バーナム効果とは?マーケティングでの活用例を3つご紹介

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占いや性格診断で「自分のことだ」と感じた経験はありませんか。
その心理的な錯覚を引き起こしているのが「バーナム効果」と呼ばれる心理現象です。

この効果を巧みに活用することで、マーケティングや広告で消費者の心を捉えることができます。

当記事では、バーナム効果の基本的な仕組みから、そのメリット・デメリット、そしてマーケティングでの具体的な活用方法を詳しく解説します。

バーナム効果とは

バーナム効果とは、曖昧で多くの人に当てはまりやすい表現が「自分に特有のもの」と感じられる心理現象です。

この現象は、1948年に心理学者バートラム・フォアラーによって提唱されました。彼の実験では、学生たちに同じ性格診断結果を渡したところ、ほとんどの学生が「自分の性格を的確に言い当てている」と感じました。
この心理現象は「フォアラー効果」とも呼ばれます。

例えば、「あなたは時に慎重でありながら、時には大胆な決断をすることがあります」という表現は、ほとんどの人に当てはまります。

このような曖昧な表現を使用することで、多くの人に「自分のことを言われている」と感じさせることができます。

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バーナム効果のメリット

コミュニケーションが円滑になる

バーナム効果を利用した曖昧な表現は、相手に「自分のことを理解してくれている」と感じさせる力があります。

この感覚は親近感や共感を生み出し、コミュニケーションの障壁を取り除く効果があります。

例えば、初対面の場面で「あなたのように努力家な人とお話しできて嬉しいです」といったフレーズを使うと、相手は「自分を評価してくれている」と感じ、ポジティブな印象を抱きます。
これは曖昧ながらも好意的な評価が誰にでも当てはまりやすいバーナム効果の典型的な例です。

他にもビジネスの場面では、顧客との商談やプレゼンテーションの中、「お客様のように目標を明確にされている方は素晴らしい」といった言葉を添えることで、相手の気分を良くし、会話がスムーズに進みます。

マーケティング効果が高まる

バーナム効果をマーケティングで活用することにより、消費者は商品やサービスを「自分に特化したもの」と感じやすくなり、購買意欲を高めることができます。
この効果は特に広告やプロモーションで顕著です。

例えば、「体脂肪が気になるあなたへ」という表現は、多くの人に共通する悩みに訴えかけながら、個別に感じさせる力を持っています。

実際に、健康食品の広告ではこのようなフレーズが頻繁に使用されており、消費者に「自分のために作られた商品」という印象を与えます。

さらに、バーナム効果を活用した広告は、クリック率やコンバージョン率を向上させる効果があるため、多くのターゲットの注目を集めることができます。

バーナム効果のデメリット

誤解を招く可能性

バーナム効果を利用した曖昧な表現は、顧客に「自分に特化した製品」と感じさせる力を持つ一方で、誤解を招くリスクも伴います。
先ほどの健康食品の広告の「体脂肪が気になるあなたへ」というフレーズは、多くの人が「自分の体脂肪を減らすための最適な解決策だ」と期待するはずです。

しかし、実際にその食品が期待した効果を発揮しなかった場合、顧客の不満が高まり、ブランドへの信頼が損なわれる恐れがあります。

悪用されると信頼を失う

バーナム効果を過剰に利用し、実態にそぐわないメッセージを伝えると、消費者に誤解を与え、ブランドへの信頼を失う大きなリスクがあります。

例えば、健康食品の広告で「これを飲むだけで10日間で体重が10kg減少!」といった過剰な効果を表現した場合、実際にその効果を得られなかった消費者から「だまされた」と感じられる可能性があります。

このような誇張された広告表現は短期的に注目を集めたとしても、消費者の期待を裏切ることで商品やブランドへの不満が口コミやSNSで広がり、結果的に売上や評判に悪影響を及ぼします。

さらに、消費者保護法や広告規制に違反する場合には、法的なリスクも発生します。

企業が倫理的に問題のあるマーケティング手法を使用していると認識されれば、消費者だけでなく取引先や業界全体からも信頼を失う可能性があります。

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マーケティングでのバーナム効果を活用する際のポイント

マーケティングにおいても、バーナム効果は大いに活用されます。

以下では、このように企業のマーケティング領域でバーナム効果を活用する際のポイントを解説します。

ターゲットの特性に合う言葉選び

バーナム効果を効果的に活用するためには、ターゲットとなる顧客層の特性をしっかりと理解し、それに合った言葉を選ぶことが重要です。

例えば、健康志向の高い人には「体調が気になるあなたへ」、働く世代には「仕事のストレスを抱える方に」といったメッセージが効果的です。

ターゲットのニーズや関心に寄り添うことで、顧客は「自分のことを理解してくれている」と感じ、共感を持ちやすくなります。

また、言葉選びは曖昧さを残しつつも、ターゲットの課題を具体的に想起させるものが理想的です。

これにより、メッセージの効果が高まり、顧客とのつながりを深めることができます。

信頼性を高める

バーナム効果を活用する際には、曖昧な表現だけに頼らず、信頼性を補強するデータや具体例を併せて提示することが重要です。

例えば、「多くの方がこの方法で成功しています」という実績を示すだけでなく、具体的な数値や成功事例を加えることで、顧客に安心感を与えられます。
また、顧客レビューや専門家のコメント、認証を受けた証拠などを含めると、さらに信頼感が高まります。

このような裏付けがあることで、曖昧なメッセージが単なる宣伝文句に見えるのを防ぎ、顧客との長期的な関係構築にもつながります。

ポジティブな表現

マーケティングメッセージでは、顧客に前向きな印象を与えるポジティブな表現を心がけることが重要です。
「あなたはこういった問題を抱えている」といったネガティブな表現では、顧客が否定的な感情を抱き、購買意欲を損ねる可能性があります。

一方で、「こういった成功を目指すあなたへ」や「次のステップに進むための選択肢」といった前向きな言葉は、顧客の期待や希望を引き出し、行動を促進できます。

ポジティブなメッセージはブランドへの好感度を高めるとともに、顧客との関係をより良い方向に導く効果があります。

マーケティングでのバーナム効果活用例3選

活用例1:サントリーの健康食品広告

サントリーの健康食品広告、特に「セサミンEX」では、年齢を重ねる中での健康維持や活力をテーマにしたメッセージが多く展開されています。

例えば、「健康や調子が気になる方」や「若々しさを維持したい方」というフレーズが使用され、健康に対して悩みを抱える中高年層の共感を集めるようなバーナム効果が活用されています。

出典:サントリー

活用例2:フィットネスクラブの会員キャンペーン

フィットネスクラブの広告では、「理想の体型を目指すあなたへ」といったフレーズが多く使われています。

具体的な事例として、コナミスポーツクラブが展開する「スタート応援プラン」があります。このキャンペーンでは、「私に合う・あなたに合う」といった個人に向けたフレーズから共感を集めるバーナム効果を活用しています。

出典:コナミスポーツクラブ

活用例3:教育サービスやセミナーの案内

教育関連の広告では、「キャリアに悩む方におすすめ」や「スキルアップを目指すあなたへ」といったフレーズがよく使用されています。

例えば、TechAcademyのWebサイトでは、「こんなお悩みありませんか」のようなフレーズを用いた社会人からの共感を集めるバーナム効果を活用しています。

出典:TechAcademy

マーケティングでのバーナム効果を活用する際の注意点

誇張や嘘を避ける

バーナム効果を活用する際、誇張や虚偽のメッセージを避けることが重要です。
過度に「完璧な解決策」のような表現を使用すると、実際の効果とのギャップが生じ、消費者の不信感を招く可能性があります。

製品やサービスの特徴を正確に伝え、期待値を適切に設定することで、信頼を維持しつつ効果的なマーケティングが期待できます。

頻繁に使いすぎない

バーナム効果を頻繁に使用すると、消費者に飽きられるリスクがあります。
同じようなメッセージを繰り返すことで、信頼感が損なわれる可能性もあるため、必要な場面で適切に活用することが大切です。

効果的な頻度を見極めながら、消費者の心理に合うメッセージを選択しましょう。

倫倫理的な配慮

消費者の信頼を得るためには、倫理的な配慮を持ったメッセージ作成が不可欠です。

曖昧な表現を使う際にも、誠実さを持ち、顧客を誤解させるような内容を避けることで、消費者との信頼関係が築けます。

まとめ:バーナム効果をマーケティングに活用しよう

バーナム効果は、マーケティングや広告の場で効果的なツールとして活用できます。
曖昧で多くの人に当てはまるようなメッセージは、消費者に「自分に向けられたものだ」と感じさせ、商品やサービスへの関心を引き付け、購買意欲を高める力があります。

この心理効果を最大限に活用するためには、顧客心理を深く理解し、共感を呼ぶ適切なメッセージを作成することが大切です。
過度に利用すると顧客に不信感を抱かせるリスクがあるため、誇張された表現や頻繁な使用は避け、誠実で正確な情報を提供することが求められます。
たとえ曖昧な表現を使用する場合でも、具体的な根拠や商品価値を明示し、顧客の期待を裏切らない工夫が必要です。

この心理効果をビジネス戦略に取り入れ、マーケティングへ活用してみてはいかがでしょうか。
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投稿者プロフィール

樋口 裕貴
樋口 裕貴
1985年福岡生まれ
福岡発のインサイドセールス支援会社、soraプロジェクトの代表
スタートアップから外資大手まで700以上の営業支援プロジェクトの実績を持つ。
営業活動でお困りの会社様へターゲットリスト作成から見込み客育成、アポの獲得まで、新規開拓の実行支援が専門分野。