カスタマーサクセス2.0とは?急速に普及する理由や役割を解説

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顧客対応業務の管理者や担当者であれば「カスタマーサクセス」という職種を一度は聞いたことがあるかもしれません。カスタマーサクセスは、サブスクリプション型ビジネスで導入され始めている業務のため、それ以外の業態に携わっている場合「自社には関係がない」と考えていませんか?

実は今、カスタマーサクセスはサブスクリプション型ビジネスに限らず、「カスタマーサクセス2.0」として広く適用され始めています。

そこで今回の記事では、カスタマーサクセス2.0の概要、業界の変化、役割や導入事例、導入方法を解説します。

カスタマーサクセス2.0は、カスタマーサクセスの導入を検討している企業や、マーケティング担当者にとって重要な情報となるので、ぜひ最後までご覧ください。

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カスタマーサクセス2.0とは

カスタマーサクセス2.0を説明する前に、カスタマーサクセスの意味をまず解説します。

カスタマーサクセスは「顧客の成功」を意味し、2015年頃からアメリカで普及し始めました。カスタマーサクセスの担当者は、自社プロダクトやサービスを通じて、顧客が問題を解決し、成功し続けられるよう支援する業務を担います。

カスタマーサクセスの主な対象は既存顧客であるのが特徴で、買い切りではなく月額課金型のビジネスモデルを提供するスタートアップ企業で導入されてきました。

カスタマーサクセスとよく混同されるのが、カスタマーサポートです。カスタマーサポートの対象にも既存顧客は含まれますが、顧客からの質問やクレームに対応し、問題解決をサポートするのが役目です。一方、カスタマーサクセスは、自社から積極的に既存顧客へアプローチし、問題解決や業務改善を提案し、成功へと導く役割を担います。

これまでカスタマーサクセスの業務では、「更新時の解約防止」が注目されてきました。サブスクリプション型ビジネスにおいて、契約更新がストップしてしまうと今の売上が落ちてしまうことから、「チャーンレート」と呼ばれる解約率を低くするのがカスタマーサクセスの役割だと認識されていたのです。

しかし、2018年にコンサル会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーが「カスタマーサクセス2.0」の概念を提唱し、企業と顧客は同じ方向を向き、企業が積極的にサポートするビジネス形態であると述べたのです。

それはサブスクリプション型ビジネスにとどまらず、どのような事業形態でも重要になると打ち出しました。

カスタマーサクセスを導入する業界の変化

上記と関連し、カスタマーサクセスを導入する業界について整理しましょう。

前身としての形態は「カスタマーサクセス1.0」と呼ぶことができ、BtoBのSaaS(Software as a Service)のみで取り入れられていました。ここでのポイントは、BtoBすなわち企業対企業のビジネスモデルに限定されていたということです。

しかし、カスタマーサクセス2.0では、BtoBやSaaSに限らず、BtoCやサブスクリプション型ビジネス以外でも適用できるようになります。

したがって、今後は業界やビジネス形態にかかわらず、カスタマーサクセスを取り入れる企業は増加すると考えられるでしょう。

日本でカスタマーサクセスの重要性が高まっている理由

今後、企業がカスタマーサクセス部門を作るのは当たり前になるともいわれています。実際、日本では2018年頃から普及し始めています。

では、なぜ日本でカスタマーサクセスの重要性が注目されているのでしょうか。その理由は、日本が直面する社会的問題にあります。

日本は現在、少子高齢化による人材不足という課題を抱えており、その状況は年々悪化しているといえるでしょう。そこで、少ない人数で高付加価値のサービスをユーザーに提供するために、カスタマーサクセスが必要とされています。

つまり、継続的にサービスを利用してもらい、既存顧客からリピーターやアップセルを獲得することが、企業にとって生き残るための手段の1つとなるからです。

次に、インターネットや新しい生活様式の導入で、ユーザーの活動がオンライン上に移っている点が挙げられます。そこでカスタマーサクセスの担当者が、SNSやチャット、ビデオ会議ツールなどを使い、オンライン上のユーザーにアプローチし、顧客ニーズに素早く対応する必要があります。

オンライン活動が活発な現代では、こちらから何もしなければ顧客は他のプロダクトやサービスに乗り換える恐れがあることから、積極的な関わりが重要です。

この2つの課題はどの業態の企業も直面しているため、カスタマーサクセス2.0に取り組むことで、解決できるでしょう。

解約防止に留まらないカスタマーサクセス2.0の役割とは

サブスクリプション型ビジネスを展開している場合、解約防止の施策を取ることが重要です。しかし、上記で解説したように、カスタマーサクセス2.0は解約防止に留まりません。

ここでは、カスタマーサクセス2.0のほかの役割を解説します。

LTVの最大化

LTV(Life Time Value)とは、顧客が自社にもたらす価値の総額を指します。カスタマーサクセス2.0では、顧客のLTV最大化を目指し、自社の利益拡大を狙います。

LTV最大化を達成するには、長期的に利用を続けてもらい解約率を下げるだけでなく、契約時に顧客をヒアリングし、ニーズや課題ごとにアップセルやクロスセルを行うのが重要です。

たとえば、食料品を提供している会社なら、食料品だけでなく調理器具も合わせて提案するとLTVの最大化が図れるでしょう。そのためには顧客理解を深めることが必須です。顧客と良好な関係を持ち続け、適切なタイミングで提案すれば受け入れられやすくなるでしょう。

顧客ニーズの把握

カスタマーサクセス2.0では、潜在的なものも含めた顧客ニーズを正確に理解する必要があります。それはアップセルやクロスセルに役立つだけでなく、新プロダクトやサービスの開発にも役立つでしょう。

カスタマーサクセス2.0の役目の1つは、顧客の具体的なニーズや課題を把握することです。それは目の前の問題解決や顧客満足度の向上、売上拡大につながるだけでなく、マーケティングに利用すれば将来的な開発にも利用できます。

カスタマーライフサイクルの最適化

カスタマーサクセス1.0では主に解約防止に重きが置かれていましたが、カスタマーサクセス2.0では一点に留まらず、顧客のライフサイクル全体の最適化が重要です。

解約防止にも向けて施策を取り組みつつ、アップセルやクロスセルで利益を拡大し、顧客企業の事業成長を導く存在でいる必要があります。

新規企業にはオンボーディングから始まり、継続的にニーズをヒアリングし、把握した改善点を自社のマーケティングや開発部へフィードバックを行うのもカスタマーサクセス2.0の役割です。つまり、顧客に対してだけでなく、社内コミュニケーションの充実化も図る必要があるでしょう。

あらゆるステークホルダーと密にコミュニケーションを取りながら、顧客が自社プロダクトやサービスの使い方の成熟度を高めるようサポートするのが、カスタマーサクセス2.0の役割といえます。

カスタマーサクセス2.0の導入事例

次に、カスタマーサクセス2.0の導入事例について解説します。

ヘイ株式会社

ヘイ株式会社は、ネットショップ開設サービス「STORES」や予約システム、キャッシュレス決済などさまざまなサービスを提供しています。

利用するユーザー数が多いことから、すべてのユーザーをしっかりとサポートできず、接点が少ないという課題がありました。接する機会が多くないと解約につながりやすくなることから、カスタマーサクセスツールの導入に踏み切りました。

企業とユーザー同士でオンラインコミュニティで交流できるシステムを構築したところ、ユーザーと密なコミュニケーションが実現しています。その結果、充分な数のサポートができ、ユーザーからの返信率やLTVが向上しています。

ウイングアーク1st株式会社

ウイングアーク1st株式会社は、請求書や納品書といった文書を電子化できるソリューションを提供しています。

ユーザーの使用状況が不明で、直接つながってヒアリングできず、必要な情報を届けられないという課題がありました。そこでカスタマーサクセスツールを使いオンラインに意見箱を作成したところ、ユーザーの意見を多く収集できるようになりました。

カスタマーサポート担当者とユーザーの交流会への参加も促せ、実際に話しながら意見を交換できるようになっています。

イタンジ株式会社

イタンジ株式会社は、不動産賃貸業における管理支援テクノロジーを提供しています。

以前、分散した顧客データや管理コストに課題がありました。そこで可視化できるカスタマーサポートツールを導入し、顧客アプローチを仕組み化することで、解約率が3分の1まで減少しています。

さらに、顧客について情報を整理する時間が5分の1にまで短縮しました。

カスタマーサクセス2.0を自社に導入する方法

最後に、カスタマーサポート2.0を自社に取り入れる方法を解説します。

カスタマーサクセス2.0の概念を社内で共有する

カスタマーサクセス部門は、単独で実行するのは不可能です。カスタマーサクセスを実行するにあたり、インサイドセールス部門、フィールドセールス部門、プロダクト開発部門など、複数の部署と協力しながら顧客をサポートします。

したがって、積極的に既存顧客に働きかけるカスタマーサクセス2.0の概念を、社内で共有するのが重要です。

目的を明確にする

カスタマーサクセス2.0の業務は、多岐に渡ります。そのため、まずカスタマーサクセス2.0を通して何を実現したいか、目的を明確にしましょう。

目的や業務範囲が不明になると、現場が混乱しやすくなります。まずは達成したい目標を明文化し、社内で共有しましょう。

顧客接点を増やす

オンライン活動が増えた現在、企業が顧客と接点を持ち続けるためのオンライン施策が必要です。その1つとしてオンラインコミュニティを開設すれば、ユーザーとコミュニケーションが取りやすくなります。

ユーザーからの問い合わせ対応の工程も削減しながら、顧客満足度を高められるでしょう。

ツールの導入を検討する

カスタマーサクセス2.0を効果的に実行するには、ツール導入の検討をおすすめします。ユーザーのアクションを可視化できるだけでなく、集計業務などタスクが自動化されるなど、業務効率化に役立つ機能が搭載されています。

カスタマーサクセス2.0に適したツールは企業ニーズによって異なるので、選び方やおすすめツールはこちらの記事を参考にしてください。

【2022年最新】カスタマーサクセスツール15選|自社に合うツールの選び方

BtoBテレアポならsoraプロジェクトにご相談ください

カスタマーサクセス2.0は、今後どのビジネス業態でも必要になる部門といえます。LTVの最大化やカスタマーライフサイクルの最適化に、欠かせない存在になるでしょう。

私たちsoraプロジェクトでは、BtoB専門のテレアポ代行サービスやインサイドセールス代行サービスを提供しています。カスタマーサクセス2.0を実行するための調査やリード獲得など、お困りであればお気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様に
ターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。