

マーケティングツールを活用する

SFA(営業支援)やCRM(顧客管理)をはじめとしたインサイドセールス支援ツールを導入することで、顧客情報を効率的に管理できるようになります。

インサイドセールスで最重要となる顧客情報を一元管理し、他の部署や従業員と共有できるのがメリットです。

SFAやCRMの提供ベンダーの中には、導入後のアフターフォローまで行っている会社もあるので、効果的な使い方やトラブルが起こった際、相談できるのが魅力的なポイントです。

近年、比較的コストをおさえて活用できる「クラウドサービス」も人気になってきています。インサイドセールスのDX化を検討している場合、自社の営業プロセスにフィットするツールを導入しましょう。

外部委託を利用する

インサイドセールスを初めて自社導入する場合、最もスムーズに行えるのが外部委託の活用です

自社で構築するケースと比較して、短い時間で成果を上げられるでしょう。

外部委託を依頼すると、インサイドセールスで重要な「商談機会の創出」を完全に代行してもらえるのが大きなメリットです。

インサイドセールスの専門家が、電話やメール、Web会議システムを駆使して、顧客の新規開拓や信頼関係の構築までを行います。

その後、育成されたリードは、フィールドセールス部門へと担当が変わります。

この時点でリードの関心が高まっているため、無駄な営業工数を省いて効率的に成約へ結びつけることができるでしょう。

導入時の初期費用や維持費はかかりますが、社内体制を維持したままインサイドセールスの利点をフル活用できる点が魅力です。

関連記事:勘所をしっかり押さえて成果をあげるインサイドセールスの8つのコツ

インサイドセールスで活用できるツール8選

具体的にどのようなインサイドセールス向けのツールがあるか、8つ解説します。

MAツール(マーケティング自動化ツール)

MAとは、Marketing Automation(マーケティング・オートメーション)の略称です。

人の手に頼っていた煩雑なマーケティング作業を自動化し、効率性や生産性を向上させます。

具体的には、顧客情報の一元管理、メールの開封や広告クリック、自社サイトの訪問履歴などを自動的に分析し、見込み顧客について可視化するツールのことをいいます。

見込み顧客の確度が事前に把握できるため、優先順位をつけてインサイドセールスが実施できるようになるでしょう。

SFA(営業支援ツール)

SFAとは、Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)の略称です。

自社の営業部門に関する業務を自動化し、情報分析することで課題を抽出します。導き出された課題を改善することで、営業活動が効率化される便利なツールです。

自動化される業務には、メール送信、日報や資料の作成などが含まれ、営業担当者の負担を大幅に減らすことができます。

CRM(顧客管理ツール)

CRMは、Customer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の略称です。

CRMツールでは、顧客情報を一元管理することで、顧客へのアプローチを最適化することができます。

顧客に関するデータが蓄積されていくので、売上を伸ばすだけでなく、顧客満足度も向上させられるというメリットがあります。

CTI(コンピューター電話統合)

CTIはComputer Telephony Integration(コンピューター・テレフォニー・インテグレイション)の略称で、コンピューター電話統合とも呼ばれます。

MAツールと電話機システムを連携させ、顧客データベースから情報を検索し、パソコンで架電できるようになるツールです。

CTIを導入していなければ、毎回手動で電話番号を入力することになり、大きな手間となることは明らかです。

MAツールとCTIツールを掛け合わせることで、確度の高い見込み客を自動抽出し、効率的なアプローチが可能になります。会社の電話を使用する必要はなくなり、リモートからでもインサイドセールスの仕事ができるというメリットがあります。

ABM(企業管理ツール)

ABMとはAccount Based Marketing(アカウント・ベースド・マーケティング)の略称で、BtoBマーケティングにおいて、企業(アカウント)に優先度をつけて集中的にアプローチする手法です。

ABMツールを導入すると、企業ごとのデータ管理が可能となるだけでなく、ターゲット企業の選定や分析、適切な提案で、成約率を高めることができます。

Web会議ツール

Web会議ツールを使うと、ビデオ会議や音声通信で、顧客と遠隔コミュニケーションを取ることができます。

具体的には、Web会議ツールを使ってオンライン商談や、商品紹介のウェビナーを開催することが可能です。

また、ビデオ会議をしながらチャット機能で資料を送付することもできます。

最大のメリットとして、時差や場所にとらわれず営業活動ができるという点があります。

移動時間の削減もでき、限られた人員で最大限の営業活動を行うことで、売上増加を期待できるでしょう。

フォーム営業ツール

新規顧客を獲得したいなら、フォーム営業ツールを導入しましょう。

フォーム営業ツールでは、企業のホームページに設置されているお問い合わせフォームやメールアドレスに、自社サービスに関する営業メールを自動送信できます。

従来は、営業担当者が何百件も手入力して送信していましたが、ツールを導入することで自動化でき、大幅にコスト削減をした上でインサイドセールスを実施できるでしょう。

名刺管理ツール

名刺管理ツールでは、交換した名刺をスマホカメラで撮影するだけで見込み客のデータを管理できます。

面倒で手間のかかる名刺整理が自動化でき、部門を越えて情報を共有できるようになります。

取得した名刺を有効活用できるようになるため、リード不足を解消する上で、非常に便利なツールとなるでしょう。

各ツールの具体的なサービスについて、以下の記事で紹介しています。

関連記事:生産性アップ!導入すべきインサイドセールスツールは8種類

インサイドセールスが学べるおすすめの書籍

インサイドセールスの理解をさらに深めるには、書籍での勉強も効果的です。

インサイドセールスを取り扱っている本は数多くありますが、なかでもおすすめなのが次の書籍です。

  • 『THE MODEL』
  •  『デジタルインサイドセールス』
  •  『インサイドセールス 究極の営業術』
  •  『インサイドセールススペシャリスト教本』
  •  『インサイドセールスの実務』

基礎的なところから整理をしたい人には『インサイドセールスの実務』をおすすめします。

本書は「インサイドセールスとは?」から解説してくれており、初心者にも優しい一冊です。

下記の記事では、インサイドセールスが体系的に学べるおすすめの書籍をさらに詳しく紹介しています。

ぜひ書籍選びの参考にしてください。

関連記事:インサイドセールスを体系的に学べるおすすめの本5冊をご紹介

インサイドセールス代行・テレアポ代行の導入事例

弊社「soraプロジェクト」のインサイドセールス代行・テレアポ代行を導入て、見込み顧客にアプローチされた企業様の事例を紹介します。

事例1

一つ目の事例は製造系の企業向けに、人材派遣を行う企業様のものです。

代行サービス利用前から利用後の状況を紹介します。

利用前のお悩み

新規取引先の拡大が課題でした。

見込み顧客のリストを保有しているものの人員が不足しているため、代行を依頼されました。

実施した施策

soraプロジェクトが実施した施策は次のとおりです。

  • 企業様の状況ヒアリング
  • スクリプト作成
  • 300件のリストにコール

利用後の成果

訪問アポイントの獲得だけでなく、繁忙期に提案できる顧客のリストアップができました。

詳細はこちらのページにも記載しています。

事例2

設計デザイナー・オペレーターの人材派遣業を営む企業様の事例です。

代行サービス利用前から利用後の状況を記載します。

利用前のお悩み

グループ企業以外からの受注が課題でした。

HPからの問い合わせもあるものの、さらに流入を増やすための施策をお探しでした。

実施した施策

soraプロジェクトが実施した施策は次のとおりです。

  • 毎月100件ほどのリストにコール
  • コール後に顧客情報や確度を記録
  • 前回のコールで聞き出した情報をもとに再度コール

利用後の成果

毎月2件から3件は好感触のアポイントを創出しました。

大企業との契約獲得にもつながりました。

詳細はこちらのページにも記載しています。

事例3

こちらで紹介するのは、人事担当者に対する研修を行っている企業様の事例です。

代行サービス利用前から利用後の状況を記載します。

利用前のお悩み

新規の見込み顧客の少なさが課題でした。

研修サービスの特徴をどのように訴求すべきかでお悩みでした。

実施した施策

soraプロジェクトが実施した施策は次のとおりです。

  • 見込み顧客のニーズ分析
  • アプローチする企業の絞り込み
  • 200件のリストにコール

利用後の成果

約4%の確率でアポイントを獲得することができました。

需要のある顧客との商談であったことから、喜びのメールをいただきました。

詳細はこちらのページにも記載しています。

インサイドセールスを正しく理解して営業活動に取り入れよう

オンラインの活用や生産性向上がポイントになる現代では、マーケティングにより獲得した見込み顧客のフォローが重要です。

そんな顧客フォローに特化したインサイドセールスは、時代に合った営業手法であり、導入する企業数は増加傾向にあります。

しかし「人員が不足している」「自社構築には不安がある」「すぐに成果を出せる体制を整えたい」という場合は、経験豊富な代行会社に依頼するのが良いでしょう。

インサイドセールス代行にご興味があれば、ぜひ弊社「soraプロジェクト」にご相談ください。

15年間、BtoBの企業様のマーケティングに携わってきた経験をもとに、商談機会を生み出します。

具体的には以下のようなことが可能です。

  • 高品質なリード獲得
  • 継続的に商談を創出
  • 800万社のリストを無料提供
  • スクリプトやコールノウハウの提供

soraプロジェクトのインサイドセールス代行の特徴をまとめた資料もご用意しています。

無料でご覧いただけるので、ぜひダウンロードしてご活用ください。

投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様に
ターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。