カスタマージャーニーマップの作り方とは?作成するメリットや注意点も解説

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  • 「カスタマージャーニーとは?」
  • 「カスタマージャーニーマップの作り方は?」

マーケティング施策の1つとして知られているカスタマージャーニー。
売上や顧客理解を深められることで知られていますが、作り方や注意点などが分かりにくいのも事実です。

そこで、本記事ではカスタマージャーニーマップの作り方を、6つのSTEPに分けて解説しました。
また注意点をはじめ、メリットや無料で使えるテンプレートもご紹介します。

最後まで読むことで、間違ったカスタマージャーニーマップの作り方を避けられます。
事例も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

なお、株式会社soraプロジェクトでは「料金もわかる!マーケティング支援サービス資料」を無料で配布しています。

カスタマージャーニーマップとは「顧客の感情や行動」を可視化したもの

カスタマージャーニー(customer journey)とは、顧客が商品やサービスを購入するまでの気持ち・行動を時系列に並べて可視化したものです。

可視化したものです。

直訳すると「顧客の旅」という意味をもち、上記画像のように可視化したものを「カスタマージャーニーマップ」と呼んでいます。

時系列に沿って可視化するため、顧客とのタッチポイントを洗い出し、適切なタイミングで商品・サービスの情報を伝える上で役に立ちます。

大まかな流れとしては下記の通りです。

  1. 自社の商品・サービスを「知ってもらう(興味を持ってもらう)」
  2. 顧客はもっと商品・サービスについて「知りたいと思う(企業の信頼を得てもらう)」
  3. 顧客は商品・サービスに納得をし「欲しいと思う(企業は購入してもらう)」

上記のような集客から購入までのプロセスに合わせて、戦略を立てたり伝え方を工夫したりする考え方です。

顧客にとって最適なタイミングでのアピールができるため、売上アップや顧客ロイヤリティの向上を図れる施策といえます。

しかし「作り手の良い想像」で作成してしまうと、施策は上手く機能しません。

次の章でカスタマージャーニーマップを機能させるための「作り方」をご紹介します。

カスタマージャーニーマップの作り方6STEP

早速、カスタマージャーニーマップの作り方を解説します。

各STEPでマップを作る際のポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

STEP1. ペルソナを設定する

カスタマージャーニーマップを作る上で最も重要となるのが「ペルソナ設定」です。

なぜなら、ペルソナがあいまいではターゲットとなる顧客の分析が難しくなり、せっかく作成したカスタマージャーニーマップが上手く機能しないからです。

なお「ペルソナ」と「ターゲット」は混同されがちなため、下記に違いをまとめました。

具体例特徴
ペルソナ・25歳の女性(会社員)
・東京都内で1人暮らしをしている
・旅行が好きで月に1回は旅行に行く
・運動も好きで週2でジムに通う
一人の顧客に焦点を絞っている
ターゲット20代後半の若者地域や年齢など属性をひとまとめにしている

ペルソナ設定のように顧客像を具体的にすることで、戦略の軸がブレにくくなります。

しかし「ペルソナ設定を行う際はどうすればいいのか」と悩んでしまうのも事実。その解決方法として下記の3つを挙げました。

  • 既存顧客のリサーチ
  • Webサイトの閲覧履歴の収集
  • 競合商品・サービスの顧客のリサーチ

カスタマージャーニーは、ペルソナを軸に顧客心理や行動パターンをイメージしていくため、ペルソナによって中身が変わります。

ただし細かく設定しすぎると、実際の顧客行動と乖離してしまう可能性があるので注意しましょう。

STEP2. 縦軸・横軸のフェーズを設定する

カスタマージャーニーマップの軸となる「フェーズ設定」です。

縦軸は主に下記の項目を設定します。

  • 行動:顧客がとる行動
  • タッチポイント:顧客と接触する場所(SNS・Webサイトなど)
  • 感情:顧客が考えること
  • 思考:顧客の考えや思い
  • 課題:行動した顧客が感じた不満
  • 施策:上記を参考にどんな施策を打つのか

このように、設定したペルソナが「どのような行動をとるのか」「どのような感情なのか」を洗い出します。

一方、横軸は主に下記の項目を設定します。

  • 認知:顧客が商品・サービスを認知した時の状態
  • 興味・関心:顧客が商品・サービスの情報収集をしている時の状態
  • 比較・検討:顧客が商品・サービスの購入を検討し他社と比較している時の状態
  • 購買:客が商品・サービスを購入した時の状態

顧客が商品・サービスを認知してから各プロセスでどのような状態なのかを把握します。

なお、上記の縦軸・横軸のフェーズは目的により変わるため、状況に合わせて設定しましょう。

STEP3. 顧客行動を洗い出し整理する

想定しているペルソナが各プロセスでどのような行動をとるのかを整理しましょう。

顧客行動を洗い出す際は、顧客の行動パターンを出来るだけ明らかにする必要があります。

ここで前述した「ペルソナ」になりきって、顧客行動を進めると洗い出しがスムーズになるでしょう。

洗い出しが思うように進まない場合は、顧客の理解が足りていない可能性があります。

その際、既存顧客の行動履歴を再確認するほか、ペルソナに近い社員にアンケートをしてみてもよいでしょう。

多くの行動パターンを洗い出すことから始めるのがおすすめです。

なお、洗い出した情報が重複している場合、まとめてからマップに書き込みましょう。

STEP4. 顧客の感情・思考を洗い出し整理する

ペルソナの行動を洗い出したら、その行動をした時の顧客の感情・思考を想像してください。

【感情】
「嬉しい・悲しい・不安・安心」など、行動に伴って発生する心の動きを指します。
例えば「〇〇の購入を検討しているが、〇〇は本当に効果が期待できるのだろうか?」といった、顧客の不安を言語化してみましょう。

【思考】
「信頼する・迷う・疑問に思う」など、顧客の考えていることを指します。
例えば「〇〇の効果についてわかったけど、最終的に〇〇はいくらかかるんだろう?」といった、顧客の疑問を言語化してみましょう。

感情・思考を整理する際は、ネガティブなものとポジティブなものの両方を洗い出すことがポイントです。

どんなに抽象的でも対応策検討の手助けになるので、思いつく限り洗い出しましょう。

STEP5. 各フェーズのタッチポイントを設定する

フェーズごとのタッチポイントを設定して、顧客との接点を明らかにします。

タッチポイントとは、顧客が行動をする際に使用する媒体のことです。

例えば、SNSやWebサイト、ECサイトなどが該当します。

Instagramのように「ストーリーズをよく見る顧客」と「タイムラインをよく見る顧客」に分けられるものは、設定したペルソナが最も活用する方を選ぶ必要があるでしょう。

なお、1人でタッチポイントを設定すると内容が偏る場合があるため、複数人で意見を出し合いながら進めましょう。

STEP6. マップにしてカスタマージャーニーを完成させる

STEP1〜STEP5までの内容が固まったら、マップを埋めていきます。

設定したペルソナになりきって、感情や考えを時間軸に沿って整理しましょう。

作る際は、初めから完璧なものでなくても問題ありません。

荒削りでもいいので思いつく限り洗い出しましょう。

マップが埋まると、どの課題から優先的に手を付けるべきかも一目でわかります。

必要に応じて会議や意見交換を実施し、精度を高めるのも効果的です。

カスタマージャーニーマップを作るメリット

カスタマージャーニーマップの作成は、顧客理解に繋がるだけでなく、社内外問わず容易に共有できるメリットがあります。

ここでは、マップを作る際のメリットについて詳しく解説します。

顧客像をより理解できる

カスタマージャーニーマップの作成によって、顧客理解をより深められます。

そもそも顧客理解の本質は、顧客ニーズや考えを理解し「気付く」ことです。

仮説をどれだけ出せるかが重要となります。

そこでカスタマージャーニーマップの作成により、顧客の抱えている悩みや不満に気付くことで、新たな施策を打ち出せるのです。

しかし、カスタマージャーニーマップを活用しないと、顧客の行動・思考を理解するのは難しく「わかったつもり」になりかねません。

顧客のインサイトを深く理解できるため、より顧客に寄り添った商品やサービスの開発に役立つ施策です。

なお「インサイト」とは、顧客の購買行動の根底にある本音や動機を指します。

社内で共通認識がもて施策の検討・議論がしやすくなる

カスタマージャーニーマップの作成は、会社全体で共通認識を持てます。

そのため施策全体のブレや認識の齟齬を防止できます。

マップを見れば一目で「やるべきこと」を確認できるため、社内外問わず容易に連携できるのです。

マップの作成により、なんとなくニュアンスで伝わってしまうことを防止でき、より具体的な施策の検討・議論ができます。

また、連携する際の手間を省けるためタイムロスが少なくなるメリットもあります。

課題への優先順位を明確にできる

各フェーズの課題を時系列に沿って洗い出すため、解決すべき優先順位を明確にできます。

重要度の高い課題から進めていくことで、解決したい悩みから先に取り組めるため、顧客の信頼度向上につながるのです。

情報を1枚のシートにまとめられる、カスタマージャーニーマップならではのメリットといえるでしょう。

カスタマージャーニーマップを設計する際の注意点

カスタマージャーニーマップを作成する際に最も重要となるのが、顧客目線になることです。

ここではマップを作る際に陥りやすい注意点について解説します。

注意点を踏まえた上で、マップ作りに活かしてみてください。

作成を目的にしない

作成を目的化してしまうと、せっかくのマップを活用できずに時間のロスとなってしまいます。

「他社もやっているから」と、安易な理由で作成するのは理にかなっているとは言えません。

目的を明確にするためには、ゴール設定が大切です。

例えば「商品・サービスの購入を促進する」や「Webサイト・SNSからの予約を増やす」など、具体的に目的を設定する必要があります。

目的がないままでは、着地点が曖昧となり、意味のないマップになってしまいます。

「何のために」カスタマージャーニーマップを作成するのかを明確にしましょう。

ユーザー目線になっていないマップを作ってしまう

最も注意したいのが、顧客目線になっていないマップの作成です。

カスタマージャーニーマップは顧客の「気持ち・行動」を具体的にまとめたもので、作成者の想像や希望だけで作成してはなりません。

作成者の良いように作ってしまうと、顧客の悩みを解決できず、的外れなマップができてしまいます。

マップを誤って作らないためには、自社の商品・サービスのエゴサーチをしたり、顧客にアンケートをとったりして、正確な調査データをまとめましょう。

マップ作成後に見直しを行わない

カスタマージャーニーマップを作成したからといって、必ずしも成果につながりません。

なぜなら、顧客ニーズは時間と共に変化するため、常に最適化する必要があるためです。

例えば、新商品を販売した時点では想定していなかった顧客の出現や、想定とは異なる使われ方をする可能性があります。

このような顧客ニーズを拾い、マップの精度を常に高めていく必要があるのです。

想定外の顧客ニーズから、新たな発見や訴求方法が見つかる場合もあるため、マップ作成後は見直しを図りましょう。

カスタマージャーニーマップを作成する際に役立つツールやテンプレート

ここまで、カスタマージャーニーマップのメリットや注意点を紹介しました。

しかし、自社で1から作成するのには、時間と手間がかかるのもです。

マップを作る際に役立つツールやテンプレートを下記にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

KARTE|リアルタイムで顧客の行動がわかるツール

出典:KARTE

KARTEは、リアルタイムで顧客行動がわかるのが特徴です。

リアルタイムでユーザー行動を分析し、可視化できるため、顧客の考えの変化をすぐに察知できます。そのため、変化に応じたアクションを起こせます。

また、顧客管理と施策実行の両方をKARTEだけで行えるため、施策の管理の手間を省くことも可能です。

Keynote|無料のテンプレートを配布

出典:Keynote

Keynoteは、UI設計・プロダクト開発を行うデザインユニット「15VISION」が提供している無料のカスタマージャーニーマップテンプレートです。

ツールや自分で作るのが難しい場合に使いたいサービスです。

すぐに使える「テンプレートはこちら」からダウンロードできます。

Lucidchart|直感的な操作ができるクラウドツール

出典:Lucidchart

Lucidchartは、クラウドタイプのカスタマージャーニーマップを作れるツールです。

UIに優れているため、直感的な操作が可能で、初心者でも簡単に扱うことができるでしょう。

さらにテンプレートが複数用意されているため、自社にあったカスタマイズができます。

また「チーム同時編集」により、共有しながら作業を進められます。

カスタマージャーニーマップ企業の活用事例

では、実際にカスタマージャーニーマップを活用した企業の事例として「Starbucks(スターバックス)」をご紹介します。

引用元:https://secureservercdn.net/166.62.112.107/h9g.3c2.myftpupload.com/wp-content/uploads/2011/09/experiencemap1.pdf

Starbucksのカスタマージャーニーマップは、店舗に訪れる前の顧客の心理から、店舗内、退店後までの流れをマッピングしています。

これにより、顧客はどのような感情を抱いているのかを把握できるようになっています。また、ポジティブ要素とネガティブ要素も可視化しています。

そのため、最適な対応が可能となり、顧客満足度の向上に成功しています。

Starbucksが人気の理由は、上記のカスタマージャーニーマップの存在が大きく関係しているといえるでしょう。

まとめ|カスタマージャーニーマップを作成して顧客の課題を明確にしよう

カスタマージャーニーマップの作成は、顧客の心理や行動パターンを知る上で欠かせないマーケティング施策です。

マップの活用により、売上と顧客ロイヤリティの向上を図れるため、長期的な効果を期待できます。

しかし、マーケティング自体に慣れていないと、マップを作るのは簡単ではありません。
専門的な知識や経験に加え、時間が必要となるため、悩んでしまう企業の担当者も多いでしょう。

そのような場合、経験豊富なWebマーケティング代行を行っている企業に相談すると適切なアドバイスを受けられます。
その際は、Webマーケティングの支援実績が豊富な「soraプロジェクト」を利用してはいかがでしょうか。

マーケティング支援についてまとめた資料はダウンロードしてお読みいただけます。
まずは資料請求からお気軽にお問い合わせください。

投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。